垂心が三角形の外へ出るとき(鈍角三角形と鋭角三角形の違い)
各頂点から対辺へ下ろした垂線は、3 本とも 1 点で交わります。この点が垂心です[1]。
鋭角三角形なら内部、直角三角形なら直角の頂点そのもの、鈍角三角形なら外部。3 通りに分かれます。
内心が必ず内部にとどまるのと対照的です。
3 本が集まる理由
いちばん短い証明は、外心に帰着させるものです。各頂点を通り、対辺に平行な直線を 3 本引きます。
3 本が囲む大きな三角形を考えると、もとの三角形の頂点は、大きな三角形の各辺の中点になります。
もとの垂線は、大きな三角形の辺に垂直で、しかもその中点を通る。つまり垂直二等分線です。
垂直二等分線が 1 点で交わることはすでに分かっています。だから垂線も 1 点で交わります。

直角三角形では頂点に重なる
角 A が直角のとき、辺 AB と辺 AC はもともと直交しています。
B から CA へ下ろした垂線は AB そのもの。C から AB へ下ろした垂線は AC そのものです。
2 本の交点は A。だから垂心は直角の頂点に重なります。3 本目の垂線も、当然 A を通ります。
垂心と頂点が同じ点になるのは、この場合だけです。
3 つの垂線の足がすべて辺の上。垂心は内部にとどまる
2 つの足が辺の延長へ出る。垂心も三角形の外へ移る
鈍角三角形では足が延長に出る
角 A が鈍角だとします。B から辺 CA へ下ろした垂線の足は、辺の上ではなく CA の延長にあります。
C から AB へ下ろした足も同じ。垂線を延ばして交わる点を探すと、三角形の外側で見つかります。
外へ出るのは、いちばん大きい角が鈍角のとき。判定の基準は外心と同じです[2]。
鈍角三角形の図で垂心を三角形の中に描いてしまう誤りは、足が延長に出ることを忘れたときに起こります。

例:座標で垂心を出す
、、 とします。BC は 軸なので、A からの垂線は 。
B から CA への垂線を求めます。CA の傾きは なので、垂線の傾きは 。B を通るので です。
を代入して 。垂心は になります。
3 本目の C からの垂線でも同じ点が出ることを確かめれば、計算の検算になります。
座標では、垂直な 2 直線の傾きの積が という関係だけで垂線が書けます。
図を描かずに垂心が出せるので、鈍角三角形でも位置をまちがえません。
垂足三角形
3 つの垂線の足を結んでできる三角形を垂足三角形と呼びます。
鋭角三角形では、もとの三角形の垂心が、垂足三角形の内心になります。垂線が角の二等分線の役目に変わる。
外心、重心、垂心はオイラー線という 1 本の直線に並びます[2]。垂心から各頂点までの中点なども、九点円という 1 つの円に乗ります[1]。
九点円の 9 点は、3 つの辺の中点、3 つの垂線の足、垂心と各頂点を結んだ 3 つの中点です。

直交系という見方
三角形 ABC の垂心を H とすると、A、B、C、H の 4 点には特別な関係があります。
どの 3 点をとっても、残る 1 点がその三角形の垂心になる。4 点が対等な立場に立ちます[1]。
たとえば三角形 HBC の垂心は A です。この見方をとると、鈍角三角形の垂心が外に出ることも自然に見えてきます。
もとの三角形が鈍角なら、垂心を含む 4 点のうち 1 つが他の 3 点が作る三角形の外にある、というだけのことです。
三角形 ABC で角 B が です。垂心 H はどこにありますか。
- 辺 AC の中点
- 頂点 B
- 三角形の外部
補足
垂心は、外心を中心にした点対称の操作と関係します。外心を O、重心を G、垂心を H とすると が成り立ちます[3]。
この 1 本のベクトル等式から、3 つの中心が一直線に並ぶことも、比が になることも出てきます。
垂心だけを単独で調べるより、外心と重心と並べて見たほうが構造がはっきりします。









角 B が直角なので、辺 BA と辺 BC はもともと直交しています。A からの垂線は BA、C からの垂線は BC で、交点は B です。辺 AC の中点は外心にあたります。