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対数 log の定義:2 を何乗すると 8 になるかを表す記号

を 乗すると になります。この という数に名前を付けたものが対数です。

と は、同じ事実を左右から書いたもの。指数が答えの位置に来るか、問いの位置に来るかの違いだけです[1]。

指数の表を逆から読む

の累乗を並べます。、、、、。

ふつうは左から右へ読みます。指数を決めて、値を求める向きです。

対数は右から左へ読みます。値を決めて、指数を求める向き。 から出発すれば に着きます。

表を横に伸ばせば、あいだの値も読めます。 なので、。

定義

、、 とします。

を底、 を真数、 を対数の値と呼びます。「 を何乗すると になるか」への答えが です[1]。

の値は、指数の形に戻したときの指数の位置に来ます。向きを見失ったら、ここに戻ります。

例:値を求める

です。 だから。

、、。どれも真数を底の累乗に直すだけで出ます。

。 なので、負の値も出ます。

です。 なので、分数にもなる。

。 からです。

式書き換え値
log 底 3 の 93 の 2 乗が 92
log 底 2 の 1/82 の -3 乗が 1/8-3
log 底 9 の 39 の 1/2 乗が 31/2
log 底 8 の 48 の 2/3 乗が 42/3

いつでも成り立つ 3 つ

真数が なら、答えは です。どんな底でも になるため。

真数が底そのものなら、答えは 。 からです。

真数が底の累乗なら、その指数がそのまま答えになります。

3 つとも定義を書き換えただけです。真数を底の形に直す、という 1 つの動作から出てきます。

例:書き換えの練習

を対数の形にすると です。

を指数の形に戻すと 。

は と書けます。値は求まりませんが、 をこの形で表せる。

から を求めるなら、 で 。底が正なので負の解は捨てます。

なら です。

対数の式が出てきたら、まず指数の形に書き戻す。それだけで、見慣れた方程式になることが多い。

を に直す。この 1 手が、対数の計算のほとんどの入口になります。

底が 1 では対数が作れない

を許さない理由は、答えが決まらないからです。

が、どんな でも成り立ちます。 の答えは でも でも でもよいことになる[2]。

真数が 以外なら、今度は答えが 1 つもありません。 をみたす が存在しない。

答えが多すぎるか、まったくないか。どちらにしても関数として使えません。

底が負でも対数が作れない

とすると、 は が整数のときしか実数になりません。

は実数にないし、 にいたっては値そのものが定まらない[2]。

値が飛び飛びにしか存在しないため、連続に逆をたどる相手になれません。だから底は正の数に限ります。

底が正で でないとき

は正の数全体を 1 回ずつ通る。逆をたどれば答えがただ 1 つ決まる

底が や負のとき

同じ値を何度も返すか、値が存在しない。逆をたどる相手にならない

真数が正の数に限られる理由

なら、 の値はいつでも正です。どんな指数を入れても や負にはなりません。

だから や には答えがない。真数が正、という条件はここから来ています[2]。

を大きな負の数にすると は に近づきますが、 そのものには届かない。近づくだけで到達しないのが、 が除かれる理由です。

記号の約束

底を書かない は、場面によって指すものが変わります。

高校の教科書や工学では、底 の常用対数を指すことが多い。数学の解析や計算機科学では、底 の自然対数や底 を指します[3]。

ドイツの工業規格では書き分けが決まっていて、 が自然対数、 が常用対数、 が底 を指します[3]。

日本の高校では と書き、底を省略しないのがふつうです。読む前にどの流儀かを確かめると、とり違えが起きません。

対数が生まれた理由

対数は、かけ算を足し算に変える道具として作られました[4]。

1614
ネイピアが対数を発表

かけ算を足し算に置きかえる方法として公表された。天文計算の手間を減らすのが目的だった。

1617
ブリッグスが常用対数表を作る

底を 10 にそろえた表が作られ、桁の扱いが一気に楽になった。

20 世紀
計算尺が広まる

対数の目盛りを刻んだ物差しを滑らせるだけでかけ算ができる道具として、技術者に長く使われた。

