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値が 1 を超えない理由〜0 度から 180 度での三角比の符号と値域

から まで角を動かすと、 から へ上がり、また へ戻ります。 から へ下がりっぱなし。

動き方が違うので、値から角を求めたときの答えの個数も変わる。 なら角は 2 つ、 なら 1 つです。

正接だけは で切れます。値域も、答えの個数も、この 3 つで別々に押さえる。

符号は座標の符号がそのまま出る

単位円の点 の座標が でした。だから符号は、 がどの象限にいるかで決まる[1]

なら は右上、 なら左上にある。

正弦は 座標なので、上半分にいるあいだはずっと正です。余弦と正接だけが を境に負へ落ちる[2]

例:符号だけで答えを絞る

という値を見た時点で、 が鈍角だと決まる。

なら、正なので鋭角。 から という範囲では、正接が正になるのは第 1 象限だけです。

計算する前に符号を見る。それだけで、答えが半分に絞れる。

正弦は 0 から 1 まで

が上半分を動くあいだ、 座標は から まで上がり、 から まで下がる。

を超えることはありません。座標が円の外へ出ないため[3]

山の形なので、 のあいだの高さには 2 か所で届きます。 をはさんで左右に 1 つずつ。

例:正弦の値から角を出すと 2 つ出る

とします。表を引くと が見つかる。

もう 1 つは になります。

問題文に「鋭角」や「鈍角」という条件がなければ、答えは 2 つ書く。片方だけでは足りない。

のときだけは 答えが 1 つ で、 に決まります。

山の頂上にあたる高さなので、届く点が 1 か所しかない。 なら の 2 つ。

余弦は 1 から -1 まで下がり続ける

座標は右端の から左端の まで、途中で戻らずに減ります[3]

減り続けるので、同じ値を 2 度とることがない。だから の答えは、必ず 1 つに決まります。

正弦のときのように「もう 1 つの角」を探す必要はありません。減り続けるグラフと水平線は 1 回しか交わらない。

例:余弦の値から角を出す

とします。負なので鈍角と分かる。

なので、符号を変えた角は です。答えは の 1 つだけ。

なら 。こちらも 1 つで終わります。

正接は上にも下にも限りがない

なので、 に近づくと値が発散する。

より小さい側から近づくと は正のまま へ向かい、正接は へ。 を過ぎると が負になり、正接は から戻ってきます。

枝は 2 本に分かれますが、同じ値を 2 度とることはありません。左の枝が正の値、右の枝が負の値を受け持つ。

正接の値域は実数全体です。ただし だけは定義されません[4]

例:正接の値から角を出す

とする。負なので鈍角。

なので、 が答え。正弦のときと違って、もう 1 つを探す手間はありません。

なら なら 。どれも 1 つずつ決まります。

3 つを並べて見る

同じ範囲での振る舞いを、まとめて置く。

関数値のとる範囲答えの個数
sin0 以上 1 以下2 つ(端では 1 つ)
cos-1 以上 1 以下つねに 1 つ
tan実数全体つねに 1 つ

答えの個数が違うところが、いちばん間違えやすい点です。正弦の方程式だけは、いつも 2 つを疑う。

端の 3 つの角

は直角三角形に入りません。座標で読めば値が決まる。

になる。
は値なし。
になる。

は、この範囲で余弦がとる最小の値です。 は正弦の最大値になる。

の範囲で、 を満たす はいくつありますか。

  • 1 つ
  • 2 つ
  • 3 つ
__RESULT__

の 2 つです。正弦のグラフは を頂点とする山なので、 のあいだの値には 2 か所で届きます。

例:値と符号から残りを決める

で、 が鈍角とします。

から になる。

鈍角なので余弦は負。 に決まります。符号は、値域ではなく象限が決める。

での の値域はどれですか。

__RESULT__

になり、どちらも実際にとる値です。だから等号が付きます。 以上という選択肢は、鋭角だけを見たときの範囲になります。

値の範囲と符号は、単位円の上半分をなぞるだけで思い出せます。図を描き直すほうが、表を覚えるより速い。

参考文献

Steven Butler. Notes from Trigonometry. Section 6.3, The quadrants of our lives.
*Further trigonometry*. The Improving Mathematics Education in Schools (TIMES) Project, AMSI and ICE-EM.
*Trigonometric functions*. Encyclopedia of Mathematics, European Mathematical Society.
Table 4.16.1, Elementary Properties. NIST Digital Library of Mathematical Functions.
sin は 0 から 1 へ上がってまた 0 へ戻る山、cos は 1 から -1 へ下がりっぱなしの一本道です。動き方が違うので、値から角を求めたときの答えの個数も変わる。sin が 0.8 なら 53.1 度と 126.9 度の 2 つ、cos が 0.8 なら 1 つだけです。tan は 90 度で切れて上下へ抜け、値域は実数全体になります。符号は単位円の点の座標そのままで、90 度を境に cos と tan だけが負へ落ちる。0 度、90 度、180 度という端の値と、sin が 3/5 で鈍角のとき cos の符号をどう決めるかもあります。