tanθ=43 と言われたら、cosθ=54、sinθ=53 と 1 組に決まります。
正弦から出発したときのような場合分けは要りません。正接の符号が、そのまま余弦の符号を教えてくれるため。
0∘ から 180∘ の範囲では、sinθ がつねに正。だから tanθ=cosθsinθ の符号は、分母の符号だけで決まる。
正接と余弦をつなぐ式
sin2θ+cos2θ=1 の両辺を cos2θ で割る[1]。
cos2θsin2θ+1=cos2θ1
左の分数は tan2θ です。書き直すと次の形になる。
1+tan2θ=cos2θ1
正接だけが分かっている状態から、余弦の 2 乗が出せる式です[2]。
canvas: 式は呼び出しにそのまま書いてください。この引数は焼けません -> drawMath(… labelA …)
右の三角形に三平方の定理を当てると、そのまま同じ式が出てきます。12+tan2θ が斜辺の 2 乗になる。
符号は正接から決まる
cos2θ=1+tan2θ1 を平方根にすると、形の上では ± が付きます。
ところが sinθ≧0 なので、tanθ と cosθ は同じ符号です[3]。だから迷う場面がない。
原点を通る直線は左右へ伸びますが、上半分の円と交わる点は 1 つだけ。ここが答えが 1 組になる理由です。
手順は 3 段
正接から出発するときの流れをまとめる。
1 + tan の 2 乗から cos の 2 乗を出す
sinθ=tanθ×cosθ という最後の一手が短いので、sin を平方根から出す必要はない。
例:tan が 3/4 のとき
1+(43)2=1+169=1625 になる。
cos2θ=2516
tanθ が正なので cosθ=54。sinθ=43×54=53 になります。
角は 36.9∘。辺が 3、4、5 の直角三角形と同じ組になりました。
例:tan が -3/4 のとき
2 乗すると符号が消えるので、cos2θ はさきほどと同じ 2516 になる。
tanθ が負なので、今度は cosθ=−54 を選ぶ。
sinθ=−43×(−54)=53
正弦は正のまま。角は 143.1∘ になります。
tanθ の符号を変えても、正弦の値は変わりません。動くのは余弦だけです。
単位円で見れば、y 軸について折り返した位置に移っただけ。
例:tan が 2 のとき
1+22=5 なので cos2θ=51。
cosθ=51=55≒0.4472
sinθ=2×0.4472=0.8944 です。角は 63.4∘ になる。
分母を有理化して 525 と書くこともできます。
例:tan が -1 と -3 の平方根のとき
tanθ=−1 なら 1+1=2 で cos2θ=21。負を選んで cosθ=−22。
sinθ=(−1)×(−22)=22 で、角は 135∘ になる。
tanθ=−3 なら 1+3=4 で cosθ=−21、sinθ=23、角は 120∘ です。
| tan の値 | cos | 角 | | 3/4 | 4/5 | 36.9 度 |
| -3/4 | -4/5 | 143.1 度 |
| -1 | -2 の平方根 / 2 | 135 度 |
直角三角形から読む手もある
tanθ が分数なら、その分子と分母を 2 辺とする直角三角形が描けます。
tanθ=43 なら対辺 3、隣辺 4。斜辺は 32+42=5 になる。
鋭角ならこの読み方で終わりです。鈍角のときは、出てきた余弦に負号を付ける。
0∘≦θ≦180∘ で tanθ=−125 のとき、cosθ の値はどれですか。
__RESULT__
1+14425=144169 から cos2θ=169144 です。tanθ が負なので余弦も負になり、−1312 の 1 つに決まります。
3 つの出発点を並べる
同じ関係式を使っていても、どの値から出発するかで答えの個数が変わります。
sinθ から出発すると、余弦の符号が決まらず 2 組になる。
cosθ から出発すると、正弦が正と決まっているので 1 組になる。
tanθ から出発すると、符号まで込みで 1 組に決まる。
正接がいちばん情報を多く持っています。符号と大きさの両方を、1 つの値で伝えているため。
1+tan2θ と等しいものはどれですか。
__RESULT__
sin2θ+cos2θ=1 の両辺を cos2θ で割ると出ます。sin2θ1 のほうは、sin2θ で割ったときに出る式で、左辺が 1+tan2θ1 になります。
正接には符号という情報が含まれています。そのぶん、場合分けを 1 段省ける[4]。
参考文献
Steven Butler. Notes from Trigonometry. Section 5.4, The Pythagorean identities. Table 4.16.3, Elementary Properties. NIST Digital Library of Mathematical Functions. *Further trigonometry*. The Improving Mathematics Education in Schools (TIMES) Project, AMSI and ICE-EM. *Trigonometric functions*. Encyclopedia of Mathematics, European Mathematical Society.
tanθ = 3/4 と言われれば、cosθ = 4/5、sinθ = 3/5 と 1 組に決まります。sin から出発したときの場合分けが要らないのは、この範囲で sin が正なので tan と cos の符号が一致するからです。使う式は 1 + tan の 2 乗 = 1 / cos の 2 乗。sin と cos と 1 の三角形を cos で割ると、tan と 1 の三角形になり、三平方の定理からそのまま出ます。tan が 2 のとき、-1 のとき、-3 の平方根のときの計算例と、分子と分母を 2 辺にとって直角三角形を描く読み方も置きました。
1+14425=144169 から cos2θ=169144 です。tanθ が負なので余弦も負になり、−1312 の 1 つに決まります。