小学算数1201030 views
高校生物551985 views
ヒストリア291310 views
小学社会310647 views
高校日本史190639 views
中学数学623977 views
中学英語812035 views
世界の国564972 views
高校物理160543 views
いろは3013586 views
Help
Tools
NewsSpreadsheetCalendarBookkeepingMarkdown TablesLanguage Model NewsLinux CommandsSlidesTier ListPen ToolIllustrationCrayonWatercolorPixel ArtASCII ArtPerspectiveEndless StairsGraphMind MapER DiagramFamily TreeMemeCurved TextImage EditorMosaicRetro FilterPencil SketchSwirl EffectLine ArtOCR/HighlighterMakeup EditorFaviconVideo TrimmerScrolling VideoVideo TitleColor PickerColor ExtractorBonfireFireworksCherry BlossomWater RippleWater SplashBreaking GlassGlass TextureFabric TextureWood GrainMarble TextureBrick Wall TextureMetal TextureWashi Paper TextureCardboard TextureCSS ButtonIcon MakerBar ChartGrouped Bar ChartStacked Bar ChartPie ChartLine ChartArea ChartStacked Area ChartScatter Plot3D Bar Chart3D Pie ChartBar Chart RaceBubble ChartPopulation PyramidPictogramEarningsCandlestick ChartInvestment RiskMortgage SimulatorCalculatorMatrix CalculatorFunction GraphPolynomial ExpansionVenn DiagramField VisualizerRubik's Cube Group TheoryTraveling SalesmanVoronoi and DelaunayFractalUniversity Entrance Exam MathColumn ArithmeticDraw Math FiguresArithmetic AnimationArithmetic Word ProblemsCounting with Tree DiagramsCube NetsRolling DiceCross SectionsMotion PathMechanicsWavesUniversity Entrance Exam Physics解析力学Quantum MechanicsStatistical MechanicsRelativityCelestial MechanicsAstrophysicsCosmologyElectromagnetic WavesCapacitorsLight and LensesThermodynamicsHow Semiconductors WorkMolecular StructuresAtomic OrbitalsElectrochemical CellsChemical EquilibriumCrystal LatticesBuffer pHOrganic Reaction MapPeriodic TableComplex IonsDNA Double HelixCell DivisionMembrane ChannelsNerve ImpulseMuscle ContractionHormones and HomeostasisRock ClassificationWeatherConstellationsSolar and Lunar Eclipses3D ModelingFloor PlanSeismic StructuresIntersection TurnMaglevCooking AnimationOrigamiLive Viewer CountGeoJSON MapRailway MapPopulation MapCrime MapLand Price MapSchool MapShrine and Castle MapHouse of Representatives MapWord MapSolitaireReversiHakoiri MusumeChessHamburgerRippleSlide Puzzle MakerNeon PinballNovel MakerJapanese Typing PracticePiano Score EditorMusic TheoryShogi StrategyPiano Rhythm Game

English

円周の値だけで中身が決まる、コーシーの積分公式と導関数の公式

正則関数の値は、その点を囲む円周の値だけで決まります。

内部をのぞかずに、まわりを一周しただけで中心の値が出てくる。コーシーの積分公式と呼ばれる関係です[1]

実関数にはこんな性質がありません。区間の両端で値を決めても、内部は自由に動かせる。正則関数は境界と内部が固く結びついていて、境界を決めた時点で内部も決まってしまいます。

この固さが複素解析の性格そのものです。以下に並ぶ定理のほとんどは、この公式の言い換えか、そこからの一歩。

公式の形と条件

が単純閉曲線 とその内部を含む領域で正則で、点 の内部にあるとき、冒頭の等式が成り立ちます。 は反時計回りにとる。

条件は 3 つ。 が自分自身と交わらない閉曲線であること、 が内部にあること、 と内部で正則であることです。

の外にあると答えが変わる。被積分関数 の内部で正則になるので、値は になります[2]

内か外かだけで答えが 2 通りに分かれる。位置関係を確かめずに公式を当てると、ここで間違えます。

例: の原点での値

を単位円、 とします。 は整関数なので条件を満たす。

被積分関数を展開して項ごとに積分してもよいのですが、公式なら を読むだけで終わります。

分母の に変えると答えは は単位円の外にあり、被積分関数が単位円の内部で正則になるためです。

なぜ成り立つのか

被積分関数 を除いて正則です。だから積分路を、 を囲んだまま自由に動かせる。

中心の半径 の小さな円 へ縮めても、値は変わりません[3]

