メビウス変換で円と直線を移す
メビウス変換(一次分数変換)は、円と直線を円と直線に写す等角写像です。複素解析でよく使われる基本的な変換です。
メビウス変換の形
は複素数で、 という条件が必要です(これがないと定数になってしまいます)。
のときは となり、一次関数(平行移動と拡大回転の合成)です。
基本的な性質
メビウス変換には次の性質があります。
- 円と直線を、円か直線に写す(円円対応)
- 等角である( となる点で)
- メビウス変換の合成もメビウス変換
- 逆変換もメビウス変換
3 点を指定すると決まる
異なる 3 点 を、異なる 3 点 に写すメビウス変換はただ 1 つ存在します。
これは交比を使って表せます。
例:上半平面を単位円板に写す
上半平面 を単位円板 に写すメビウス変換を求めます。
を に、 を に、 を に写すとすると
実軸は単位円周に写り、上半平面の内部は単位円板の内部に写ります。
例:円板を円板に写す
単位円板を単位円板に写すメビウス変換は、 として
の形に書けます。
のときは単なる回転 になります。
円円対応の証明
円と直線は または直線として統一的に扱える。メビウス変換で代入すると、やはり同じ形の式になる。
複比の不変性
メビウス変換は 4 点の複比を保存する。これは射影幾何学との関連を示している。
メビウス変換の分解
任意のメビウス変換は、次の基本変換の合成で書けます。
平行移動
拡大回転
反転
平行移動
反転 が特に重要で、これが円と直線を入れ替える役割を担います。原点を通る直線は、反転で原点を通らない直線(つまり円)に写ります。
拡張複素平面
メビウス変換を考えるとき、 を加えた拡張複素平面(リーマン球面)を考えると自然です。
で のとき、 では分母が 0 になりますが、 と定義します。また とします。
こうすると、メビウス変換はリーマン球面から自分自身への全単射になります。