頂点から内接円の接点までの長さは 3 辺で決まる|数学 A の図形
3 辺が 、、 の三角形なら、頂点から内接円の接点までの長さは 、、 です。周の半分から向かいの辺を引くだけで出ます。
角度も面積も要りません。3 辺の長さだけで、接点の位置が完全に決まります。
もとになるのは、接線の長さが等しいという性質ひとつです[3]。
3 本の等式から解く
内接円が辺 AB、BC、CA に接する点を F、D、E とします。頂点 A から出る 2 本の接線は と で、長さが等しい[1]。
その値を と置きます。同じように B からを 、C からを とすると、辺の長さが 2 つの和で書けます。
3 式を全部足すと 。周の半分を と書けば です。
1 番目の式を引くと が出ます。同じ手順で 、[2]。
対応をまちがえない
の は、頂点 A の向かいにある辺 BC のことです。頂点のとなりの辺ではありません。
、、 なら で、、、。
確かめは足し算でできます。、、。
いちばん長い辺の向かいの頂点から出る接線が、いちばん短くなる。この向きも覚えておくと検算に使えます。
の は、頂点の向かいにある辺です。
頂点にくっついている 2 辺ではありません。向かいの辺を引く、と 1 度で覚えます。
ヘロンの公式に同じ値が現れる
三角形の面積をヘロンの公式で書くと、根号の中に 、、 が並びます。
この 3 つは、いま求めた接線の長さそのもの。 と書き直せます。
、、 なら 。接点の長さを出しておけば、面積も同じ材料から出ます。
内接円の半径も と書けます。3 つの接線の長さが、円の大きさまで決めている。
例:直角三角形では半径が出る
角 C が直角の直角三角形を考えます。 が斜辺です。
C から出る接線の長さは 。この 2 本と 2 本の半径が正方形を作ります。接線と半径が直交し、しかも 2 本の半径が等しいためです。
だから 。直角三角形では、内接円の半径がそのまま接線の長さになります。
、、 なら 、。 と同じ値です。
傍接円の接点と向かい合う
辺 BC の上には、内接円の接点 D と、辺 BC に接する傍接円の接点 が並びます。
内接円の接点は B から 、傍接円の接点は B から の位置にあります[1]。
2 つの距離を足すと 。ちょうど辺の長さになるので、この 2 点は辺 BC の中点をはさんで対称です。
片方が分かればもう片方は引き算で出る。傍接円の接点をわざわざ計算し直す必要はありません。
B から の位置。三角形の内側から接する
B から の位置。三角形の外側から接する
接点を結ぶと 1 点に集まる
3 つの接点 D、E、F と、向かい合う頂点 A、B、C をそれぞれ結びます。この 3 本は 1 点で交わります。
チェバの定理の逆で確かめられます。 を接線の長さで書くと 。
積が なので 3 本は共点です。この点をジェルゴンヌ点と呼びます。
傍接円の接点で同じことをすると、また別の 1 点が出る。こちらはナーゲル点と呼ばれ、2 点は対をなします[1]。
例:接点で切られた長さから 3 辺を出す
逆に、接点までの長さが 、、 と分かっているとします。
、、。3 辺が一度に出ます。
なので、面積は 。
接点の長さと 3 辺は、どちらからどちらへも行き来できる。同じ情報を別の形で書いているだけです。
3 辺が 、、 の三角形で、いちばん短い辺の向かいにある頂点から接点までの長さはいくつですか。
検算のしかた
出した 3 つの値を 2 つずつ足して、もとの 3 辺に戻るかを見ます。、、 のようにそろえば正しい。
もう 1 つは大小の向きです。いちばん長い辺の向かいの頂点から出る接線が、いちばん短くなります。
3 つの値を足すと になることも確かめられる。3 通りの検算が使えるので、ここでの計算ちがいは見つけやすい。











s=29+10+11=15 です。いちばん短い辺は 9 なので、その向かいの頂点からは 15−9=6。5 は 15−10、4 は 15−11 にあたり、それぞれ別の頂点からの長さになります。