留数定理を使って複素積分を求める
留数定理は、特異点を含む経路での複素積分を計算する強力な道具です。コーシーの積分定理が「穴がなければ 0」だったのに対し、留数定理は「穴があるときいくらになるか」を教えてくれます。
留数とは
関数 が点 で孤立特異点を持つとき、 のまわりでローラン展開すると
と書けます。このとき、 の係数 を点 における留数といい、 または と書きます。
留数定理
が閉曲線 の内部で、有限個の孤立特異点 を除いて正則であるとき
が成り立ちます。積分値は、内部の特異点での留数の総和に をかけたものです。
基本例: の積分
のローラン展開は そのものなので、原点での留数は 1 です。原点を囲む単位円での積分は
以前直接計算した結果と一致します。
もう少し複雑な例
を単位円で積分します。
のテイラー展開 を使うと
の係数は 1 なので、 です。よって
複数の特異点がある場合
を で積分します。内部に と の 2 つの特異点があります。
部分分数分解すると
での留数は 、 での留数は です。したがって
留数定理のポイント
積分を直接計算する代わりに、特異点での留数を求めればよい。
留数の計算法
ローラン展開、極の公式、ロピタルの定理などを使う。詳しくは別記事で。
留数定理は複素積分だけでなく、実積分の計算にも応用できます。