正五角形にひそむ黄金比 - 対角線と辺の比が相似から出てくる
正五角形の対角線を辺で割ると、 になります。黄金比と呼ばれる値です。
もとになるのは相似な二等辺三角形が 2 つ。角度を数えれば、そこから先は方程式を解くだけです。
まず角度を全部決めてしまいます。
角度は 36 度の倍数になる
正五角形の内角は です。
対角線 AC を 1 本引くと、三角形 ABC ができます。 なので二等辺三角形で、頂角が 。
底角はそれぞれ になります。
対角線を全部引くと、図の中の角はすべて の倍数になる。、、 の 3 種類しか現れません。

相似な二等辺三角形を見つける
対角線 AC と BD を引き、交点を P とします。三角形 ABC と三角形 BPC を比べます。
三角形 ABC は の二等辺三角形で、角は 、、。
三角形 BPC のほうは、、、残る です。
2 つとも 、、 の同じ形。 の角が B と P で対応し、相似になります。
方程式にする
辺の長さを 、対角線を とします。相似な 2 つの三角形から、対応する辺の比を書きます。
、 なので 、つまり 。
もう 1 つ必要なのが です。三角形 ABP の角を数えると 、、。
底角が等しいので になります。 に代入します。
黄金比が出てくる
と置き、両辺を で割ります。
つまり 。 の解は次の値です。
これが黄金比。線分を大小 2 つに分けたとき、全体と大きいほうの比が大きいほうと小さいほうの比に等しくなる分け方から出てきます[3]。
対角線どうしも黄金分割する
2 本の対角線が交わる点は、それぞれの対角線を黄金比に分けます。しかも長いほうの断片が、正五角形の辺と同じ長さになる。
ユークリッドは第 13 巻の 8 番目でこれを述べています[1]。順に並んだ 2 つの角を張る直線どうしは、外中比に切り合い、大きいほうの断片は五角形の辺に等しい。
対角線の長さは で、長いほうの断片が 、短いほうが 。
内側にできる小さい正五角形の辺は 。もとの辺の 倍になります。
交点が対角線を切る比も、同じ黄金比になります。
長いほうが辺に等しく、短いほうが内側の五角形の対角線に等しい。同じ比が入れ子で現れます。
例:数値で確かめる
辺を とすると、対角線は です。
対角線の断片は、長いほうが 、短いほうが 。この は に一致します。
内側の正五角形の辺は 。もとの辺の 倍です。
さらに内側へ五角形を描いていくと、辺の長さが 倍ずつ縮む等比数列になります。
比は 。大きいほうが対角線
比は 。同じ数の 2 乗が効く
作図はできる
正五角形は定規とコンパスだけで描けます。ユークリッドは第 4 巻の 11 番目で、円に内接する正五角形の作図を示しました[2]。
手順は、まず 、、 の二等辺三角形を作ることから始まります。底角が頂角の 2 倍という条件が要になる。
その三角形を円に内接させ、大きいほうの 2 角を二等分すると、円周に 5 つの等しい弧ができる。あとは点を結ぶだけです[2]。
より簡単な手順として、垂直な半径と中点から始める方法も知られています[2]。
1 辺が の正五角形で、対角線の長さはいくつですか。
検算のしかた
出した について が に戻るかを見ます。、。合いました。
もう 1 つの確かめ方は です。 で、。一致します。
逆数が を引いた値になる。この性質をもつ正の数は黄金比だけなので、強い検算になります。










相似から x2=x+1 が出るので、正の解 21+5≈1.618 です。2≈1.414 は正方形の対角線、25≈1.118 は別の値になります。