3 本の中線が 1 点で交わる不思議……三角形の重心を面積からたどる
三角形の各頂点から対辺の中点へ線を引くと、3 本が 1 点で交わります。この点は中線を に分けます。
長いほうが頂点の側。どんな形の三角形でも、この比は動きません。
理由は中点連結定理を 1 回使うだけで出ます。
中線と重心
頂点と対辺の中点を結ぶ線分を中線と呼びます。3 本の中線が交わる点が重心です[1]。
重心は各中線を に分けます。頂点から重心までが 、重心から中点までが 。
英語では centroid、物理では重さの中心にあたる点でもあります。名前がいくつもあるのは、別々の文脈から同じ点にたどり着いたためです。
2 対 1 になる理由
辺 AB の中点を M、辺 AC の中点を N とします。中線 BN と中線 CM の交点を G とおきます。
中点連結定理から、MN は BC と平行で長さは半分です。だから三角形 GMN と三角形 GCB は相似で、相似比は 。
対応する辺の比が なので、、 が出ます。
2 本の中線の交点は、どちらの中線も に分ける。この事実が鍵になります。
3 本目も同じ点を通る
いま示したのは、中線 BN と CM の交点が両方を に分けることです。3 本目はまだ出てきません。
中線 AL と BN の交点を とすると、同じ議論から も BN を に分けます。
線分 BN を に分ける点は 1 つしかない。だから で、3 本目も同じ点を通ります[2]。
「同じ比で分ける点は 1 つ」という一言が決め手になる。共点を示す議論では何度も出てくる形です。
2 本ずつ調べて、交点が同じ場所に来ることを言う。
3 本を同時に扱わずに済むので、議論が短くなります。共点の証明でよく使う運びです。
切片定理で示す道もある
平行線が線分を等しい比で切る性質だけを使う証明もあります[3]。
辺 BC の中点 と辺 AB の中点 から、中線 に平行な直線を引きます。この 2 本が辺 AC を切る点を 、 とします。
A を中心に切片定理を当てると は の中点。C を中心に当てると は の中点になります。
これで AC が 4 等分され、 が の だと分かる。同じ比が中線の側へ移り、 が の になります。
例:座標で求める
、、 とします。重心の座標は 3 頂点の平均です。
、、 なら になります。
中点 は で、 から へ向かう線分上で の内分点を計算すると 。座標でも比が確かめられます。
6 つの面積が等しくなる
3 本の中線を全部引くと、三角形は 6 つに分かれます。この 6 つは面積が等しい。
中線 AL は面積を二等分します。中線 BN も、CM も同じ。3 本すべてが二等分するので、6 つが均等に割れます。
もう少していねいに見ると、隣り合う 2 つは底辺が等しく高さが共通です。だから 2 つずつが等しく、それが 3 組そろって全部が等しくなる。
面積を等しく 6 つに分ける点は、三角形の中でここだけです。
例:重心を通る直線
重心を通り、辺 BC に平行な直線を引きます。この直線が AB、AC を切る点はどこか。
なので、平行線は AB と AC を に切ります。切りとられる三角形は全体の 。
重心を通る直線が三角形を必ず二等分するわけではありません。二等分するのは中線のときだけです。
面積はぴたりと半分になる
面積は半分にならない。 と のように偏る
例:中線の長さ
、、 とすると、辺 BC への中線の長さ は次の式で出ます。
、、 なら で 。
重心から中点までの長さは、この になります。
三角形 ABC の重心を G、辺 BC の中点を M とします。 のとき はいくつですか。
補足
重心は双曲幾何でも同じように定義でき、3 本の中線が 1 点で交わる性質が保たれます[1]。
平行線の性質が違う世界でも結論が残る。中線の共点は、思ったより深いところにある事実です。
四面体でも同じ形の主張が成り立ちます。頂点と向かい合う面の重心を結ぶ 4 本が 1 点で交わり、その点は各線分を に分けます。










重心は中線を 2:1 に分け、短いほうが中点の側です。GM=12×31=4。8 は AG の値、6 は中点で二等分したときの値になります。