重心と内心と外心が 1 点に重なる三角形、正三角形だけという結論
正三角形では、重心も内心も外心も垂心も同じ点に落ちます。4 つの中心が区別できなくなる。
逆も成り立ちます。4 つのうち 2 つが重なった時点で、その三角形は正三角形です。
どの 2 つを選んでも同じ結論になります。理由を順に見ます。
正三角形では 4 本が同じ直線になる
正三角形の頂点 A から辺 BC を見ます。中線、垂線、角の二等分線、垂直二等分線。この 4 本がすべて重なります。
なので三角形は左右対称です。対称軸が 1 本しかなく、4 本ともその軸の上に乗る。
3 つの頂点で同じことが起こるので、4 種類の中心はすべて同じ点になります。
だから正三角形では、中心の名前を区別する意味がなくなります。

重心と外心が重なると正三角形になる
重心を G、外心を O とし、 だとします。頂点 A から辺 BC の中点 M へ引いた中線は、必ず G を通ります[3]。
O も同じ点にあるので、直線 AM は辺 BC の垂直二等分線でもある。だから です。
三角形 ABM と三角形 ACM は、、 が共通、はさむ角がどちらも直角。2 辺とはさむ角が等しいので合同です。
だから 。同じ議論を頂点 B と頂点 C でも回すと が出て、3 辺すべてが等しくなります。

別の組み合わせでも同じ結論
重心と垂心が重なる場合を見ます。中線と垂線が同じ直線になるので、やはり が出ます。
内心と外心が重なる場合は、角の二等分線が垂直二等分線と同じ直線になる。同じく左右対称になります。
内心と重心なら、角の二等分線が中線と同じ直線です。角の二等分線が対辺を に切り、中線が に切るので、 が直ちに出ます。
どの 2 つを選んでも、頂点ごとに二等辺だと言えて、3 つ集めると正三角形になります。
どの組み合わせでも、その三角形は正三角形
外心と重心と垂心は 1 直線に並び、オイラー線をつくる
二等辺三角形では一直線に並ぶ
の二等辺三角形では、頂点 A からの 4 本が 1 本に重なります。ただし 4 つの中心は重なりません。
4 つとも対称軸の上に乗るので、一直線に並ぶだけ。位置は上から順に、垂心、外心、重心、内心と入れかわります。
正三角形はこの並びが 1 点に潰れた極限です。二等辺から正へ近づけると、4 点が寄っていきます。

どれだけ近いかを測る式
外心と内心の距離には、半径だけで書ける式があります[1]。
左辺は 以上なので が出ます。外接円の半径は、内接円の半径の 2 倍を下回れない[1]。
等号が成り立つのは のとき、つまり外心と内心が重なるときです。それは正三角形のときだけ。
を計算すれば、その三角形が正三角形からどれだけ離れているかが数値で分かります。
という不等式は、正三角形が最も丸い三角形だと言っています。
等号が正三角形でだけ成り立つので、 は形のいびつさを測るものさしになります。
例:3 辺が 3、4、5 のとき
、 なので 。外接円は斜辺が直径なので です。
なので 。
で、 からそれなりに離れています。直角三角形は正三角形からかなり遠い形です。
3 辺が 、、 なら 、 で 。こちらはずっと正三角形に近い。
オイラー線が消える
外心と重心と垂心は、ふつう 1 本の直線に並びます。オイラー線と呼ばれる直線です。
正三角形では 3 点が同じ場所に来るので、直線が 1 本に定まりません。オイラー線が存在しない、という言い方をします[2]。
2 点で直線が決まる、という当たり前の事実が効いている。中心が重なるほど、図形の情報は減っていきます。
三角形 ABC で重心と内心が同じ点にあります。この三角形はどれですか。
- 二等辺三角形とは限らない
- 二等辺三角形だが正三角形とは限らない
- 正三角形
補足
四面体でも似た問いが立てられます。ただし三角形ほどきれいには一致せず、重心と外心が重なっても正四面体になるとは限りません。
平面の三角形が特別なのは、頂点の数と辺の数が同じで、対称性が強く効くためです。
正三角形は、辺の長さがすべて等しいという条件と、中心が重なるという条件が同じ意味になる図形。この一致は次元が上がると崩れます。










角の二等分線は対辺を AB:AC に切り、中線は 1:1 に切ります。同じ点を通るので AB=AC。3 つの頂点で同じことが言えるため、3 辺すべてが等しくなります。