あみだくじは何回引けば元に戻る - 操作としての順列
同じあみだくじを続けて引くと、いつか元の並びに戻ります。5 人のあみだくじなら、6 回で戻るものもあれば 4 回で戻るものもある。
並び方を「結果」ではなく「動かす操作」として見ると、こういう問いに答えられます。順列のもう一つの顔です。
並びではなく移り方を見る
これまで順列は、 個を並べた結果でした。 を に並べ替える、という具合です。
同じことを、番号を動かす操作として読むこともできます。1 番の人が 3 番の位置へ、2 番の人が 1 番の位置へ、という移り方の指定です。
あみだくじは、この操作そのもの。上から入って下へ出るまでに、どこへ移るかが決まっています。
たどると輪ができる
1 番がどこへ行くかを追い、その行き先がまたどこへ行くかを追う。これを繰り返すと、いつか 1 番へ戻ります。
戻るまでの道のりが 1 つの輪になります。残った番号でも同じことをすると、また別の輪ができる。
こうして、どんな操作も輪の集まりに分かれます[1]。
例:輪に分ける
6 人の操作で、1 が 3 へ、2 が 1 へ、3 が 5 へ、4 が 2 へ、5 が 4 へ、6 が 6 へ移るとします。
1 から追うと で、長さ 5 の輪になります。
残るのは 6 だけ。6 は自分の位置に留まるので、長さ 1 の輪です。
この操作は、長さ 5 の輪と長さ 1 の輪に分かれました。
何回で元に戻るか
長さ の輪は、 回繰り返すと元に戻ります。1 周するのに 回かかるからです。
輪が複数あるときは、全部が同時に戻る回数を探します。それぞれの長さの最小公倍数です[1]。
さきほどの例なら、長さが 5 と 1 なので最小公倍数は 5。5 回引けば元の並びに戻ります。
1 からたどって輪を作る
残った番号でも輪を作る
輪の長さの最小公倍数を求める
例:戻るまでの回数が変わる
5 人のあみだくじを 2 つ比べます。
1 つ目は と に分かれるとします。長さ 3 と 2 なので、最小公倍数は 6。6 回で戻る。
2 つ目は と と に分かれるとします。長さ 2、2、1 で最小公倍数は 2。2 回で戻ります。
同じ 5 人でも、輪の分かれ方で回数が変わる。並びの見た目からは分かりません。
| 輪の長さ | 最小公倍数 | 戻るまで |
|---|---|---|
| 5 と 1 | 5 | 5 回 |
| 3 と 2 | 6 | 6 回 |
| 2 と 2 と 1 | 2 | 2 回 |
| 4 と 1 | 4 | 4 回 |
5 人で最も長くかかるのは
5 人の場合、輪の長さの組は 5 の分割になります。、、、、、、 を 5 個の 7 通り。
それぞれの最小公倍数は 5、4、6、3、2、2、1。いちばん大きいのは の 6 です。
つまり 5 人のあみだくじは、どんなに長くても 6 回で元に戻ります。

横棒 1 本は入れかえ
あみだくじの横棒 1 本は、隣り合う 2 人を入れかえる操作です。この形を入れかえといいます[1]。
横棒を何本か引けば、その入れかえを順に行ったことになる。どんな並べ替えも、入れかえを繰り返せば作れます。
長さ の輪は、 回の入れかえで作れます。 なら 2 回。
偶奇は変わらない
同じ並べ替えを作るのに、入れかえの回数は 1 通りではありません。遠回りすれば増やせます。
ただし、回数の偶奇は必ず同じになる[1]。偶数回で作れる並べ替えは、何度やり直しても偶数回でしか作れません。
だから、あみだくじの横棒の本数は、目的の並びによって偶数か奇数かが決まっています。
横棒を 2 本足すと、同じ並びのまま本数だけ増やせます。同じ場所に 2 本引けば元に戻るため。
1 本だけ足すことはできない。偶奇が変わってしまい、目的の並びにならない。
例:偶奇を確かめる
を にするには、1 と 2 を入れかえる 1 回で足ります。奇数回です。
を にするには、 の輪なので 2 回。偶数回になります。
輪の長さから計算できます。長さ の輪が 回なので、輪の長さから 1 を引いた値をすべて足せばよい。
例:席替えを繰り返す
30 人のクラスで、同じ規則の席替えを繰り返します。何回で元の席順に戻るか。
輪に分けて、長さの最小公倍数を求めます。30 人でも手順は変わりません。
長さが 2、3、5 の輪に分かれていれば、最小公倍数は 30。30 回かかります。
長さが 6 と 10 と 14 なら、最小公倍数は 210。人数より多い回数がかかることもあります。
個を並べた結果。何通りあるかを数える
どこへ動かすかの指定。繰り返すとどうなるかを追う
例:カードを切る
52 枚のカードを、いつも同じ手順で切ります。何回切れば元の並びに戻るか。
これも輪に分けて最小公倍数を取る問題です。カードの動き方が決まっていれば、回数が計算できる。
同じ手順を繰り返すかぎり、いつかは必ず元に戻ります。輪の長さが有限だからです。
例:戻らない場合はあるか
ありません。番号は有限個なので、たどればいつか出発点に帰ります。
もし帰らないとすると、途中で 2 か所から同じ番号へ入ることになる。操作は 1 対 1 なので、それは起こりません。
だから、どんな操作でも必ず輪に分かれます。
6 人のあみだくじで、輪の長さが 3 と 2 と 1 に分かれています。何回引けば元の並びに戻りますか。
- 3 回
- 6 回
- 12 回
よくある誤り
順列を結果としてではなく、動かす操作として読む。この見方に切り替えると、繰り返しの問いに答えられます。
参考文献
[1] が輪への分解と入れかえと偶奇、[2] が順列の基本、[3] が分割の考え方、[4] と [5] が各国語での整理です。












長さ 3、2、1 の最小公倍数は 6 です。3 回では長さ 2 の輪が戻らず、2 回では長さ 3 の輪が戻りません。12 は最小公倍数ではなく、単に長さを掛けた値になります。