調和関数と正則関数の関係
正則関数の実部と虚部は、どちらも調和関数になります。逆に、調和関数から正則関数を構成することもできます。
調和関数とは
2 変数関数 が調和関数であるとは、ラプラス方程式
を満たすことです。
物理的には、熱伝導の定常状態、静電ポテンシャル、非圧縮・非回転流の速度ポテンシャルなどが調和関数です。
正則関数から調和関数へ
が正則なら、コーシー・リーマンの方程式
が成り立ちます。
のラプラシアンを計算すると
についても同様に が示せます。
共役調和関数
が調和関数のとき、 が正則になるような を の共役調和関数といいます。
単連結領域では、共役調和関数は(定数の差を除いて)一意に存在します。
を求めるには、コーシー・リーマンの方程式を使います。
これを積分して を求めます。
例: の共役調和関数
として、 を求めます。
で積分して ( は のみの関数)。
よって 、(定数)。
したがって で、(定数は省略)。
調和関数の性質
調和関数は正則関数の実部なので、正則関数に似た性質を持ちます。
平均値の性質
調和関数の値は、それを囲む円周上の値の平均に等しい。
最大値原理
調和関数の最大値・最小値は境界上で達成される。
ディリクレ問題
領域の境界で値を指定して、内部で調和関数を求める問題をディリクレ問題といいます。
たとえば「円周上で温度が のとき、円板内部の定常温度分布を求めよ」という問題です。
解は一意に存在し、ポアソン積分
で与えられます。
複素解析では、等角写像で複雑な領域を単純な領域に変換し、ディリクレ問題を解くことがよく行われます。