リーマン球面と無限遠点
複素平面 に「無限遠点」を一つ付け加えた空間をリーマン球面と呼ぶ。この拡張により、複素解析の多くの定理がより自然で対称的な形で述べられるようになる。
立体射影による構成
リーマン球面は、3 次元空間内の単位球面 と複素平面を立体射影で対応づけることで構成される。球面を 平面(複素平面と同一視)に接するように置き、北極 から球面上の点 を通る直線が平面と交わる点を とする。
この対応により、北極以外の球面上の点は複素数に一対一対応する。北極 には対応する複素数がないので、これを無限遠点 と定義する。
この をリーマン球面または拡張複素平面と呼ぶ。
無限遠点の近傍
無限遠点 の近傍は、(十分大きな )を満たす点の集合と 自身からなる。直感的には、複素平面の「果て」を一点にまとめたものだ。
での関数の振る舞いを調べるには、変数変換 を用いて での振る舞いに帰着させる。 が で正則とは、 が で正則であることを意味する。
直接 の極限やべき級数展開を調べる
と置いて での振る舞いに帰着させる
有理型関数とリーマン球面
有理関数 (, は多項式)は、リーマン球面上の有理型関数として自然に拡張できる。分母 の零点は の極となり、 での振る舞いは と の次数で決まる。
で となり、 は零点。
で は有限の値に収束し、 は正則点。
で となり、 は極。
たとえば は で 2 位の極を持つ。 が で 2 位の極を持つことから分かる。
メビウス変換との関係
メビウス変換
はリーマン球面からリーマン球面への全単射を与える。、 と定めれば、 全体で連続な写像となる。
この性質により、メビウス変換は円と直線を円と直線に移す。複素平面では直線と円は別物だが、リーマン球面上では「無限遠点を通る円」として統一的に扱える。
コンパクト性
位相空間としてリーマン球面はコンパクトである。複素平面 はコンパクトでないが、一点 を加えることで一点コンパクト化が実現する。このコンパクト性は、リウヴィルの定理など複素解析の基本定理の証明で本質的な役割を果たす。