コーシーの積分公式と正則関数の値の計算

コーシーの積分公式は、正則関数の値を積分で表す公式です。関数の値やその導関数を、周囲の積分から求められます。

積分公式

が閉曲線 とその内部で正則であるとき、内部の任意の点 について

が成り立ちます。

この公式の驚くべき点は、関数の値が周囲の情報だけで完全に決まることです。正則関数には強い「剛性」があると言えます。

導関数への拡張

階導関数についても同様の公式があります。

この公式から、正則関数は何回でも微分可能で、導関数もまた正則であることがわかります。

具体例:関数値の計算

として、原点での値をコーシーの積分公式で求めてみます。 を単位円 とすると

なので

が得られます。

具体例:導関数の計算

での 2 階導関数を求めます。

なので です。したがって

平均値の性質

コーシーの積分公式を でパラメータ表示すると

となります。これは、正則関数の中心での値が、周上の値の平均に等しいことを示しています。

平均値の性質

正則関数の値は、それを囲む円周上の値の平均に等しい。

最大値原理への道

この性質から、正則関数は領域の内部で最大値を取れないことがわかる。最大値原理につながる。

積分公式の応用

コーシーの積分公式は、複素解析の多くの定理の基礎になっています。リウヴィルの定理、モレラの定理、テイラー展開の存在証明など、さまざまな結果がここから導かれます。

また、実用面では、複雑な積分の計算に使えます。被積分関数が の形をしていれば、 を計算するだけで積分値がわかります。