かけ算とわり算と平方根の長さを定規とコンパスで作図する
長さ の線分が 1 本あれば、長さ と から も も も作図できます。
かけ算とわり算は平行線から、平方根は半円から出る。長さの計算が、そのまま図の操作になります。
長さ を決めることが出発点になります。
単位を決めないと積が作れない
長さどうしを掛けると面積になり、長さにはなりません。 cm と cm を掛けても cm にはならない。
長さとして を作るには、基準となる が要ります。実際に作るのは という比です。
だから作図の問題では、まず単位の線分が与えられます。それがないと積も商も定義できません。
平方根は少し事情が違い、 を作るときも を使って の形にします。
積の作図
点 O から 2 本の半直線を引きます。一方に から の点と の点をとり、他方に の点をとる。
の点と の点を結び、 の点からこの直線に平行な直線を引きます。
平行線が 2 本目の半直線を切る点までの長さが です。第 4 比例項を作る手順そのものになっています[1]。

商の作図
を作ります。同じ形の図で、置く順番を入れかえるだけです。
一方の半直線に の点と の点をとり、他方に の点をとる。 の点と の点を結びます。
の点から平行線を引くと、切りとられる長さが になります。
積のときは を先に、商のときは を先に置く。この違いだけです。
同じ半直線に 、 の順で置く。出るのは
同じ半直線に 、 の順で置く。出るのは
平方根の作図
長さ と長さ の線分を一直線に並べ、つないだ全体を直径とする半円を描きます。
つなぎ目から垂線を立て、半円と交わる点までの長さが です[2]。
理由は直角三角形にあります。半円に内接する角は直角なので、大きな直角三角形ができる[3]。
斜辺に下ろした垂線は、斜辺を切った 2 つの長さの比例中項になります。だから長さの 2 乗が に等しい。

なぜ比例中項が出るか
直角三角形の斜辺に、直角の頂点から垂線を下ろします。斜辺が 2 つに切られる。
垂線が作る 2 つの小さい三角形は、もとの三角形と相似です。角がそれぞれ等しくなるためです。
相似から が出ます。この が比例中項で、 つまり 。
長さ と長さ のあいだに置くべき長さ、という意味で中項と呼ばれます[2]。
比例中項は、2 つの長さのあいだに入る等比の項です。
、、 が等比数列になっている。だから が と の相乗平均、つまり になります。
例:ルート 2 を作る
とします。長さ の線分と長さ の線分をつなぎ、全体の を直径とする半円を描く。
つなぎ目から垂線を立てると、高さが になります。
もっと簡単な道もあります。 と を直角にはさむ直角三角形の斜辺が 。三平方の定理から出ます。
半円の方法は、どんな でも同じ手順で使える点が強みです。
例:黄金比を作る
の正の解を作図します。 なので、 が作れれば足ります。
と をつないで半円を描けば 。あとは を足して で割るだけです。
で割る操作は垂直二等分線でできます。かけ算、わり算、平方根がそろえば、こうした値は組み立てられる。

作図できない長さもある
定規とコンパスで作れる長さは、 から出発して四則と平方根を有限回だけ組み合わせた値に限られます。
だから は作図できません。立方体の体積を 2 倍にする問題が解けないのは、このためです。
任意の角の三等分も同じ理由でできない。 度を三等分するには が要りますが、これは 3 次方程式の解になります。
円と同じ面積の正方形を作る問題も、 が要るので不可能です。作図で何ができるかは、代数の言葉で完全に決まっています。
長さ と長さ の線分が与えられています。次のうち定規とコンパスで作図できないのはどれですか。
つまずきやすいところ
平行線で比を移し、半円で比例中項をとる。この 2 つが、長さの計算を図の操作に変えています。










四則と平方根の組み合わせで書ける長さは作図できます。7 は半円で、71 は平行線で作れる。立方根は 3 次方程式の解なので、この枠から外れます。