鈍角の sin はどこから来るのか?三角比を座標と単位円で定義し直す
直角三角形に入る角は より大きく より小さい角だけです。 の三角比は、この定義では書けない。
けれど三角形の内角には鈍角があります。鈍角三角形を扱うなら、鈍角の正弦と余弦が要る[1]。
そこで定義を作り直す。図形の比という言い方をやめて、座標に置きかえます[2]。
直角三角形は 90 度で行き止まり
直角三角形の内角の和は で、そのうち は直角が使います。残る 2 つの角の和は しかない。
だからどちらの角も 未満。 を入れる場所がありません。

見上げた角や見下ろした角なら 未満で足ります。三角形の内角を相手にした時点で足りなくなる。
角を座標の上に置く
原点を中心にした半径 の円をとります。この円を単位円と呼ぶ。
軸の正の向きを始まりとして、そこから反時計回りに角 だけ回した半直線を引きます。半直線と円の交点を とする。
の 座標を 、 座標を と決めます[3]。これが新しい定義。
回す角に上限はありません。 を過ぎても点は円の上を進み続ける。
鋭角なら前の定義と一致する
定義を 2 つ持つことになりました。両方が同じ値を返さないと、話がつながらない[1]。
が鋭角のとき、 から 軸へ垂線を下ろします。原点と と垂線の足で直角三角形ができる。

斜辺が なので、隣辺を斜辺で割っても値は変わりません。分母が の割り算だから[1]。
つまり 、。鋭角では 2 つの定義が同じ数を返します。
例:45 度で突き合わせる
三角形で出した値は 、 でした。
単位円では、 の半直線が の直線と重なります。円との交点は を満たす。
交点は 。三角形から出した値と一致しました。
鈍角では x 座標が負になる
が を超えると、点 は左上へ移ります。 は正のまま、 が負になる[4]。
長さで定義していたころは、負の値が出る余地がありませんでした。座標に移したことで、符号を持てるようになる。

正弦は正のまま、余弦だけが負に変わります。正接は なので、こちらも負になる。
例:120 度の値
の半直線と単位円の交点は 。
が と同じ値になりました。 は の符号を変えた値になる。
例:135 度と 150 度
の交点は 、 の交点は です。
どちらも と の値に負号が付いた形。 座標が負に反転したことが、そのまま符号に出ています。
正接は原点を通る直線の傾き
は、原点と を結ぶ直線の傾きそのもの[4]。
角が大きくなると直線は反時計回りに倒れます。傾きの変わり方が、正接の値の変わり方になる。
なら傾き 、 なら 、 なら です。直線の見た目とそのまま対応している。
90 度で正接だけが決まらない
の交点は です。、 と読める。
正接は になります。 で割る計算は定義されないので、 は値を持たない[2]。
軸に平行な直線には 傾きという量がない ため、 も存在しません。
なら 、 なら 。近づけると値は飛ぶ。
例:0 度、90 度、180 度
境目の 3 つは、交点を読むだけで済む。
| 角 | 交点 | sin と cos |
|---|---|---|
| 0 度 | (1, 0) | 0 と 1 |
| 90 度 | (0, 1) | 1 と 0 |
| 180 度 | (-1, 0) | 0 と -1 |
、 です。 軸に重なる直線なので、傾きが になる。
半径が 1 でなくてもよい
単位円を使うのは値がそのまま読めるからで、条件ではありません。半径 の円でも同じ値が出る。
点の座標を 、原点からの距離を とします。
で割ることが、単位円まで縮める操作にあたります。倍率は比の中で消える。
例:点 (-3, 4) が決める角
原点とこの点を結ぶ半直線が、 軸の正の向きとつくる角を とします。
。
余弦が負なので は鈍角。 から、およそ と分かります。
の値はどれですか。
例:点 (-1, 1) と点 (1, 1)
は の上にあり、角は です。 は の上にあり、角は 。
どちらも で、正弦は と同じ値になります。余弦だけが符号で分かれる。
点 と原点を結ぶ半直線が 軸の正の向きとつくる角を とします。 はどれですか。
です。 は を で割るので になります。 は余弦、 は正接の値です。
辺の長さでは負の数が出せない。座標へ移したことで、 から までがひと続きにつながりました。













150∘ の交点は (−23,21) で、x 座標が余弦です。23 は cos30∘、−21 は cos120∘ の値になります。