三角形が組めるかどうか〜いちばん長い辺と残り 2 辺の和くらべから
長さ 、、 の 3 本では三角形が作れません。 が に届かないためです。
確かめるのはいちばん長い辺だけ。残る 2 本の和がそれを超えていれば、三角形は必ず閉じます。
条件は 1 本の不等式で書けます。
3 つの不等式は 1 つで足りる
3 辺を 、、 とすると、次の 3 つが同時に成り立つ必要があります[1]。
ところが をいちばん長い辺にとると、残る 2 つは自動的に成り立ちます。 で なので が言えるためです。
だから確かめるのはいちばん長い辺についての 1 本だけ。3 回計算する必要はありません。
いちばん長い辺がいちばん大きい角と向かい合うことも、同じ枠から出てきます[3]。
、、 なら が偽なので不成立。、、 なら が真なので三角形ができます。
ユークリッドの証明
第 1 巻の 20 番目で、2 辺の和が残る 1 辺より大きいと述べられています[1]。
証明では辺 BA を A の側へ延ばし、 となる点 D をとります。三角形 ACD が二等辺三角形になる。
なので、 は より大きくなります。 のほうが を含んでいるためです。
大きい角の向かいの辺は長い、という命題を三角形 DCB に当てると [2]。 なので結論が出ます。

等号のときは 1 直線に潰れる
になると、3 点が同じ直線の上に並びます。面積が になり、三角形とは呼べません。
図で見ると、2 本の腕がぴったり伸びきって底辺に重なった状態です。角度がすべて 度か 度になる。
だから条件は で、等号を含みません。、、 は三角形になりません。
例:1 辺だけ分からないとき
、 と決まっていて、 の範囲を求めます。3 つの不等式をすべて書きます。
、 すなわち 、 すなわち 。
負の条件は意味を持たないので消えます。残るのは次の範囲です。
一般に、2 辺が と なら 。差と和が上下の境目になります。

例:整数の個数を数える
、 で が整数のとき、いくつの値がとれるか。
の範囲にある整数は から まで。 通りです。
境目の と は含めません。ここを含めてしまう誤りが多いので、不等号の向きを毎回書き出します。
とすると、潰れた三角形まで数に入る
が正しい。両端では面積が になる
距離としての意味
三角不等式は、長さが距離としてふるまうための条件でもあります。
平面上の 3 点 P、Q、R について が成り立つ。等号は Q が線分 PR の上にあるときだけです。
遠回りは短くならない、という当たり前の事実を式にしたもの。ベクトルの大きさや絶対値でも同じ形の不等式が現れます。
図形の話と数の話が同じ名前で呼ばれるのは、この構造が共通しているためです。
三角不等式は、長さが「距離」と呼べるための条件のひとつです。
非負であること、 になるのが同じ点のときだけであること、そして遠回りが短くならないこと。この 3 つが距離の骨組みになります。
例:4 辺のときはどうなるか
長さ 、、、 の 4 本で四角形が作れるかを考えます。
で に届きません。だから閉じない。多角形でも同じ形の条件が要ります。
本の棒で多角形を作るには、いちばん長い 1 本が残り全部の和より短ければ足ります。三角形の場合はこれが になる。
四角形では形が 1 つに決まらず、条件を満たしていても無数の形が作れます。三角形だけが 3 辺で形まで決まる特別な図形です。
長さ 、、 の 3 本で三角形を作ります。 が整数のとき、何通りの値がとれますか。
- 通り
- 通り
- 通り
検算のしかた
出した範囲の両端の少し内側で、実際に三角形が作れるかを確かめます。 なら で成立。
なら で成立します。境目のすぐ外、 と では等号か不成立になる。
範囲の端をまたいで 2 点ずつ試す。これで不等号の向きのとりちがえがほぼ防げます。









∣11−7∣<x<11+7 なので 4<x<18 です。整数は 5 から 17 までで 17−5+1=13 通り。18 通りは境目を含めて数えた値、11 通りは範囲を 7 から 17 と見た値になります。