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累乗根の計算と有理化:3 乗根と 4 乗根で扱える範囲が違う

、。3 乗根なら、中身が負でも実数のまま計算できます。

ところが は実数の中にありません。4 乗して負になる実数がないためです。

が偶数か奇数か。この一点で、根の個数も、扱える数の範囲も変わる。

n 乗根の定義

を 以上の整数とします。 をみたす を、 の 乗根と呼びます[1]。

乗根が平方根、 乗根が立方根。まとめて累乗根といいます。

定義は「 乗すると になる数」であって、記号 そのものではありません。ここが混乱のもとになる。

実数解が何個あるかは、 のグラフと横線 の交点を数えれば分かります。

偶数と奇数で分かれる

が偶数のとき、 は下に凸で、 軸について対称です。値は 以上にしかなりません。

だから なら交点は 個、 なら 個、 なら つもない。

が奇数のとき、 は単調に増えます。どんな実数 をとっても交点はちょうど 個[2]。

が偶数

で 個、 で 個、 では実数解がない

が奇数

が正でも負でも でも、実数解はちょうど 個

偶数乗は符号を消してしまう。この一行から、上の 2 つの場合が決まります。

記号が指すものを 1 つに決める

の 乗根は と の 個あります。記号 がどちらを指すのかは、決めておかないと通じません。

そこで次のように約束します[1]。

n が偶数で a が 0 以上なら、n 乗根のうち 0 以上のものを表す。
n が奇数なら、ただ 1 つある実数の n 乗根を表す。
n が偶数で a が負のときは、実数の範囲では定めない。

であって、 は含みません。負のほうを指したいときは と書く。

です。奇数乗根なら、負の数もそのまま根号の中に置けます。

例:値を求める

です。 になるため。

、、。どれも中身を素因数分解すると見えてきます。

は実数にありません。 が偶数で、中身が負だからです。

式値理由
3 乗根 6444 の 3 乗が 64
5 乗根 3222 の 5 乗が 32
4 乗根 8133 の 4 乗が 81
3 乗根 -125-5-5 の 3 乗が -125
6 乗根 -64なし偶数乗根で中身が負