が成り立つため、かけ算の答えを足し算と表引きで出せる。電卓が現れるまで、これが実用の中心でした。

例:かけ算を足し算に置きかえる

を、 を底にした対数で計算します。

、。足すと です。

の値が になる数は 。 と一致します。

かけ算が足し算で済みました。桁の多い数どうしほど、この置きかえが効いてきます。

例:桁の見当を付ける

がおよそ何桁かを見ます。 です。

。 より少し大きい数だと分かります。

つまり 桁。実際の は 桁で、合っています。

桁が増えても、足し算と表引きの手間は変わりません。ここが道具としての強みです。

対数目盛で見る

対数の値を長さに置きかえた物差しを考えます。 から までを、等間隔ではなく対数の間隔で刻む。

から までが 、 から までも 。かけ算で同じ倍率なら、同じ長さになります。

倍ごとの区間が、どこでも同じ長さで並びます。長さを足す操作が、数をかける操作に対応している。

計算尺はこの物差しを 2 本重ねた道具です。滑らせて長さを足すと、答えの位置にかけ算の結果が来ます。

例:対数の形でしか書けない値

を解きます。 は の累乗ではないため、きれいな数にはなりません。

答えは です。この形が答えそのもので、これ以上は簡単になりません。

大きさは見当が付きます。、 なので、。

なので、 より下。 あたりです。値を求めるのと、値を表すのは別のことになります。

例:値が求まる形と求まらない形

は 。真数が底の累乗なので、きれいに出ます。

は求まりません。 が の累乗でないためです。

は求まります。両方を の累乗に直すと から 、つまり で 。

底と真数が同じ数の累乗で書けるかどうか。ここが、値が出るかどうかの分かれ目です。

対数の値はたいてい無理数

が分数で書けないことを確かめます。書けたと仮定して、矛盾を出す。

とします。 と は正の整数です。

指数の形に戻すと 。両辺を 乗して になります。

左辺は の累乗なので偶数、右辺は の累乗なので奇数。偶数と奇数が等しくなることはありません。

だから は無理数です。真数が底の累乗になっていない対数は、たいていこうなります。

例:底や真数を求める

から を出します。指数に戻すと で、。

底は正で でないという条件があるため、 が答えです。負の解は最初から候補に入りません。

なら になります。

は 、つまり から です。

なら 。 で になります。

例:底をそろえて計算する

を求めます。 と はどちらも の累乗です。

を に直すと で、。

も同じ手順です。 から になります。

なら なので 、 です。底が より小さいと値が負に振れる。

底と真数を同じ数の累乗にそろえる。この 1 手で、値の出る対数はほぼ片づきます。

指数の形に書き戻す。迷ったらこの 1 手に戻ると、たいていの式はほどけます。

の値はどれですか。

__RESULT__

、 です。 を に直すと になり、 が出ます。

の値はどれですか。

__RESULT__

なので です。真数が より小さいと、底が より大きいかぎり対数の値は負になります。

参考文献

Paul Dawkins. *Logarithm Functions*. Paul's Online Notes, Lamar University.
Why Can't a Logarithm Have a Negative Base?. The Math Doctors.
Logarithmus. Wikipedia.
The making of the logarithm. Plus Magazine, University of Cambridge.
$2^3 = 8$ と $\log_2 8 = 3$ は、同じ事実を左右から書いたものです。指数が答えの位置に来るか、問いの位置に来るかの違いだけ。$a^p = M$ を $\log_a M = p$ に読みかえる約束から、$\log_a 1 = 0$ も $\log_a a^k = k$ も自動的に出ます。底に 1 を選べないのは答えが決まらないから、真数が正に限られるのは $a^x$ が 0 や負を通らないため。対数目盛で長さを足すと数が掛かる仕組み、$\log_2 3$ が無理数になる理由、掛け算を足し算に置きかえた歴史まで並べました。