複素べき関数の定義と性質

実数の世界では といったべき関数を自然に扱える。複素数に拡張すると、指数が整数でない場合に多価性が現れ、慎重な定義が必要となる。

複素べき関数の定義

に対して、複素べき関数は複素対数を用いて

と定義される。 が多価関数なので、 も一般には多価関数だ。

を代入すると

となる。 の部分が によって異なる値を取るかどうかで、多価性の様相が決まる。

指数による分類

整数指数(

となり、 は一価関数。通常のべき乗と一致する。

有理数指数(、既約)

個の異なる値を取り、 価関数となる。-乗根が典型例。

無理数・複素数指数

はすべて異なる値となり、 は無限多価関数。

平方根の場合

のとき、 は 2 価関数となる。 に対して

の 2 つの値を取る。これらは互いに符号が逆で、 の関係にある。

主値を定めるには、対数関数と同様に分枝切断を設定する。負の実軸を分枝切断とし、-\pi < \arg z \leq \pi とすれば

が主値となる。正の実数 に対しては通常の正の平方根 と一致する。

複素指数の場合

自体が複素数のとき、たとえば を考えてみよう。

の取り方で が変わるため、やはり多価となる。(自然対数の底)のとき

は一意に定まるが、一般の は分枝の選択に依存する。

正則性

分枝を固定すれば、 は分枝切断を除いた領域で正則となる。その導関数は

で与えられ、実数のべき関数の微分公式と形式的に同じだ。ただし右辺の も同じ分枝を取る必要がある。