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平面に垂直な直線を示すとき、三垂線の定理が使える場面

直線が平面に垂直だと言うには、平面上のすべての直線と直角に交わることを示す必要があります。全部を確かめるのは無理です。

交わる 2 本だけ確かめれば足ります。そこから残りは自動的に出ます。

その根拠が第 11 巻の 4 番目です。

2 本で足りる

ユークリッドは、交わる 2 直線にその交点で直角に立つ直線は、その 2 直線を含む平面に垂直だと述べています[1]

平面上の直線は無数にありますが、2 本だけ確かめれば残りは決まる。この命題が、空間の垂直を扱う土台になります。

条件は 2 つあります。2 直線が交わっていること、そして垂直を確かめる点がその交点であること。

平行な 2 直線で確かめても足りません。同じ向きの情報を 2 回見ているだけになるためです。

三垂線の定理

平面 の上に直線 があり、 の外に点 A があるとします。A から へ下ろした垂線の足を H とする。

さらに H から へ下ろした垂線の足を K とします。このとき AK は に垂直になります。

垂線が 3 本続けて現れるので、三垂線の定理と呼ばれます。逆向きの言い方もでき、3 つのうち 2 つが分かれば残る 1 つが出ます。

canvas: 置き場が受け取りませんでした

示し方

が AK に垂直だと示します。使うのは、さきほどの 2 本で足りるという命題です。

は平面 に垂直なので、 上の とも垂直。 は作り方から に垂直です。

は、交わる 2 直線 AH と HK の両方に垂直で、しかも交点 H を通る面の中で考えている。だから は平面 AHK に垂直になります[1]

AK はその平面 AHK の中の直線なので、 と垂直です。垂線が 1 本増えました。

証明の要は、平面 AHK に垂直な直線として捉え直すところにあります。

平面に垂直なら、その平面の中のどの直線とも垂直。AK もその 1 本にすぎません。

例:立方体で使う

立方体 ABCD-EFGH を考えます。頂点 E から底面 ABCD へ下ろした垂線の足は A です。辺 AE が底面に垂直だからです。

底面の中で、A から対角線 BD へ垂線を下ろします。足を M とすると、正方形の対角線の性質から M は BD の中点。

ここで三垂線の定理を当てると、EM が BD に垂直だと分かります。長さを 1 つも計算せずに直角が言えました。

平面に垂線を立てる作図そのものも、同じ枠の中で扱えます[2]

canvas: 置き場が受け取りませんでした

逆向きにも使える

3 つの垂直のうち 2 つが分かれば、残る 1 つが出ます。組み合わせは 3 通り。

から
から
から、 が平面 AHK に垂直だと分かる。

問題では 2 番目の形もよく出ます。斜めの垂線が分かっていて、真下に落とした垂線を求めるときです。

3 番目は結論が平面についての垂直になるので、少し形が違います。使う場面も変わってきます。

順に使う

平面への垂線と平面内の垂線から、斜めの垂線を出す

逆に使う

斜めの垂線から、平面内の垂線を出す

例:垂線の長さを求める

辺が の正方形 ABCD を底面とし、A の真上に高さ の点 P を置きます。

P から辺 BC へ下ろした垂線の長さを求めます。まず A から BC へ下ろした垂線の足は B です。

三垂線の定理から PB が BC に垂直だと分かります。求める長さは

垂線の足がどこかを先に決めれば、あとは三平方の定理 1 回で済みます[3]

点 A から平面 へ下ろした垂線の足を H、H から 上の直線 へ下ろした垂線の足を K とします。ここから言えるのはどれですか。

  • は平面 に垂直
  • は直線 に垂直
  • は直線 に平行
__RESULT__

三垂線の定理から が出ます。 が平面全体に垂直なら と重なるはずで、そうはなりません。 に垂直であって、平行ではありません。

つまずきやすいところ

平行な 2 直線で垂直を確かめる。交わる 2 直線が要ります。
垂線の足を確かめずに定理を当てる。H と K の位置を先に決めます。
が平面に垂直だと思う。平面に垂直なのは だけです。
が H を通ると決めつける。H は の上にあるとは限りません。
立体の図の直角をそのまま読む。投影ではゆがむので、定理で示します。

2 本で足りる。この 1 つの命題から、空間の垂直はほとんど組み立てられます。

参考文献

Euclid's *Elements*, Book XI, Definitions and Propositions. D. E. Joyce, Clark University.
Euclid's *Elements*, Book XI, Proposition 11. D. E. Joyce, Clark University.
Euclid's *Elements*, Book I, Proposition 47. D. E. Joyce, Clark University.
平面上のすべての直線と直角なことを確かめるのは無理ですが、交わる 2 本だけで足ります。この命題が空間の垂直を扱う土台。三垂線の定理は、平面への垂線 AH と平面内の垂線 HK があれば AK も直線に垂直だと言います。証明の要は、直線を平面 AHK に垂直なものとして捉え直すところ。3 つの垂直のうち 2 つが分かれば残る 1 つが出るので、逆向きにも使えます。立方体では EM と BD の直交が、長さを計算せずに言えました。