の 乗根はいつでも だけです。 になります。

累乗根の性質

、 とし、、 を 以上の整数とします。次の等式が成り立ちます[2,3]。

根号の指数と中身の指数を同じ倍率にしても、値は変わりません。

この 5 つで、教科書に出てくる累乗根の変形はほぼ足ります。

正の数という条件は外せない

条件の 、 を落とすと、積の等式は壊れます[3]。

を としたくなりますが、左辺は実数の範囲で値を持ちません。かけてから根号に入れる、という順の入れかえが許されないため。

偶数乗根では、中身が負のあいだは等式そのものが成り立ちません。負の数を含む変形は、まず実数の範囲に収まるかを見ます。

奇数乗根なら中身が負でも実数なので、符号を根号の外へ出してから計算できる。

なら と書き直せます。奇数乗根では符号が自由に出入りする。

例:性質を使って整理する

は、中身をかけて です。

になります。

。根号の重なりは、指数をかけ合わせて 1 つにまとめる。

です。

のように指数が違うときは、 にそろえます。。

指数に直して約分する

根号のまま考えると手が止まる式も、 と書き直すと約分が見えます。

なら なので です。

になります。

約分が効くのは、中身が指数の形に書けるときだけ。 のように分解できない中身は、そのままの形が答えです。

分母の有理化

分母に累乗根があるときは、かけたら根号が外れる相手を選びます。

で考えます。 をもう 1 回かけても にしかならず、根号は残る。

をかけると になります。中身の指数の和が に届いた瞬間、根号が外れる。

一般に、分母が の形なら をかけます。指数の和が になるように選ぶ、というだけの話です[4]。

例:有理化の練習

を直します。 なので、足して になる をかける。

なら で、かける相手は です。

は、 なので をかけて になります。

例:3 乗根の差がある分母

のような分母では、かける相手が 1 つでは足りません。

を使います。、 と置くと、 で 。

分母分子に をかける。

平方根なら共役をとれば済みましたが、 乗根では因数分解の公式を持ち出すことになります。

例:累乗根を含む方程式

の実数解は の 個だけです。奇数乗なので、負の解も別の解も出てきません。

の実数解は の 個。符号を落とすと半分失います。

には実数解がありません。左辺が 以上にしかならないため。

なら です。 と書けるのは正のほうだけで、解を答えるときは を付ける。

中身を素因数分解して外へ出す

は約分できませんが、中身を分解すると一部だけ外へ出せます。

なので、 の部分が になって出ていく。

乗の形でまとまった因数だけが外へ出ます。 乗根なら 個ひと組、 乗根なら 個ひと組。

中身を素因数分解する

n 個ひと組でまとめる

組になった分だけ外へ出す

組にならなかった因数は、根号の中に置いたままにします。

例:外へ出す練習

は なので です。

なら で、答えは 。

は と見て になります。

です。

は、そのままでは足せません。 と に直すと、根号の部分がそろって になります。

平方根で とした手順と同じ形です。

文字が入ると絶対値が必要

は ではありません。 を入れると、左辺は で右辺は になります。

正しくは です。偶数乗根が 以上の値しか返さないため。

のほうは、そのまま成り立ちます。奇数乗根は符号ごと通り抜ける。

が偶数なら 、 が奇数なら 。指数と根号の指数が打ち消し合うように見えて、偶数のときだけ絶対値が残ります。

例:絶対値が付く場合の計算

のとき、 を簡単にします。

で、。和は です。

で確かめます。 になり、合っています。

は です。 なら 、 なら に分かれます。

手順のまとめ

値を求めるとき

中身を素因数分解し、 乗でまとまった因数を外へ出す。残った因数は根号の中に置いたままにします。

形をそろえるとき

根号を指数に直し、分母をそろえてから約分する。指数が整数になれば根号は消えます。

分母を有理化するとき

中身の指数の和が になる相手をかける。差の形なら 乗の因数分解を使います。

どの手順でも、最初にやることは中身の素因数分解です。

複素数まで広げると

実数の範囲では、 が偶数なら 個、奇数なら 個でした。複素数まで広げると、個数の数え方が変わります。

でない複素数の 乗根は、いつでもちょうど 個あります[1]。

の 乗根なら と の 個。 を と分解すれば出てきます。

個の根は、複素平面の単位円を 等分した位置に並びます。実数として見えていたのは、そのうち実軸に乗ったものだけ。

記号 が値を つに定めるのは、 個のうち つを選ぶ約束を置いたからです。

を簡単にすると、どれになりますか。

__RESULT__

なので です。指数を約分すると 乗根が平方根まで縮みます。

をみたす実数 は何個ありますか。

  • 1 個
  • 2 個
  • 4 個
__RESULT__

と の 個です。 個になるのは複素数まで広げたときで、実数の範囲では偶数乗の対称性から 個に収まります。

参考文献

nth Root. Wolfram MathWorld.
Nth root. Wikipedia.
Potenzen mit rationalem Exponenten. Mathe für Nicht-Freaks, Wikibooks.
Paul Dawkins. *Radicals*. Paul's Online Notes, Lamar University.
$\sqrt[3]{-8} = -2$ は書けるのに、$\sqrt[4]{-16}$ は実数の中にありません。4 乗して負になる実数がないため。n が偶数か奇数かで、根の個数も扱える範囲も変わる。記号が指すのは 0 以上のほうだけなので、方程式の解を答えるときは符号を付け直す。素因数分解して外へ出す手順、指数に直して約分する手順、分母の有理化で掛ける相手の選び方まで。3 乗根の差がある分母では 3 乗の因数分解を使い、文字が入ると絶対値が残ります。