答えが出たら確かめる、数え上げの誤りはどこで起きるか
方程式なら、出た答えを代入すれば正しいか分かります。数え上げには、その手がありません。
出てくるのは数字が 1 つだけ。だから、確かめる道具と、よくある誤りの型を先に知っておきます。
上と下から挟む
いちばん速い確認は、答えが入るべき範囲を先に押さえることです。
場合の数は必ず 0 以上の整数。条件を付けたのに、条件なしの総数より増えることはありません。
この 2 つだけで、多くの誤りがその場で見つかります。
例:総数を超えたら誤り
男子 4 人と女子 4 人の 8 人から 4 人を選びます。男子が 2 人以上になる選び方を数える。
「まず男子 2 人を確保し、残り 2 人を残る 6 人から自由に選ぶ」と考えると、 通り。
ところが全体は 通りです。条件を付けた答えが総数を超えている。
原因は数えすぎです。男子 3 人を選ぶ場合が、どの 2 人を先に確保したかで 3 回数えられています。
正しくは男子の人数で場合分けします。 通り。総数 70 の内側に収まりました。
誤りの型は 6 つ
数え上げの誤りは、たいてい次のどれかに分類できます。型を知っていれば、答案を見返すときの目印になります。
| 型 | 何が起きているか | 気づき方 |
|---|---|---|
| 数えすぎ | 同じものを 2 回以上数えた | 総数を超える |
| 数え落とし | 場合分けに抜けがある | 部分の和が全体に戻らない |
| 割り忘れ | 順序や区別を残したまま | 答えが妙に大きい |
| 割りすぎ | 重なる回数がそろっていない | 整数にならない |
| 引きすぎ | 足し戻しを忘れた | 負の数が出る |
| 読み違い | 条件の意味をとり違えた | 検算しても気づけない |
最後の読み違いだけは、計算では見つかりません。問題文に戻るしかない。
数えすぎ
同じものを別々に数えてしまう型です。「先に一部を確保する」やり方で起きやすい。
さきほどの男子の例がそうでした。確保する 2 人を区別しているのに、結果の 4 人組では区別が消えている。
防ぐには、場合分けで数えるか、確保したものが最後まで区別されるかを確かめます。
数え落とし
場合分けの枝が足りない型です。条件の境目で起きます。
0 を含むカードで整数を作る問題で、一の位が 0 の場合を分けないと落ちます。0 を使うと先頭の制限が消えるので、別の枝が要る。
防ぐには、分けた場合の個数を全部足して、条件なしの総数に戻るかを見ます。
場合分けの枝をすべて書き出す
各枝の個数を出す
足して全体に戻るか確かめる
例:足して全体に戻す
から までで、2、3、5 のいずれかで割り切れる数を区画ごとに数えました。
区画は 7 つあり、それぞれ 27、14、7、13、7、3、3 でした。足すと 74。
どれでも割り切れない数が 26 なので、 で全体に戻ります。合わなければ、どこかの区画が抜けている。
割り忘れと割りすぎ
順序や区別を扱い損ねる型です。方向が逆の 2 つが対になります。
割り忘れは、組に名前がないのに割らない場合。6 人を 3 人ずつ 2 組に分けて 20 通りと答えるのがこれです。
割りすぎは、人数の違う組まで階乗で割る場合。6 人を 3、2、1 に分けて とするのがこれ。
同じ分け方を何度も数えている。答えが実際より大きい
重ならないものまで割っている。答えが実際より小さい
割りすぎは整数で見つかる
割り算の結果が整数にならなければ、その割り算は使えません。場合の数は必ず整数だからです。
立方体の 6 面を 2 色で塗る問題で を計算すると ほどになります。ここで手が止まる。
同じものを含む円順列で、直線の総数を回転の数で割ると整数にならないことがあります。これも同じ合図です。
引きすぎ
余事象や包除原理で、足し戻しを忘れる型です。
3 つの条件があるのに 2 つぶんしか処理しないと、3 つすべてに当てはまるものを引きすぎます。
答えが負になれば確実に誤り。負にならなくても、区画ごとの和が合わなければ気づけます。
読み違い
計算では見つからない唯一の型です。次の 4 組を、答案を書く前に確かめます。
問題文のこれらの語に印を付けてから解き始めると、あとで戻る手間が減ります。
読み違いを防ぐには、自分の言葉で言い直すのが確実です。「順序は関係ない、同じものは 2 度使えない」と口に出す。
言い直せなければ、まだ問題文を読み切っていない。式を書き始める前の 10 秒で防げる。
小さい場合に落とす
いちばん確実な検算です。 を 2 か 3 に減らして、全部書き出す。
公式で出した値と、書き出した個数を突き合わせます。3 つ合えば、まず正しい。
漸化式なら初期値と 3 項目まで、組合せの等式なら か で両辺を計算します。
別の手法で解く
同じ問題を 2 つの道筋で解いて、値を突き合わせます。手間はかかりますが、いちばん強い検算です。
男子 3 人と女子 2 人で女子が隣り合わない並べ方を、すき間法で 72 通り、余事象で 72 通り。両方が合えば安心できます。
対角線を越えない経路も、反射法の式と小さい場合の書き出しで確かめられました。
極端な場合で試す
や を入れて、式が壊れないかを見ます。
、、。ここが 0 になる式を書いていたら、どこかが誤っています。
のときも確かめます。、 になるはず。
例:極端な場合で誤りを見つける
差が 以上の選び方を と書いたとします。
を入れると になりますが、 は「差が 1 以上」つまり制限なしなので、 でなければおかしい。
正しくは でした。極端な場合を入れるだけで、 と のとり違えが見つかります。
検算する時間がないとき
すべてを試す時間はありません。優先順位を決めておきます。
まず範囲で挟む。次に整数かを見る。この 2 つは数秒で終わり、しかも重い誤りをよく捕まえます。
余裕があれば、小さい場合に落とす。ここまでやれば、残る誤りは読み違いだけになります。
10 人から 4 人を選ぶ問題で、条件を付けた答えが 250 通りになりました。まず何を疑いますか。
- 割りすぎ
- 数えすぎ
- 引きすぎ
よくある誤り
答えを出したら、まず範囲に収まっているかを見る。それだけで、重い誤りのほとんどは止められます。
参考文献
[1] が組合せの公式と端の値、[2] が引いて足し戻す形、[3] が場合分けして足す規則、[4] が区別の有無による分類、[5] が各国語での整理です。











条件なしの総数は 10C4=210 通り。条件を付けた答えがそれを超えているので、同じものを 2 回以上数えています。範囲で挟むだけで見つかる型です。