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境界条件が飛び飛びの値を選ぶ〜固有値問題と固有関数の計算演習

は、 がどんな値でも解ける。ところが を付けた瞬間、 は しか許されなくなる。

方程式ではなく境界条件が、値を飛び飛びに選んでいる。選ばれた値が固有値、対応する解が固有関数である[1]。

どの境界条件を付けるかで、選ばれる値も関数も変わる。同じ方程式を 5 通りの条件で解いてみる。

場合分けの型

の符号ごとに、一般解の姿が違う。まずこれを並べておく。

一般解確かめること
()自明解しか残らないか
定数の解が生き残るか
() にどんな条件が付くか

3 つとも確かめる必要がある。 だけを調べて答えにするのは、よくある減点箇所である[2]。

問 1:両端で値が

から見る。 なので である。

で、 なら 。したがって で自明解しか残らない。

なら 。 と から、やはり である。

では から 。

は になるので数えない。 と は同じ関数の定数倍なので、正の側だけでよい。

右端の値が を横切る瞬間だけ、条件を満たす解が現れる。飛び飛びになる理由が絵で見える。

問 2:両端で微分が

では 。 から 。

で 。ここまでは問 1 と同じ結果である。

で違いが出る。、 なので、 だけが要求される。

には何の条件も付かない。、 が固有値と固有関数になる。

では から 、 から 。

から始まるところが問 1 との違いである。 で、 の解と一致する。

定数の解を落とすと、断熱した棒の平均温度が消えてしまう。 を必ず確かめる理由がここにある。

問 3:片方が値、片方が微分

が潰れるのは問 1 と同じ手順なので、 を見る。

から 、 である。微分して 。

半端な波長が並ぶ。いちばん低いモードは が 4 分の 1 波長にあたる。

片方を固定し、もう片方を自由にした棒や、片持ちの構造で現れる形である。

問 4:周期の条件

区間を にとり、両端で値と微分の両方をつなぐ。

では 。 から で、 が残る。

を見る。 は偶関数、 は奇関数なので、値の条件は次のようになる。

微分の条件からは が出る。 と の両方を にしたくないので、 を選ぶ。

固有値 1 つに固有関数が 2 本ある。問 1 から問 3 では起きなかったことである[3]。

端どうしをつなぐ条件は、区間の左右を分けて書けない。この形を非分離型と呼び、重複が現れるのはこの型に限られる。

問 5:右端でばねにつなぐ

熱が端から逃げる量が温度に比例する、という条件にあたる。ロビン条件と呼ばれる。

から 。右端の条件に入れる。

の 2 次方程式ではなく、超越方程式になった。閉じた形では解けない[1]。

それでも根が無限にあることは、グラフを描けば分かる。 の各枝と直線 が 1 回ずつ交わる。

を大きくすると直線が寝て、交点は に近づく。右端の条件が「値が 」に近づくためである。

を小さくすると直線が立ち、交点は へ寄る。こちらは問 3 の答えと一致する。

ロビン条件は、ディリクレと混合のあいだを連続につないでいる。

問 6:区間の左端が でない

と置き換えると、区間が になる。問 1 の答えに を入れればよい。

置き換えずに のまま進めると、 と の連立が面倒になる。区間の左端を に寄せてから解くのが速い。

問 7:オイラー型の固有値問題

次数がそろっているので を入れる。 である。

なら 。複素の指数なので、三角関数の中身が になる。

では なので 。 では なので 。

直交性の重みが ではない点に注意したい。方程式を と書き直すと、重みが だと分かる[4]。

と置けば で、問 1 の直交性そのものに戻る。

重み は置き換え のヤコビアンである。

座標を替えたときに出る係数なので、置き換えの前後で内積が保たれる。

零点の数で見当を付ける

固有関数 は、区間の内側にちょうど 個の零点をもつ[2]。

問 1 の で確かめる。 なら内側に零点はなく、 なら 2 個ある。

答えを出したあと、グラフを思い浮かべて零点を数えれば、番号のずれに気づける。問 3 の でも同じ規則が成り立つ。

検算のしかた

まず と を確かめたかを見る。ノイマン条件や周期条件では が生きるので、飛ばすと 1 本落とす。

次に固有関数を境界条件に入れ直す。 を微分し、 で になるかを見る。

固有値が とともに増え、 で無限へ発散しているかも確かめる。減っていたら、 と の関係をとり違えている[3]。

最後に直交性を 1 組だけ計算する。、 で になれば、たいてい全体が正しい。

を 、 で解いたとき、いちばん小さい固有値はどれですか。

__RESULT__

から となり、 より です。 が最小で 。 は に条件を当てると 、 となって自明解しか残らないので、固有値になりません。左右が入れかわっても、半端な波長が並ぶ点は同じです。

の符号で 3 通りに分け、境界条件を当て、 に付く条件を読む。固有値問題の計算は、この 1 本道である。

参考文献

Jiří Lebl. *Sturm-Liouville Problems*. Notes on Diffy Qs.
Russell Herman. *Properties of Sturm-Liouville Eigenvalue Problems*/04%3A_Sturm-Liouville_Boundary_Value_Problems/4.02%3A_Properties_of_Sturm-Liouville_Eigenvalue_Problems). Introduction to Partial Differential Equations.
Leon van Dommelen. *A Summary of Separation of Variables*. Partial Differential Equations, Florida State University.
*Problème de Sturm-Liouville : valeurs propres*. Tangente.
$X'' + \lambda X = 0$ は $\lambda$ が何でも解けますが、$X(0)=X(\pi)=0$ を付けた瞬間に $\lambda = 1, 4, 9, \ldots$ しか残りません。選んでいるのは方程式ではなく境界条件です。$\lambda<0$、$\lambda=0$、$\lambda>0$ の 3 通りを毎回つぶすところから始め、7 問を解きます。両端で値が $0$、両端で微分が $0$ で定数の解が生き残る場合、半端な波長が並ぶ混合条件、固有値 1 つに固有関数が 2 本つく周期条件、$\tan\mu = -\mu/h$ という超越方程式になるロビン条件、区間をずらす場合、重みが $1/x$ になるオイラー型まで。