三角形の 3 つの角を A、B、C とすると、sin(A+B) は sinC に等しくなります。
cos(A+B) のほうは −cosC。符号が入れかわる。
角を半分にすると関係も変わります。sin2A+B=cos2C という形になる。
内角の和は 180 度
三角形の内角の和が 2 直角、つまり 180∘ であることは、ユークリッドの原論に命題として置かれています[1]。
3 つの角を切り離して頂点をそろえて並べると、ちょうど一直線になる。
外角が残り 2 つの内角の和に等しい、という言い方も同じ内容[1]。
A と B の和は C の補角
A+B+C=180∘ を移項します。
A+B=180∘−C
つまり A+B は C の補角です。補角の公式がそのまま使える形になる[2]。
補角の公式を当てはめると、3 本の関係がそろって出てきます[4]。
sin(A+B)=sinC,cos(A+B)=−cosC,tan(A+B)=−tanC
正弦だけが符号を変えません。A+B と C は、単位円で高さの等しい 2 点に対応する。
例:C が 40 度の三角形
A+B=180∘−40∘=140∘。
sin140∘=0.6428 で、sin40∘ と同じ値になる。cos140∘=−0.7660 は cos40∘=0.7660 の符号違いです。
tan140∘=−0.8391、tan40∘=0.8391。こちらも符号だけが違う。
例:等式を証明する
sin(A+B)=sinC を示します。三角形の内角なので A+B+C=180∘。
sin(A+B)=sin(180∘−C)=sinC
途中で使ったのは補角の公式だけです。内角の和を移項して、180∘ から引く形を作った。
証明の要は A+B を C だけの式に置きかえる ところで、そのあとは公式を 1 回当てるだけです。
cos(A+B)=−cosC も tan(A+B)=−tanC も、まったく同じ 2 手で出る。
半分にすると余角になる
A+B=180∘−C の両辺を 2 で割ります。
2A+B=90∘−2C
引く数が 180∘ から 90∘ に変わりました。補角ではなく余角の関係になる[3]。
余角の公式では正弦と余弦が入れかわります。だから半角どうしの関係は次の形になる。
sin2A+B=cos2C,cos2A+B=sin2C
例:C が 80 度で確かめる
2A+B=2180∘−80∘=50∘、2C=40∘。
sin50∘=0.7660、cos40∘=0.7660。値が一致しました。
cos50∘=0.6428、sin40∘=0.6428 も同じです。50∘ と 40∘ が余角どうしだから。
例:半角の等式を証明する
sin2A+B=cos2C を示します。
sin2A+B=sin(90∘−2C)=cos2C
内角の和を 2 で割って余角の形にする。使う公式が補角から余角へ替わるだけで、手順は前と変わりません。
例:足して 0 になる形
cos(A+B)+cosC を計算する。
cos(A+B)+cosC=−cosC+cosC=0
どんな三角形でも 0 になります。C の値を決めずに答えが出る、という点がこの手の等式の特徴。
sin(A+B)−sinC=0 も同じ理屈で成り立つ。
直角三角形では余角そのものになる
C=90∘ のとき A+B=90∘ です。A と B が余角どうしになる。
sinA=cosB,cosA=sinB
直角三角形の 2 つの鋭角についての関係が、ここから出てくる。
図の A と B は、たがいに余角の関係にある 2 つの鋭角です。
ただし tan(A+B)=−tanC だけは使えません。C=90∘ では正接が定義されないため。
三角形 ABC で C=50∘ のとき、sin(A+B) の値はどれですか。
__RESULT__
A+B=180∘−50∘=130∘ で、sin130∘=sin50∘=0.766 です。正弦は補角で符号を変えません。0.643 は cos50∘ にあたる値になります。
例:3 つの角の関係を使う
三角形 ABC で sinA=sin(B+C) が成り立つことを見る。
B+C=180∘−A なので、補角の公式から sin(B+C)=sinA。どの頂点を主役にしても同じ形が出る。
cosA+cos(B+C)=0 も、cosB+cos(C+A)=0 も成り立ちます。
三角形 ABC で、cos2A+B と等しいものはどれですか。
__RESULT__
2A+B=90∘−2C なので、余角の公式で余弦が正弦に変わります。cos2C は sin2A+B と等しい別の値です。
三角形の内角の等式は、A+B を 180∘−C に書きかえた時点でほぼ終わります。あとは補角か余角の公式を 1 回当てるだけ。
参考
*Further trigonometry*. The Improving Mathematics Education in Schools (TIMES) Project, AMSI and ICE-EM. *Introductory trigonometry*. The Improving Mathematics Education in Schools (TIMES) Project, AMSI and ICE-EM. Table 4.16.2, Elementary Properties. NIST Digital Library of Mathematical Functions.
内角の和が 180 度なので、A + B は C の補角になります。補角では sin が変わらず cos と tan が符号を落とすので、sin(A+B) = sinC、cos(A+B) = -cosC、tan(A+B) = -tanC がまとめて出る。両辺を 2 で割ると (A+B)/2 = 90 度 - C/2 となり、今度は余角の関係に変わります。だから sin((A+B)/2) = cos(C/2)。三角形の等式の証明は、A+B を 180 度 - C に書きかえた時点でほぼ終わります。C が 90 度のとき tan の関係だけが使えない理由と、そこで A と B が余角そのものになることも扱いました。
A+B=180∘−50∘=130∘ で、sin130∘=sin50∘=0.766 です。正弦は補角で符号を変えません。0.643 は cos50∘ にあたる値になります。