鞆の浦
福山市の沼隈半島の南端にある港町。瀬戸内海の潮の流れがこの沖で入れ替わるため、その変わり目を待つ船が寄る潮待ちの港として栄えた。江戸時代の常夜燈・雁木・波止・焚場・船番所がそろって残る。
鞆の浦は広島県福山市の沼隈半島の南端にあり、瀬戸内海の備後灘に面した港町です。満ち潮のときには、豊後水道と紀伊水道から流れ込んだ潮が鞆の浦の沖でぶつかり、引き潮のときには東西に分かれて流れ出します。潮の流れがここを境に入れ替わるため、その変わり目を待つ船が寄る潮待ちの港として栄えました。沖には仙酔島などの島があります。
港には、江戸時代に整えられた常夜燈・雁木・波止・焚場・船番所の 5 つがそろって残っています。常夜燈は、港に現存する江戸時代のものとして日本最大級の大きさです。雁木は海へ下りていく石段で、潮の満ち引きに関わらず荷を揚げ降ろしできます。全長は約 150m あります。波止は国内最大級の防波堤です。
万葉集には鞆を詠んだ歌が 8 首あり、大伴旅人の歌も含まれます。1576 年には、織田信長に京を追われた将軍、足利義昭が鞆に拠点を移しました。正徳元年(1711 年)には、朝鮮通信使の従事官だった李邦彦が福禅寺に泊まり、鞆の浦の景色を「日東第一形勝」とたたえました。町にはナマコ壁の町家が建ち並び、北側には、移動式として使われた能舞台を持つ沼名前神社などの寺社があります。
1925 年に鞆公園として国の名勝に指定され、1934 年には、日本で最初の国立公園の一つとなった瀬戸内海国立公園に含まれました。2017 年には町並みの約 8.6ha が重要伝統的建造物群保存地区に選ばれ、2018 年に「瀬戸の夕凪が包む 国内随一の近世港町」として日本遺産に認定されています。