正多面体が 5 種類で打ち止めになる - オイラーの多面体定理から
すべての面が合同な正多角形で、どの頂点にも同じ数の面が集まる立体。この条件を満たす凸多面体は 5 つしかありません。
正四面体、立方体、正八面体、正十二面体、正二十面体。6 つ目を探しても見つからない理由が、はっきり示せます。
数え上げは 2 通りの道からできます。
頂点まわりの角で数える
立体の頂点を 1 つ選び、そこに集まる面の角を平らに広げます。角の和が ちょうどなら平面になり、折り上げられません。
を超えると、面どうしが重なってしまう。だから角の和は より小さくなければなりません[1]。
さらに、頂点には少なくとも 3 枚の面が集まる必要があります。2 枚では立体の角ができない。
この 2 つの条件で候補が絞れます。
面の種類ごとに調べる
正三角形の内角は です。3 枚なら 、4 枚なら 、5 枚なら 。ここまでは 未満で通ります。
6 枚だと ちょうどになって平らになる。だから正三角形では 3 枚、4 枚、5 枚の 3 通りです[1]。
正方形は内角が 。3 枚で 、4 枚で 。通るのは 3 枚だけ。
正五角形は内角が 。3 枚で 、4 枚で 。こちらも 3 枚だけです。
正六角形は内角が なので、3 枚でもう 。使えません。7 角以上はさらに大きくなるので同じです。

5 つに決まる
通る組み合わせは 5 つです。正三角形が 3 枚、4 枚、5 枚。正方形が 3 枚。正五角形が 3 枚。
それぞれ順に、正四面体、正八面体、正二十面体、立方体、正十二面体になります。
面の形と集まる枚数を決めれば立体が 1 つに決まる。だから 5 種類で打ち止めです[1]。
角の和が より小さい。折り上げると頂点ができる
角の和が 以上。平らになるか重なってしまう
オイラーの多面体定理から出す
同じ結論を、頂点と辺と面の個数から出す道もあります。凸多面体では次が成り立ちます[3]。
面が正 角形で、1 つの頂点に 枚集まるとします。辺を 2 通りに数えると 、 が出る。
代入して整理すると条件が 1 本にまとまります。
、 の整数でこれを満たす組は、、、、、 の 5 つだけ。角で数えたときと同じ答えです。

双対という対応
立方体は頂点が 、面が 。正八面体は頂点が 、面が 。数が入れかわっています。
各面の中心を頂点にとって結ぶと、立方体から正八面体が、正八面体から立方体が出てきます。この関係を双対といいます[2]。
正十二面体と正二十面体も双対の組です。正四面体は自分自身と双対になります。
辺の数は双対でも変わりません。だから と 、 と でそろっています。

双対では頂点と面が入れかわり、辺の数は変わりません。
だから の値も保たれる。オイラーの式が双対で崩れないのはこのためです。
定理の歴史
は 1537 年にマウロリコが 5 つの正多面体について述べ、1630 年ごろにはデカルトが同等の形に達していました[3]。
オイラーが 1752 年に発表した証明には不備があり、完全な証明はルジャンドルが 1794 年に球面角を使って与えました[3]。
いまでは 20 通り以上の証明が知られています。位相を使うもの、幾何を使うもの、組み合わせを使うもの。どれも同じ式に行きつきます[3]。
例:正十二面体で確かめる
面が正五角形で 12 枚、1 つの頂点に 3 枚集まります。、。
から で 。 から で 。
。式が成り立ちました。
条件のほうも確かめます。 で、これは より大きい。ぎりぎり通っています。
正三角形が 1 つの頂点に 6 枚集まる立体はありますか。
- ある。正二十面体がそれにあたる
- ない。角の和が になって平らになる
- ない。正三角形は 4 枚までしか集められない
つまずきやすいところ
の壁と、 という不等式。2 つの道が同じ 5 つに行きつきます。










正三角形の内角は 60∘ なので、6 枚で 360∘ ちょうど。平面になってしまい、折り上げて頂点を作れません。5 枚までなら集められ、5 枚のときが正二十面体です。