リウヴィルの定理と代数学の基本定理

リウヴィルの定理は、有界な整関数は定数であるという驚くべき結果です。この定理から、代数学の基本定理も証明できます。

整関数とは

整関数とは、複素平面全体で正則な関数のことです。多項式、 などが整関数です。

一方、 は特異点があるので整関数ではありません。

リウヴィルの定理

が整関数で、かつ有界(ある があって )ならば、 は定数関数です。

「有界」というのは、複素平面のどこへ行っても値が一定の範囲に収まっているということです。

証明の概要

コーシーの積分公式から、

と書けます。 なので

とすると 、つまり です。

は任意なので、 がすべての点で成り立ち、 は定数です。

代数学の基本定理

次の複素係数多項式 )は、少なくとも 1 つの複素数解を持ちます。

つまり、複素数の範囲では、どんな多項式も因数分解できます。

証明(リウヴィルの定理を使う)

がすべての で成り立つと仮定して矛盾を導きます。

このとき は整関数になります。

が十分大きいと も大きくなるので、 は小さくなります。一方、 が有界な領域では、 は連続関数として有界です。

したがって は有界な整関数となり、リウヴィルの定理から定数です。しかし が定数ということは も定数となり、 に矛盾します。

よって、 となる が存在します。

リウヴィルの定理の意味

正則関数の「剛性」を示している。有界かつ全平面で正則なら、変化の余地がなく定数になる。

代数学の基本定理への応用

複素解析の道具で代数の定理を証明できる。解析と代数のつながりを示す美しい例。

応用:三角関数の周期性

が有界でないことは、リウヴィルの定理から自然に理解できます。もし が有界なら定数になってしまいますが、明らかに定数ではありません。

同様に、 も複素平面全体では有界でないことがわかります。実軸上では ですが、虚軸方向に進むと値は無限に大きくなります。