外心と重心と垂心は一直線に並ぶ - オイラー線がその 3 点を貫く
外心 O、重心 G、垂心 H の 3 点は、いつでも 1 本の直線の上に並びます。しかも です。
3 つの中心はまったく別の作り方で決まるのに、位置だけがきれいに縛られている。
理由はベクトルの等式 1 本で出ます。
ベクトルで一気に片づける
外心 O を原点にとります。重心の位置は 3 頂点の平均なので、次のように書けます[1]。
ここで、 で定まる点 H を用意します。この H が垂心だと示します。
です。一方 。
内積をとると になります。
O は外心なので 。差は で、 が出ます。
比が 1 対 2 になる
同じ議論を頂点 B と C でも回すと、H が 3 本の垂線すべての上にあると分かります。だから H は垂心です。
2 つの式を並べます。 は和を 3 で割った形、 は和そのものでした。
2 つのベクトルが平行なので、O と G と H は一直線に並びます[1]。
なので 。だから です[2]。
証明の要は、外心を原点にとるという一手にあります。
半径がすべて等しいので、内積の計算で どうしが打ち消し合う。原点をほかに置くと式が重くなります。
中点三角形から見る道もある
3 辺の中点を結んだ三角形を中点三角形と呼びます。もとの三角形と相似で、比は です。
重心を中心に、係数 の相似変換を当てると、もとの三角形が中点三角形に移ります[2]。
この変換で、もとの三角形の垂心は中点三角形の垂心へ移る。中点三角形の垂心は、もとの三角形の外心です。
変換の中心が G で、係数が 。だから G、H、O がこの順に並び、比が になります。

九点円の中心も乗る
オイラー線の上には、もう 1 つ重要な点があります。九点円の中心 N です[2]。
九点円は、3 辺の中点、3 つの垂線の足、垂心と各頂点を結んだ 3 つの中点。この 9 点を通ります[3]。
N は線分 OH のちょうど中点にあります。半径は外接円の半径の半分で [2]。
O、N、G、H の 4 点がこの順に並び、 は になります。線分 OH を 6 等分した目盛りの上に、すべてが乗る。

内心は乗らない
4 つの中心のうち、オイラー線に乗るのは外心と重心と垂心の 3 つです。内心は乗りません。
二等辺三角形では対称軸の上に 4 つとも並ぶので、内心も乗っているように見えます。ただし、それは対称軸とオイラー線がたまたま同じ直線だからです。
一般の三角形では、内心はオイラー線から外れた場所にあります。内心と外心の距離が だという式も、この外れ方を測るものです。
外心、重心、垂心、九点円の中心
内心と 3 つの傍心。二等辺三角形のときだけ例外的に並ぶ
正三角形では直線が決まらない
正三角形では O と G と H が同じ点になります。1 点だけでは直線が定まらない。
そのため、正三角形にはオイラー線が存在しないという言い方をします[2]。
逆に言えば、オイラー線が引ける三角形は正三角形ではない。線が消えることが、形が特別だという合図になります。
例:座標で確かめる
、、 とします。重心は座標の平均なので 。
外心は BC の垂直二等分線 の上にあります。AB の垂直二等分線と連立させると が出る。
3 頂点までの距離を確かめると、どれも でそろいます。
垂心は から、 です。A から下ろした垂線が で、BC が 軸なので確かに直交しています。
3 点とも の上にありました。、 なので比は です。
三角形 ABC で外心 O と重心 G の距離が です。垂心 H と重心 G の距離はいくつですか。
補足
3 点が一直線に並ぶことを最初に見つけたのはロバート・シムソンだと伝えられています。証明を与えたのはオイラーで、1765 年のことでした[2]。
オイラーは距離の比まで求めています。、 という形です[2]。
その後、九点円の中心もこの直線に乗ることが分かり、オイラー線は三角形の中心たちを束ねる軸として扱われるようになりました。










OG:GH=1:2 なので GH=4×2=8 です。12 は OH ではなく 3×OG を GH と読みちがえた値、2 は比を逆に当てた値になります。