角の二等分線はなぜ隣の辺の比どおりに底辺を分けるのか?
、 の三角形で、角 A の二等分線が辺 BC と交わる点を D とします。すると になります。
を約分した値がそのまま出てくる。底辺の長さも角の大きさも、この比には関わりません。
理由は平行線を 1 本引くだけで見えます。
主張の形
三角形 ABC で角 A の二等分線が辺 BC と交わる点を D とすると、次が成り立ちます。
D から見て B 側の長さは、A から見て B 側の辺に対応する。左右の対応がそのまま移る形です。
ユークリッドは第 6 巻の 3 番目の命題でこれを述べました[1]。同じ命題の中に逆も入っています。
平行線を 1 本引く
点 C を通り、二等分線 AD に平行な直線を引きます。この直線と、辺 BA を A の側へ延ばした直線との交点を E とします。
すると三角形 ACE が二等辺三角形になり、 が言えます。あとは平行線が比を保つ性質を当てるだけ。

二等辺三角形になる理由
AD と EC が平行で、直線 AC が両方を横切ります。錯角が等しいので、角 ACE と角 CAD が等しくなる。
同じ 2 本の平行線を直線 BE が横切ると、同位角が等しいので角 AEC と角 BAD が等しい。
AD は角 A の二等分線なので、角 BAD と角 CAD は等しい。したがって角 AEC と角 ACE も等しくなります。
底角が等しい三角形は二等辺三角形です。だから 。
証明の要は、二等分線がつくる2 つの等しい角を、平行線ごしに三角形 ACE へ運んだところにあります。
角を運ぶ道具が錯角と同位角。運んだ先で底角がそろい、辺の長さが等しくなる。
比が移る
三角形 BCE を見ると、AD は辺 EC に平行です。平行線は残る 2 辺を比例して切ります[3]。
ここで を代入すれば、右辺は になります。これで主張が出ました。
例:長さを求める
、、 の三角形で、角 A の二等分線が BC を切る点を D とします。
です。 を 等分して つぶんが になります。
の長さが分からなくても比は出ます。長さが要るときだけ を使う。

面積で見ると 1 行で済む
三角形 ABD と三角形 ACD は、頂点 A から BC へ下ろした高さが同じです。だから面積の比は底辺の比になります。
同じ 2 つの三角形を、AD を底辺と見て測り直します。D から AB と AC へ下ろした垂線の長さは、AD が角の二等分線なので等しい。
同じ面積比を 2 通りに読んだだけで、 が出ます。

逆も同じ命題の中にある
が成り立つなら、AD は角 A の二等分線です[1]。
証明は同じ図を逆にたどるだけ。比の条件から が出て、三角形 ACE の底角がそろい、角 BAD と角 CAD が等しくなります。
長さだけを測って、角度を測らずに二等分線だと言える。作図の正しさを確かめるときに使えます。
角の二等分線があると分かっている。底辺の分かれ方を求める
底辺の分かれ方が分かっている。その線が二等分線だと示す
例:逆から二等分線を示す
、 の三角形で、、 だとします。
、。2 つが一致するので AD は角 A の二等分線です。
角度をひとつも測っていません。長さだけで結論が出ています。
内角と外角は組になる
角 A の外角を二等分する直線も、辺 BC の延長を同じ比で切ります。こちらは外分点になる[2]。
内角の二等分線が作る内分点と、外角の二等分線が作る外分点。この 2 点と B、C の 4 点が調和点列と呼ばれる並びを作ります。
、、 の三角形で、角 A の二等分線が BC を切る点を D とします。 はいくつですか。
検算のしかた
出した と を足して、 に戻るかを見ます。 のように、もとの長さに一致すれば配分は正しい。
もう 1 つの確かめ方は、長いほうの辺の側に長いほうの断片が来ているかです。 なら になります。
比を逆に当ててしまう誤りは、この向きの確認でほぼ防げます。










BD:DC=9:6=3:2 なので、BC を 5 等分して 3 つぶんです。BD=20×53=12。8 は DC の値、13.3 は 9:6 を 3:2 でなく比のまま 20 に当てた値です。