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並べ方の総数と階乗〜nPr はどこから出てくるのか

5 人を一列に並べる並べ方は 通りです。掛ける数が 1 つずつ減っていく。

この形の掛け算に階乗という名前が付いています。一部だけを並べるときの も、同じ掛け算を途中で止めたものにすぎない。

並べる操作を段に分ける

並べる作業は、先頭から順に人を決めていく作業だと見ます。段ごとに何通りあるかを数える。

5 人なら、先頭に立てるのは 5 人。先頭が決まると、2 番目に立てるのは残った 4 人です。

3 番目は 3 人、4 番目は 2 人、最後は 1 人しか残りません。段ごとの本数がそろっているので、掛け算でつながる。

図の空いた席に書いてある数が、その席に座れる人数です。埋まるたびに候補が 1 人ずつ減っていく。

階乗の定義

から までの整数をすべて掛けた値を、 の階乗といいます。記号は と書く[1]。

、、。 人を一列に並べる並べ方が、ちょうど 通りです[2]。

前の値から作る形でも書けます。

。この関係は、あとで を決めるときにも効いてきます。

0 の階乗を 1 とする理由

は 1 と決められています[3]。何も掛けていないのに 1 になるのは、はじめは奇妙に見える。

理由は 2 つあります。1 つは、並べるものが 0 個のときの並べ方が「何もしない」の 1 通りだから。

もう 1 つは、 を で成り立たせるため。 なので、 でなければ に合いません。

としてしまうと、階乗の関係式が壊れます。 となり、1 人の並べ方が 0 通りという結論になる。

組合せの公式でも分母に が現れるので、1 でないと式が定義できなくなる。

階乗はすぐに大きくなる

が少し増えるだけで、値は桁違いに増えます。

で 7 桁、 は 19 桁になります。トランプ 1 組の並べ方 は 68 桁。

大きな階乗をそのまま計算する場面は、高校ではほとんどありません。先に約分してから掛けます。

一部だけを並べる

人から 人を選んで並べる並べ方を と書きます。段ごとに 1 ずつ減る掛け算を、 段で止めた形です。

掛ける個数は 個。最後の因子が になるところを、よく間違えます。

階乗で書き直すと分数の形になります[4]。

分母の が、並べずに残した人たちの並べ方にあたる。それを割って消しています。

例:8 人から 3 人を選んで並べる

掛ける個数は 3 個。 から 1 つずつ下げる。

階乗の式でも確かめます。。同じ値です。

分数の形で計算するときは、 を最後まで展開してはいけません。 と約分して だけ残す。

例:全員を並べる場合と 0 人選ぶ場合

のとき、 になります。ここで が効いている。

のときは 。「1 人も並べない」という並べ方が 1 通りある、という約束です。

なら 。どれも定義から素直に出ます。

式展開した形値
5 から 2 個5 かける 420
6 から 3 個6 かける 5 かける 4120
7 から 4 個7 かける 6 かける 5 かける 4840
10 から 3 個10 かける 9 かける 8720

例:数字カードで 3 桁の整数

1、2、3、4、5 のカードから 3 枚を選んで 3 桁の整数を作ります。同じカードは使えない。

百の位が 5 通り、十の位が 4 通り、一の位が 3 通りです。 個。

0 が混ざると事情が変わります。0、1、2、3、4 なら、百の位に 0 を置けないので 個。

制限のある位から先に決める。ここは階乗の式に頼らず、段ごとに数えるほうが確実です。

例:特定の人を含む並べ方

5 人から 3 人を選んで並べます。A が必ず入る並べ方はいくつか。

A の座る席を先に決めて 3 通り。残り 2 席には、A 以外の 4 人から 2 人を並べて 通り。

通りです。全体 60 通りから A を含まない 通りを引いても 36 になる。

2 通りの道筋が合ったので、まず正しい。制限のある要素を先に置く手は、ここでも効きます。

例:隣り合う 2 人がいる並べ方

6 人を並べ、A と B は必ず隣り合うとします。

A と B を 1 つの塊とみなすと、塊 1 つと残り 4 人で 5 つのものを並べる。 通り。

塊の中で A と B が入れ替わるので 2 倍。 通りです。

塊を作ると、並べる個数が 1 つ減る。減った個数で階乗を計算し、最後に塊の中の並べ替えを掛けます。

全部並べる

段ごとに 1 ずつ減らし、最後の 1 まで掛ける。値は

一部だけ並べる

個ぶんだけ掛けて止める。値は で、 を で割った形

計算の工夫

階乗の分数は、展開せずに約分します。 なら 。

分母のほうが大きい場合は、式の立て方を疑います。 で となる場面はありません。

大きな数を扱うときは、掛ける前に約分できる因子を探す。 なら、まず に直してから計算します。

階乗の分数は展開しない

分子と分母の共通部分を先に消す

残った数個の積だけを計算する

例:3 桁の暗証番号と比べる

同じ数字を何度でも使ってよい場合は、階乗も も出てきません。各桁が独立に 10 通りで 通り。

使えない場合は 通りです。280 だけ減っている。

同じものを使えるかどうかで、掛ける数が減るか減らないかが変わる。ここが を使う場面の目印になります。

7 人の中から 4 人を選んで一列に並べます。並べ方は何通りですか。

  • 210 通り
  • 840 通り
  • 5040 通り
__RESULT__

通りです。210 は並べる順序を考えない選び方の数、5040 は 7 人全員を並べた になります。

よくある誤り

で掛ける個数を間違える。 から始めて 個だけ掛けます
最後の因子を と書く。正しくは です
を 0 とする。1 と決められていて、そうしないと公式が壊れます
階乗の分数を展開してから割る。先に約分すると計算が軽くなります
同じものを使える問題に を当てる。その場合は掛ける数が減りません
0 を含む数字の問題で先頭を自由にする。制限のある位から決めます
塊を作ったあとに中の並べ替えを掛け忘れる。 や が残っています

階乗も も、段ごとに何通りあるかを掛けているだけです。公式を思い出せないときは、席を並べて 1 段ずつ数えれば同じ値に着きます。

参考文献

[1] が階乗の定義と性質、[2] と [3] が各国語での定義と の扱い、[4] が順列の公式、[5] が基本の数え方の整理です。

Factorial - Wikipedia
Fakultät (Mathematik) - Wikipedia)
阶乘 - 维基百科
Permutation - Wikipedia
Combinatoire - Wikipédia
5 人を並べると 120 通りになるのは、先頭から順に決めていくと候補が 1 人ずつ減るからです。この掛け算に階乗という名前が付き、途中で止めたものが nPr になります。0 の階乗を 1 と決める理由、階乗が桁違いに大きくなる速さ、分数を展開せず約分する計算の工夫までたどりました。数字カードで整数をつくる、特定の人を必ず入れる、2 人を隣り合わせる例も並べています。同じものを何度でも使える問題との見分けも扱う。