通潤橋

水に乏しい白糸台地へ水を送るため、矢部の惣庄屋だった布田保之助が嘉永 7 年(1854 年)に完成させた、近世最大級の石造アーチ水路橋。管にたまった泥や砂を除く放水で知られる。2023 年に国宝に指定された。

通潤橋は熊本県山都町にある石造アーチの水路橋で、近世に造られたものとして最大級の大きさです。水に乏しい白糸台地へ水を送るため、矢部の惣庄屋だった布田保之助が、八代の種山村の石工集団である種山石工に築かせました。石工頭は宇一です。工事は嘉永 5 年(1852 年)12 月に始まり、約 1 年 8 か月をかけて嘉永 7 年(1854 年)8 月に完成しました。長さは約 78m、高さは約 21m あります。

橋の上部には、凝灰岩で造った通水管が 3 列に通っています。約 6km 離れた笹原川の上流から引いた水は、取入口と吹上口の高さの差によって管の中を勢いよく流れ、橋よりも高い白糸台地へ吹き上がります。吹上樋と呼ばれる、逆サイフォンの原理を使った仕組みです。管の継ぎ目は漆喰で固めて、水が漏れないようにしてあります。この水はいまも約 100ha の水田を潤しています。

農閑期には、管にたまった泥や砂を除くための放水が、観光客のために時間を区切って行われます。2016 年の熊本地震で亀裂が入って水が漏れ、2018 年の豪雨では右岸の石垣の一部が崩れましたが、修復を終えて 2020 年 7 月に放水が 4 年 3 か月ぶりに再開されました。1960 年に国の重要文化財に、2023 年に国宝に指定されています。