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1 つ前と 2 つ前を足す、場合の数を漸化式で追う

10 段の階段を、1 段または 2 段ずつ上ります。上り方は 89 通り。

でも でもありません。公式が当てはまらないときは、前の答えから次の答えを作る形に切り替えます。

最後の 1 手で場合分けする

段の上り方を とします。全部を数えるかわりに、最後の一歩だけを見る。

最後が 1 段なら、その前は 段まで上っていました。そこまでの上り方が 通り。

最後が 2 段なら、その前は 段まで。 通りです。

この 2 つは同時に起こらないので足します[3]

初期値は書き出して決める

は 1 段だけなので 1 通り。 は「1 段を 2 回」と「2 段を 1 回」で 2 通りです。

そこから と続きます。10 段で 89 通り。

隣どうしを足して次を作る形なので、フィボナッチ数列と同じ並びになります[1]

段数上り方計算
11書き出す
22書き出す
331 足す 2
452 足す 3
583 足す 5

例:3 段まで上れる場合

1 段、2 段、3 段のいずれかで上れるとすると、最後の一歩が 3 通りに分かれます。

から始めて 。10 段で 274 通りです。

は書き出して確かめます。 の 4 通り。

一歩の選択肢が増えると、足す項が増える。この対応は覚えておくと速い。

例:タイルを敷き詰める

縦 2、横 の長方形を、 のタイルで埋め尽くします。

いちばん右の列に注目します。縦にタイルを 1 枚置くなら、残りは 。横に 2 枚並べて置くなら、残りは

で、階段とまったく同じ数列になります。 なら 8 通り。

見た目の違う問題が同じ漸化式に落ちる。これが漸化式で数える利点です。

最後に何が来るかで場合分けする

それぞれの場合で、残りがどの大きさの同じ問題になるかを見る

足し合わせて漸化式にする

例:隣り合う数を選ばない部分集合

から までの数から、隣り合う 2 数を同時には含まないように選びます。空の選び方も 1 通りと数える。

を選ぶかどうかで分けます。選ばないなら から までの問題で 通り。

選ぶなら は選べないので、 から までの問題になり 通り。

から なら 13 通りです。

例:円形に並ぶ塗り分け

個の領域が輪になっていて、隣り合うものを違う色にします。 色で塗る。

一列なら 通り[2]。輪では両端も接するので、そこが同じ色になっている場合を引きます。

3 色なら から 。1 つ前だけを使う形の漸化式です。

1 つ前だけを使う

前の答えを 1 つ覚えておけばよい。等比型に持ち込めることが多い

2 つ以上前を使う

前の答えを複数覚える。フィボナッチ型になる

等比の形に直す

のような形は、両辺に 1 を足すと等比数列になります。

なら なので、。したがって です。

例:ハノイの塔

3 本の棒と 枚の円盤があり、小さい円盤の上に大きい円盤を置けないという規則で、全部を別の棒へ移します。

いちばん大きい円盤を動かすには、その上の 枚を先に別の棒へ移す必要があります。移したあと、大きい円盤を 1 回動かし、また 枚を上に戻す。

から 。閉じた形は です。

漸化式を立てるときの型

場合分けの切り口は、たいてい次のどれかになります。

最後の 1 手が何かで分ける。階段やタイルがこの形
いちばん端の要素を選ぶか選ばないかで分ける。部分集合の問題がこの形
いちばん大きいものをいつ動かすかで分ける。ハノイの塔がこの形
条件を破る場合を引く。円形の塗り分けがこの形

どの切り口でも、残りが「同じ問題の小さい版」になっていることを確かめます。ここが崩れると漸化式になりません。

残りが同じ問題にならない切り分け方は、漸化式として使えません。形が変わってしまうと前の答えを流用できない。

たとえば階段で「最初の一歩」で分けても同じ形になるので使える。一方、途中の 1 歩で切ると、両側に別々の問題ができて式が複雑になる。

例:最初の一歩で分けても同じ

階段の問題を、最後ではなく最初の一歩で分けても構造は同じです。

最初が 1 段なら残り 段、2 段なら残り 段。同じ になります。

どちらで分けてもよいときは、初期値を書き出しやすいほうを選びます。

検算のしかた

漸化式を立てたら、小さい で書き出して照合します。 まで合えば、まず正しい。

初期値の取り方でつまずくことが多いので、 は必ず書き出して決めます。式から逆算しない。

答えが極端に大きくなっていないかも見ます。階段の上り方が を超えることはありません。

1 段または 2 段ずつ上って 8 段の階段を上る方法は何通りですか。

  • 21 通り
  • 34 通り
  • 55 通り
__RESULT__

と並ぶので 通りです。21 は 、55 は にあたります。1 つずれやすいので、 から数え直します。

よくある誤り

初期値を式から逆算する。 は書き出して決めます
番号を 1 つずらす。 が何を指すかを最初に書き留めます
足す項の数を間違える。一歩の選択肢が 3 通りなら 3 項です
残りが同じ問題になっていない切り分けを使う。形が変わると流用できません
円形の問題に一列の式をそのまま当てる。両端が接するぶんを引きます
2 倍して 1 を足す形をそのまま繰り返す。等比の形に直すと閉じた式が出ます
検算をしない。 まで書き出せば、たいていの誤りは見つかります

公式が当てはまらないと感じたら、最後の 1 手で切ってみる。そこから同じ問題の小さい版が現れれば、漸化式で追えます。

参考文献

[1] が隣どうしを足す数列、[2] が一列と輪での塗り分けの個数、[3] が場合分けして足す規則、[4][5] が各国語での基本の整理です。

Fibonacci sequence - Wikipedia
Graph coloring - Wikipedia
Rule of sum - Wikipedia
Combinatoire - Wikipédia
Abzählende Kombinatorik - Wikipedia
10 段の階段を 1 段か 2 段ずつ上る方法は 89 通り。公式では出ませんが、最後の一歩で場合分けすると前の答えから次が作れます。タイルの敷き詰め、隣り合う数を選ばない部分集合、円形の塗り分け、ハノイの塔まで、切り口の型を並べました。残りが同じ問題の小さい版になっているかが立式の分かれ目です。初期値を書き出して決めること、2 倍して 1 を足す形を等比に直すことも扱います。