sin110∘ は cos20∘ と同じ 0.9397。cos110∘ は sin20∘ に負号を付けた −0.3420 です。
110∘ を 90∘+20∘ と見ると、この形が出てきます[1]。180∘−70∘ と見ても、行き着く先は同じ点。
単位円で 4 分の 1 だけ回す操作にあたる。座標がどう動くかを追えば、公式は書き写す必要がありません。
90 度足すと点が 4 分の 1 回る
角に 90∘ を足すことは、単位円の点を反時計回りに直角ぶん回すこと。
回すだけなので、原点からの距離は 1 のまま。変わるのは向きだけになる。
もとの点が右上にあれば、回した先は左上です。x が負の側へ移る。
座標がそのまま入れかわる
点 (x,y) を反時計回りに 90∘ 回すと (−y,x) に移ります。縦だった値が横へ、横だった値が縦へ動く。
θ の点は (cosθ,sinθ) なので、90∘+θ の点は (−sinθ,cosθ) になる。
sin(90∘+θ)=cosθ,cos(90∘+θ)=−sinθ,tan(90∘+θ)=−tanθ1
正弦と余弦が入れかわり、そのうち余弦の側に負号が付く形です[1]。
90∘ 回すと 横と縦の役目が交代する ので、正弦と余弦の名前も入れかわります。
片方に負号が付くのは、回った先が x 軸の左側だから。
例:110 度、100 度、160 度
110∘=90∘+20∘。sin110∘=cos20∘=0.9397、cos110∘=−sin20∘=−0.3420 になる。
100∘=90∘+10∘ なので sin100∘=cos10∘=0.9848。cos100∘=−sin10∘=−0.1736 です。
160∘=90∘+70∘ から sin160∘=cos70∘=0.3420 が出る。
余角と補角を続けて使っても同じ
90∘+θ は、180∘−(90∘−θ) と書き直せる。
つまり余角をとってから補角をとる、という 2 段の操作と同じになる。新しい公式ではなく、既にある 2 つの組み合わせです。
1 回で行く
90∘+θ の公式を直接使う。sin(90∘+20∘)=cos20∘
2 回に分ける
余角で 90∘−20∘=70∘、補角で 180∘−70∘=110∘。sin110∘=sin70∘=cos20∘
どちらの道を通っても cos20∘ に着きます。公式を 1 つ増やして覚える必要はない。
左端から測れば 70∘、右端から測れば 110∘。同じ点を 2 通りに言い表しているだけになる。
例:2 つの道すじで 130 度を出す
130∘=90∘+40∘ と見ると sin130∘=cos40∘=0.7660。
130∘=180∘−50∘ と見れば sin130∘=sin50∘=0.7660 になる。
cos40∘ と sin50∘ は余角どうしなので同じ値。どちらの表記でも正解です。
正接は逆数に負号が付く
tan(90∘+θ)=−tanθ1 は、余角のときの逆数に負号を足した形になります[2]。
もとの直線と、90∘ 回した直線は垂直に交わる。垂直な 2 直線では、傾きの積が −1 になります。
tan32∘=0.6249、tan122∘=−1.6003 です。掛けると −1.0000 になる。
例:tan110 度を出す
tan20∘=0.3640 です。逆数は 2.747 になる。
tan110∘=−tan20∘1=−2.747
補角で確かめると tan110∘=−tan70∘ で、tan70∘=2.747。値が一致しました。
90 度足すと 90 度引くで正弦が同じ
sin(90∘+θ) も sin(90∘−θ) も cosθ になる。どちらも同じ値です。
理由は 2 つの角の和にあります。(90∘+θ)+(90∘−θ)=180∘ なので、この 2 つは補角どうし。
補角では正弦が変わらないので、値がそろう。90∘ をはさんで左右に同じだけ離れた角だから、と言いかえてもよい。
例:70 度と 110 度
sin70∘=0.9397、sin110∘=0.9397 です。どちらも cos20∘ に等しい。
余弦のほうは cos70∘=0.3420、cos110∘=−0.3420 で、符号が分かれる。
sin130∘ を鋭角の三角比で書いたものはどれですか。
__RESULT__
130∘=90∘+40∘ なので sin130∘=cos40∘=0.766 です。sin40∘ は 0.643 で別の値、−cos40∘ は負なので正弦の値になりません。
どんな角も 0 度から 90 度へ戻せる
90∘ 単位で角を切り出していくと、どの角も鋭角の三角比に還元できます[3]。
0∘ から 180∘ を扱う範囲では、補角と 90∘ 足しの 2 つで足りる[4]。
例:表の中へ戻す
cos155∘ を鋭角へ移します。155∘=90∘+65∘ なので −sin65∘=−0.9063。
180∘−155∘=25∘ からも計算できます。−cos25∘=−0.9063 で、同じ値になる。
どちらの分解でも構造は同じ。使いやすいほうを選べば済みます。
cos100∘ を 90∘+θ の形から書いたものはどれですか。
__RESULT__
100∘=90∘+10∘ で、cos(90∘+θ)=−sinθ です。値は −0.1736 になります。−cos10∘ は −0.9848 で、cos170∘ にあたる値です。
90∘ 足しの公式は、単位円を直角ぶん回すという 1 つの操作を式にしたものです。回せば横と縦が交代する。それだけの内容になっている。
参考文献
Table 4.16.2, Elementary Properties. NIST Digital Library of Mathematical Functions. D. E. Joyce. *Trigonometric Functions*. Clark University. *Further trigonometry*. The Improving Mathematics Education in Schools (TIMES) Project, AMSI and ICE-EM.
角に 90 度を足すのは、単位円の点を反時計回りに直角ぶん回すことです。点 (x, y) は (-y, x) へ移り、横と縦が役目を交代する。そこから sin(90 度 + θ) = cos θ、cos(90 度 + θ) = -sin θ、tan は逆数に負号という 3 本が出ます。ただし 90 度 + θ は 180 度 -(90 度 - θ) と書けるので、余角と補角を続けて使えば同じ場所に着く。新しく覚える必要のない式です。110 度を 2 通りに分解する例、tan で傾きの積が -1 になること、155 度をどちらの分解でも同じ値に戻す計算まで置きました。
130∘=90∘+40∘ なので sin130∘=cos40∘=0.766 です。sin40∘ は 0.643 で別の値、−cos40∘ は負なので正弦の値になりません。