無理数乗の定義(2 のルート 2 乗は有理数乗のはさみうちで決まる)
という値があります[4]。
けれど は分数で書けません。分母が根号の指数、分子がべきの指数、という読み方がそのままでは使えない。
指数が無理数のときだけ、値の決め方をもう一段作り直すことになります。
分数の読み方が届かない
なら、分母の から 乗根、分子の から 乗と読めました。指数が分数で書けているからです。
は、どんな整数の比でも表せません。 乗根という操作も存在しない。
読み方を借りる先がないので、別の道を通します。近づけて決める、という道です。
有理数ではさみうちにする
を小数で切ると、有理数が得られます。、、、。どれも分数です。
切り捨てた値と切り上げた値で、 をはさめます。
は が増えると増える関数です。だから指数のはさみうちが、そのまま値のはさみうちに移ります。
左端と右端は有理数乗なので、すでに値が決まっています。、。
桁を増やすほど、はさむ幅は狭くなる。狭まっていく区間がただ 1 点に収束し、その点を と呼びます[1]。
数列の極限として定める
はさみうちを式にします。 に近づく有理数の列 をとる。
一般の底でも同じです。 と実数 に対し、 に収束する有理数列 をとって と定めます[1]。
なら 、、、 と続く列の行き先です。
どの列でとっても同じ値になる
に近づく有理数列は無数にあります。切り捨てで作った列、切り上げで作った列、上下に振れながら近づく列。
定義が意味を持つには、どの列を選んでも同じ行き先でなければならない。この点が保証されています[1]。
極限が存在すること、そして選んだ列によらないこと。この 2 つがそろってはじめて、定義として使えます。
片方でも崩れると、同じ値が近づけ方によって別の数になってしまう。
この保証があるので、どの近づけ方を選んでも答えは一致します。切り捨てでも切り上げでも同じ。
単調性がはさみうちを支えている
なぜ収束するのか。 のとき、 が単調に増えることが効いています[3]。
有理数 なら 。だから切り捨ての列は増えながら上から押さえられ、切り上げの列は減りながら下から支えられます。
増える列が上に有界なら収束する。実数の連続性が、行き先の存在を保証しています。
なら不等号が全部ひっくり返るだけで、筋は同じです。 はいつでも 。
底が負だと極限が定まらない
で同じことをしてみます。 は計算できますが、 は実数にありません。
有理数列に沿って値が飛び飛びに存在したり消えたりする。極限を考える土台が崩れます[1]。
負の底で使えるのは、既約分数にしたとき分母が奇数になる有理数の指数だけ。無理数乗はそもそも定義されません。
すべての実数の指数で値が決まる。指数法則もそのまま成り立つ
分母が奇数の有理数乗しか定まらない。無理数乗は定義されない
指数関数 の底に という条件が付いているのは、この事情によります。
対数を使う定め方
大学では、極限を経由せずに一気に定める書き方もよく使われます[2]。
指数関数 と自然対数 を先に作っておき、そこから一般の を定義する順番です。
こちらなら連続性も単調性も、 と の性質としてすでに手元にあります。実数の指数が最初から入っている。
高校の順番とは逆さまですが、行き着く値は同じです。
例:はさんで大きさを見る
の大きさを、電卓なしで見積もります。
から 。右端は です。
左端は 。、 なので、 と のあいだ。
合わせると が分かります。実際の値は なので、この幅にきちんと入っています。
例:ほかの無理数乗
は と のあいだ。 なので、 に近いほうです。
なら から、 と のあいだになります。
は底が より小さいので、指数が大きいほど値は小さい。 です。
指数法則は無理数でも生き残る
有理数乗で成り立っていた法則は、極限をとったあとも保たれます[2]。
理由は素朴です。有理数の列どうしで法則が成り立ち、両辺が連続に動くなら、行き先でも等号が残る。
のように、そのまま計算できます。
例:無理数乗を含む計算
は指数を足して です。
は指数を掛けて になります。
になります。
。無理数どうしの積が整数になると、値も一気に整理されます。
無理数の無理数乗が有理数になることがある
も も無理数で、 が有理数。そんな組はあるのか。
を見ます。これが有理数なら、 で例が 1 つできる。
有理数でないなら、、 と置きます。
どちらの場合でも例が作れました。 が有理数かどうかを決めないまま、存在だけが言えてしまう論法です。
その後の研究で、 は超越数、つまり有理数ではないと分かりました[4]。後ろの場合が本物だったわけです。

例:大小を比べる
と では、どちらが大きいか。 なので、 です。
と を比べます。底も指数も違うので、そのままでは並べられない。
指数を近い値に置きかえます。、いっぽう 。
これだと幅が重なるので決まりません。もう少し詰めると 前後、 前後で、 のほうが大きくなります。
底が大きいほうが伸びやすい。指数がわずかに小さくても、底の差が上回ることがあります。
例:無理数を指数に含む方程式
を解きます。 は単調なので、指数を比べるだけ。 です。
なら、底を にそろえます。 なので になり、。
を の累乗で書くと です。底をそろえる手順は、指数が無理数でも変わりません。
なら、左辺は 。 から になります。
単調性から対数が生まれる
のとき、 は実数全体で単調に増え、値は正の数全体を動きます[2]。
穴がなく、同じ値を 2 回とらない。だから正の数 を 1 つ決めると、 をみたす がちょうど 1 つ定まります。
この に名前を付けたものが対数です。無理数乗まで値を埋めておかないと、この 1 対 1 の対応が作れない。

高さから横位置を読む。向きを逆にしただけの操作が、対数という名前で呼ばれています。
無理数乗は新しい計算規則ではありません。有理数乗を細かく詰めていった行き先です。
の値がある区間はどれですか。
- より小さい
- と のあいだ
- より大きい
底が より小さいときの向きも確かめておきます。
と では、どちらが大きいですか。
- 等しい
で、指数は より大きい。底が より小さいときは指数が大きいほど値が小さくなるので、 のほうが小さくなります。











1.4<2<1.5 で、2x は単調に増えます。指数の大小がそのまま値の大小に移るため、21.4 と 21.5 にはさまれます。