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English

立体の塗り分けは面の数ではなく向きの数で決まる

正四面体の 4 面を 4 色で塗り分けると 2 通り。立方体の 6 面を 6 色で塗り分けると 30 通りです。

面が 4 つから 6 つへ増えたのに、答えが 15 倍になる。効いているのは面の数ではなく、その立体を何通りに置き直せるかです。

置き直しの数で割る

面に番号が振ってあれば、塗り方は単純に数えられます。 面に 色を 1 つずつ塗るなら 通り。

ところが立体は持ち上げて回せます。回して同じ見た目になる塗り方は、1 つと数える。

すべての色が違うとき、どの塗り方も回転の数だけ重なります。だから回転の数で割ればよい。

回転の数を先に数える

割る数は立体ごとに決まっています[1]

立方体と正八面体が同じ 24 になるのは、この 2 つが双対の関係にあるためです[1]。頂点と面を入れかえると互いに移り合う。

例:正四面体を 4 色で

面に番号があれば 通り。回転が 12 通りなので、 通りです。

2 通りは鏡に映した関係にあります。回しても重ならず、裏返してはじめて一致する。

固定して数える道筋もあります。1 面を下に置くと 4 通りの選び方が 1 つに重なり、さらに縦の軸まわりに 3 通りの回転が重なる。 通り。

例:立方体を 6 色で

通りを 24 で割って 30 通りです。

固定する道筋なら、上の面を先に決めて 6 通りが 1 つに重なり、その面のまわりの回転 4 通りも重なる。

底面を固定してから数える形は、高校の答案でよく使われます。回転の総数を覚えていなくても出せる。

面に番号を振ったときの通り数を出す

その立体を何通りに置き直せるかを数える

すべて違う色なら、割って終わり

例:正八面体を 8 色で

通り。回転は立方体と同じ 24 通りです。

1680 通り。面が 2 つ増えるだけで、答えは 50 倍以上になります。

例:正三角柱

底面 2 つと側面 3 つ、合わせて 5 面を 5 色で塗ります。

正三角柱の置き直しは 6 通り。縦の軸まわりに 3 通りと、上下をひっくり返す操作を組み合わせた形です。

20 通りになります。

例:正四角錐

底面 1 つと側面 4 つの 5 面を 5 色で塗ります。

底面が 1 つしかないので、ひっくり返す操作はできません。縦の軸まわりの 4 通りだけ。

30 通りです。正三角柱と面の数は同じ 5 でも、置き直しの数が違うので答えが変わります。

正三角柱

上下をひっくり返せる。置き直しは 6 通り

正四角錐

底面と側面の形が違うのでひっくり返せない。置き直しは 4 通り

色が重なると割れなくなる

同じ色を 2 面以上に使うと、回しても見た目が変わらない塗り方が出てきます。そうなると一律には割れません。

正四面体の 4 面を、赤と青の 2 色で塗る場合を見ます。面に番号があれば 通り。

は整数になりません。全面を赤にした塗り方は、どう回しても自分に戻るからです。

例:正四面体を 2 色で

割り算をやめて、直接分類します。赤く塗る面の数で分ければよい。

赤が 0 面、1 面、2 面、3 面、4 面の 5 通りです。同じ枚数なら、どれも回して重ねられます。

答えは 5 通り。数が小さいときは、この分類がいちばん確実になります。

赤が 1 面の塗り方が 1 通りしかないのは、どの面を赤にしても回して重ねられるからです。

正四面体はどの面も対等なので、1 面だけ色を変えた塗り方は全部同じに見える。

例:サイコロの目の付け方

立方体の 6 面に 1 から 6 を 1 つずつ書きます。回して同じになるものを同じとみなすと 30 通り。

ここに「向かい合う面の和が 7」という決まりを足すと、話が変わります。

1 の面を上に固定すると、6 は下に決まる。次に 2 をどこかの側面に置きますが、回転で同じになるので 1 通りとしてよい。すると 5 は 2 の向かいに決まります。

残る 3 と 4 を左右に振り分けて 2 通り。市販のサイコロには、この 2 種類しかありません。

高校での進め方

出題されるのは、ほとんどが「すべて違う色で塗る」形です。この場合だけ割り算で押し切れる。

同じ色が混ざる問題は、数が小さく作られています。分類して書き出すのが速い。

一般に回して重なるものを数える方法として、バーンサイドの補題があります[2]。回転ごとに変わらない塗り方を数えて平均をとる形で、高校の範囲では使いません[3]

問題答え
正四面体を 4 色4 の階乗を 12 で割る2
立方体を 6 色6 の階乗を 24 で割る30
正八面体を 8 色8 の階乗を 24 で割る1680
正三角柱を 5 色5 の階乗を 6 で割る20
正四角錐を 5 色5 の階乗を 4 で割る30

検算のしかた

答えが整数になるかを必ず見ます。整数でなければ、割り算が使えない形です。

回転の数を数え違えていないかも確かめる。底面の選び方と、その軸まわりの回転を掛けた値が、回転の総数と合うはずです。

立方体なら 、正四面体なら 、正八面体なら 。どれも表の値と一致します。

正六角柱の 8 面を、8 色すべてを使って塗り分けます。回して同じになるものを同じとみなすと何通りですか。

  • 40320 通り
  • 3360 通り
  • 1680 通り
__RESULT__

正六角柱の置き直しは、縦の軸まわりに 6 通りと上下の反転を合わせて 12 通り。 通りです。1680 は回転を 24 として計算した値になります。

よくある誤り

面の数で割ってしまう。割るのは置き直せる通り数です
底面を固定したあと、軸まわりの回転を割り忘れる。両方が重なります
正四角錐でひっくり返せると考える。底面と側面の形が違うのでできません
同じ色が混ざる問題を割り算で処理する。整数にならなければ分類します
立方体と正八面体で回転の数を変える。双対なので同じ 24 です
鏡に映す操作まで含める。ふつうは回転だけを同じと見ます
答えが整数かを確かめない。整数でなければ手順が誤っています

面の数ではなく、置き直しの数を先に数える。ここさえ間違えなければ、あとは 1 回の割り算で終わります。

参考文献

[1] が正多面体の回転の数と双対の関係、[2][3] が回して重なるものを数える一般の定理、[4] が順列、[5] が各国語での整理です。

Platonic solid - Wikipedia
Burnside's lemma - Wikipedia
Lemme de Burnside - Wikipédia
Permutation - Wikipedia
Combinatoire - Wikipédia
正四面体の 4 面を 4 色で塗ると 2 通り、立方体の 6 面を 6 色で塗ると 30 通り。面が 2 つ増えただけで答えが 15 倍になるのは、置き直せる通り数が違うからです。回転の数を先に数え、すべて違う色なら割るだけで終わります。正三角柱と正四角錐で面の数が同じでも答えが変わる理由、同じ色が混ざると割れなくなる場面、サイコロの目の付け方が 2 種類しかない理由まで扱いました。