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円に内接する四角形の対角線、トレミーの定理が結ぶ 2 組の積

円に内接する四角形 ABCD で、対角線の積が向かい合う辺の積の和に等しくなります。

6 つの長さが 1 本の等式で結ばれる。5 つ分かれば残り 1 つが出ます。

証明は補助線 1 本で終わります。

補助線を 1 本引く

対角線 AC の上に点 K をとり、 となるようにします。角 B を 2 つに切り分ける形です。

三角形 ABK と三角形 DBC を比べます。いま作った角が等しく、 は弧 BC を見込む円周角なので等しい。

2 角が等しいので相似です。対応する辺から 、つまり

もう 1 組の相似

同じ図で、三角形 ABD と三角形 KBC を比べます。

です。 なので、この 2 つの角は等しくなります。

さらに は弧 AB を見込む円周角なので等しい。だから 2 つの三角形も相似です。

対応する辺から 、つまり

2 つを足す

得られた 2 つの等式を足します。

左辺は にまとめられます。K は AC の上にあるので

これで主張が出ました[1]。補助線 1 本と相似 2 組だけで済みます。

例:長さを求める

円に内接する四角形で 、対角線 とします。

トレミーの定理から

です。5 つの長さが分かれば残る 1 つが割り算 1 回で出ます。

例:正三角形と円

正三角形 ABC の外接円の弧 BC 上に点 P をとります。四角形 ABPC にトレミーの定理を当てる。

。正三角形なので で、辺の長さを と書けば全部で割れます。

弧の上のどこに P をとっても、遠い頂点までの距離が近い 2 頂点までの距離の和になる。きれいな結論です。

例:長方形なら三平方の定理

長方形は必ず円に内接します。トレミーの定理を当ててみます。

、対角線はどちらも で等しい。代入すると次の形になります。

三平方の定理が出てきました。トレミーの定理は、三平方の定理を四角形へ広げた形とも見られます。

長方形のとき

対角線が等しく、辺も 2 組が等しい。三平方の定理に落ちる

一般の内接四角形

6 つの長さがすべて違ってよい。等式は 1 本のまま成り立つ

内接しない四角形では

4 点が同一円周上にないとき、等号は不等号に変わります。対角線の積のほうが小さくなる。

等号が成り立つのは、4 点が同一円周上にあって、しかもこの順に並んでいるときだけです[2]

だから逆向きにも使えます。等式が成り立つと確かめられれば、4 点が同一円周上にあると言える。

等号が成り立つのは、4 点が円周上にこの順で並ぶときだけです。

順番が入れかわると等号は崩れます。凹んだ四角形では成り立ちません。

例:正五角形と黄金比

正五角形の頂点 4 つで四角形を作ります。辺が 3 本と対角線が 1 本、対角線が 2 本という形になる。

辺の長さを 、対角線を とすると、トレミーの定理は になります。

両辺を で割ると と置けば

これは黄金比の方程式です。正五角形の対角線と辺の比が黄金比になる[3]

円に内接する四角形で 、対角線 です。対角線 はいくつですか。

__RESULT__

から です。。辺の組み合わせは向かい合うものどうしを掛けます。

つまずきやすいところ

隣り合う辺どうしを掛ける。掛けるのは向かい合う辺です。
対角線の積を辺の積の和と足す。等式の両辺に分かれています。
円に内接しない四角形に当てる。等号は内接するときだけです。
頂点の並び順を確かめない。円周を回る順に A、B、C、D と並ぶ必要があります。
対角線がどれかをとりちがえる。AC と BD が対角線で、AB や BC は辺です。

補助線 1 本と相似 2 組。仕組みが分かると、覚える式が 1 本に減ります。

参考文献

Ptolemy Theorem, Proof Without Words. Cut the Knot, A. Bogomolny.
Euclid's *Elements*, Book III, Proposition 22. D. E. Joyce, Clark University.
Golden ratio. Encyclopedia of Mathematics.
対角線の積が、向かい合う辺の積の和に等しくなります。証明は対角線の上に補助点 K を 1 つとるだけ。角 B を切り分けると相似な三角形が 2 組できて、そこから出た等式を足すと $AK + CK = AC$ にまとまります。長方形に当てはめると三平方の定理が出てくるので、その四角形版とも見られる。正五角形に当てはめれば $x^2 = x + 1$ になり、対角線と辺の比が黄金比だと分かります。円に内接しないときは等号が不等号に変わる。