ポアソン積分公式

ポアソン積分公式は、円周上で与えられた境界値から円板内部での調和関数を再構成する公式だ。コーシーの積分公式と密接に関連し、調和関数論の基本的な道具となる。

ポアソン核

単位円板 \mathbb{D} = \{z : |z| < 1\} に対して、ポアソン核は

で定義される。ここで 0 \leq r < 1 は動径、 は偏角だ。, と書くと

と表せる。

ポアソン核の性質

(正値性)、(規格化)、 関数に近づく。

近似単位元

のとき、ポアソン核は に集中するデルタ関数的な振る舞いをする。

ポアソン積分公式

を単位円周 上で定義された連続関数とする。ポアソン積分

により、 内で調和関数が定まる。この は境界で元の関数に連続的に接続し、ディリクレ問題の解を与える。

コーシー積分との関係

正則関数 に対してコーシーの積分公式は

, と置いて実部を取ると、 に対するポアソン積分公式が得られる。

コーシー積分

正則関数の内部の値を境界値から再現

ポアソン積分

調和関数の内部の値を境界値から再現。コーシー積分の実部バージョン

ディリクレ問題

円板におけるディリクレ問題とは、境界で指定された値を持ち、内部で調和となる関数を求める問題だ。ポアソン積分公式はこの問題の明示解を与える。

解の一意性は最大値原理から従う。調和関数は内部で最大値・最小値を取らないので、境界値が等しければ内部の値も一致する。

シュワルツ積分公式

ポアソン積分の複素版として、シュワルツ積分公式がある。境界上で が与えられたとき、 の虚部を適切に決めれば

により正則関数 が復元される。実部から虚部を(定数の不定性を除いて)決定できるのは、コーシー・リーマンの方程式の帰結だ。

上半平面の場合

上半平面 に対するポアソン核は

で与えられる。 に対して

が境界値 を持つ調和関数となる。フーリエ解析との関連も深く、信号処理などで応用される。