sin から cos を出すと答えが 2 つ出る理由|高校数学の三角比
と言われても、 は 1 つに決まりません。 と の 2 つが残ります。
角の範囲を から に広げたとたん、この分かれ道が現れる。鋭角だけを相手にしていたころは、根号を正でとれば済んでいました。
逆に から を出すときは、いつも 1 つに決まります。同じ関係式なのに、向きによって答えの個数が違う。
平方の関係から出す
を について解く[1]。
乗が分かった状態です。ここから を出すには平方根をとる。
正と負の 2 つが出ます。どちらを採るかは、 の値だけでは決まらない。

図の 2 点は高さが同じで、横の位置だけが逆です。 の符号が分かれる。
例:sin が 3/5 のとき
なので、 になる。
は なので 。角は か のどちらかです。
条件が何も付いていないなら、 組とも答えになる。片方だけでは足りない。
条件が付けば 1 つに決まる
問題文には、たいてい絞り込みの条件が入っています。よく出る形は 2 つ。
「 は鈍角」「」と書かれている
「」「」のように書かれている
どちらの形でも、決まるのは同じことです。 が の左右どちらにいるか。

正弦の符号は、この範囲ではずっと正です。だから という条件を足しても、何も絞れない。
例:θ が鈍角という条件
で が鈍角とします。鈍角では余弦が負。
答えは 1 組になりました。角は 。
例:cos が負という条件
条件が「」と書かれていても、結論は変わりません。余弦が負なら は鈍角だから。
、 なら 、 になる。
例:tan が負という条件
「」も同じ働きをします。 で分子が正なので、分母が負だと分かる。
、 とすると 、。
条件の見た目は違っても、伝えている情報は 余弦の符号 1 つ だけです。
角の範囲でも、余弦の符号でも、正接の符号でも、決まる中身は同じ。
cos から sin を出すときは 1 つに決まる
向きを逆にすると、話が変わります。 が与えられた場合を考える。
形の上では が付きます。ところが では なので、負の側は消える[2]。
だから と書けます。根号の前の符号を考える必要はない。
例:cos が -3/5 のとき
なので 。
は正しかとらないので に決まる。 になります。
角も 1 つで、。余弦が与えられたときは、場合分けが要りません。
で のとき、 の値はどれですか。
- だけ
- だけ
- と の 2 つ
端の値では答えが 1 つになる
のときは、 なので です。 を考えても しかない。
このとき で、 は値を持ちません[3]。分母が になるため。
の場合は で、角は と 。こちらは 2 つ残る。
| sin の値 | cos の答え | 角 |
|---|---|---|
| 1 | 0 だけ | 90 度 |
| 0.6 | 0.8 と -0.8 | 36.9 度と 143.1 度 |
| 0 | 1 と -1 | 0 度と 180 度 |
数表の式は鋭角向けに書かれている
関数どうしの関係を並べた数表では、 と正の根だけが書かれています[2]。
ただしそこには但し書きが付く。値が負でない範囲での話だ、という条件です[2]。
鈍角を扱うときは、この但し書きが効いてくる。表の式をそのまま写すと符号を落とします。
で のとき、 の値はどれですか。
- だけ
- だけ
- の 2 つ
この範囲では正弦が負になりません。だから根号の正の側だけが残り、 の 1 つに決まります。
正弦から出すときは 2 つ、余弦から出すときは 1 つ。 から という範囲の形が、そのまま答えの個数に出ています[4]。













条件が正弦の値だけなので、鋭角と鈍角の両方が残ります。角は 53.1∘ と 126.9∘ で、どちらも sinθ=0.8 を満たします。