縮めたところで、被積分関数を 2 つに分けます。

第 1 項の積分は半径によらず なので、 になります。

第 2 項は長さによる評価で消える。 の連続性から を小さくすれば にでき、分母の大きさは 、経路の長さは です。

はいくらでも小さくできるので、第 2 項は です。残った第 1 項が公式そのもの。

導関数の公式

について微分を繰り返すと、導関数の公式が出ます。積分記号の下で で微分するだけ。

グルサーの公式と呼ぶこともあります。 とすれば、もとの積分公式に戻る。

微分と積分の順序交換は、被積分関数が について一様に振る舞うことから正当化されます。差分商を作って評価すれば、極限の存在も直接示せる。

例: の 2 階導関数から積分を出す

で公式を使います。

なので 、積分も です。

に変えると話が変わる。 になり なので、積分は になります。

1 回微分できれば無限回微分できる

導関数の公式が意味するのは、正則関数が自動的に何回でも微分できるという事実です。 の存在だけを仮定したのに、 も出てくる。

実関数ではまったく成り立ちません。 回微分できて ですが、原点で 回目は無理です。

実関数

1 回微分できても 2 回目ができるとは限らない。 が例になる。

正則関数

1 回複素微分できれば、何回でも微分でき、導関数もすべて正則になる。

差を生むのは、複素微分可能という条件が 2 次元のあらゆる方向からの極限を要求すること。方向を選べる実関数の微分より、はるかにきつい条件です。

テイラー展開が出てくる

積分公式から、正則関数がべき級数に開けることも出ます。 のまわりで等比級数に展開する。

なら収束します。これを積分公式に入れて項別積分すると、係数に導関数の公式が現れる。

正則であることと、べき級数に展開できることが同じ意味になる。実関数では、何回でも微分できるのに級数が関数に一致しない例が作れます。

収束半径はいちばん近い特異点まで

テイラー級数が収束する範囲は、展開の中心からいちばん近い特異点までの距離で決まります。

級数が特異点を飛び越えて収束することはありません。飛び越えたなら、そこで関数が正則になってしまう。

例:実軸では見えない特異点

は実軸のどこでも滑らかで、値も有限です。それなのに原点まわりのテイラー級数は でしか収束しない。

実数の範囲だけを見ていると、 で止まる理由がどこにもありません。複素平面へ出ると に極があり、原点からの距離がちょうど

収束半径が実軸上の様子と合わないときは、たいてい虚軸の側に原因があります。

コーシーの評価式

導関数の公式に長さによる評価を当てると、導関数の大きさに上界が付きます。半径 の円周上で とする。

分母の が効くので、 が広い範囲で有界なら高次の導関数は小さく抑えられます。

べき級数の係数で書けば 。テイラー係数が半径のべきで抑えられる、という形になります[8]

例:評価式から関数を決める

整関数 を満たすとします。 上での上界は なので、係数の評価は

では で右辺が へ行き、 が出ます。したがって は 2 次以下の多項式。

を代入すると なので定数項も消え、 の形に決まります。

リウヴィルの定理

評価式で とすると です。 が整関数で全平面で なら、 をいくらでも大きくとれる。

したがって がすべての点で成り立ち、 は定数です。有界な整関数は定数しかない、という強い結論が出ます[5,6]

証明に使ったのは積分公式だけ。 行の不等式から、これだけの主張が出てくるところに公式の力が出ています。

平均値の性質

積分公式で 中心の円にとり、 とパラメータ表示します。 を入れると、分母と分子で が約分される。

中心での値が、円周上の値の平均に等しい。半径 は円が領域に収まるかぎり自由です。

実部と虚部に分ければ、調和関数についての平均値の性質も同時に出ます。

最大値原理へ

平均値の性質から、 が内部の点で最大になれないことが出ます。平均が最大値と等しくなるには、周上の値がすべて最大値に張り付くしかない。

そこから が定数だと結論できます。定数でない正則関数の絶対値は、必ず境界で最大をとる[7]

熱の定常分布が境界の温度を超えない、という物理の直観と同じ形をしています。

モレラの定理

逆向きの主張も成り立ちます。領域で連続な について、どの三角形の周にそう積分も なら は正則です。

積分だけで正則性が判定できるので、極限や積分で作った関数を扱うときに効きます[4]

正則関数の列が広義一様収束するとき、極限の関数も正則になります。実関数では成り立たない性質で、ワイエルシュトラスの収束定理と呼ばれることがあります。

極限と積分の交換が一様収束から言え、周積分が のままなのでモレラの定理が使えるという流れ。

導関数の列も導関数へ収束します。実関数では、微分可能な関数の一様極限が微分可能とは限りません。

例:積分で作った関数が正則になる

を考えます。三角形の周にそう積分を作り、フビニの定理で順序を入れ替える。

内側は を止めた の周積分なので です。したがって外側も になり、モレラの定理から は整関数。

同じ筋で、ガンマ関数やゼータ関数の正則性も示せます。定義が積分や級数で与えられる関数では、この道具がよく効く。

よくある誤り

が積分路の外にあるときは値が です。位置を確かめずに と書くと外します
は積分路の上でも正則である必要があります。内部だけでは足りません
反時計回りが正の向き。時計回りなら符号が反転します
分母の次数と導関数の階数がずれやすい。 に対して 階です
係数は で、階乗を落とすと値が合いません
収束半径を実軸だけで判断できません。虚軸側の特異点も距離を決めます
評価式の は、その半径の円周上での上界です。領域全体の上界と混ぜない
平均値の性質は そのものについての式で、 の平均ではありません

最後の 2 つは同じ根から出ています。積分公式は を線形にとり出す式なので、絶対値を先にとると等式が不等式へ落ちてしまう。

正則関数の値が境界に支配されるという性質は、ここから先の理論をずっと支えます。有界な整関数が定数になることも、絶対値の最大が境界に立つことも、出発点はこの一つの積分です。

参考文献

Cauchy's integral formula - Wikipedia
Cauchy's integral theorem - Wikipedia
Théorème intégral de Cauchy - Wikipédia(フランス語)
Morera's theorem - Wikipedia
Liouville's theorem (complex analysis) - Wikipedia)
Satz von Liouville (Funktionentheorie) - Wikipedia(ドイツ語))
Maximum modulus principle - Wikipedia
Laurent series - Wikipedia
中心の値を知りたいのに、見るのは周囲だけでいい。積分路の内と外で答えが二通りに分かれる仕組み、経路を縮めて長さの評価で押し切る導出、n 階導関数の公式、そこから出てくる無限回微分可能性とテイラー展開をたどります。収束半径がいちばん近い特異点で止まること、コーシーの評価式、平均値の性質、リウヴィルの定理と最大値原理への道筋、そしてモレラの定理まで。