プレゼント交換で誰も自分の品を引かない並べ方(完全順列)
5 人でプレゼント交換をします。全員が他人の品を引き当てる並び方は、120 通りのうち 44 通り。
自分の品を引く人が 1 人もいない並べ方を完全順列といいます。撹乱順列、あるいは英語で derangement とも呼ぶ[1]。
定義と小さい場合
から までの番号を並べ替えて、 番目に が来ないようにします。この並べ方の総数を と書く。
では、1 を 1 番目に置くしかないので 0 通り。 では 21 の 1 通りだけです。
は 231 と 312 の 2 通り。123、132、213、321 は、どこかに固定された数が残ります。
図で青いままの並びが完全順列です。24 通りを一巡すると、9 通りだけが残る。
例:4 人の 9 通りを書き出す
の完全順列をすべて並べます。
どの並びも、 番目が になっていません。手で確かめられる最後の大きさが、この です。
包除原理で求める
数え上げの道具は余事象と包除原理。「誰も自分のものを引かない」の反対から攻めます。
番の人が自分のものを引く並べ方の集合を とします。 を固定して残りを自由に並べるので、 通り。
2 人を固定すれば 、3 人なら と続きます。固定する人の選び方が 通りあるので、包除原理の各項は次の形になる。
符号を交互に入れかえて足すと、少なくとも 1 人が自分のものを引く場合の数が出ます。
例:4 人で式を追う
で計算します。全体は 通り。
1 人固定が 、2 人固定が 、3 人固定が 、4 人固定が 。
少なくとも 1 人が自分のものを引くのが 15 通り。全体から引いて 通りになります。書き出した 9 通りと合いました。
一般の公式
同じ計算を で書くと、階乗の逆数が交互に並ぶ形になります[1]。
なら 。
括弧の中は、 番目の項から順に足し引きするだけです。項が増えるほど値が落ち着いていく。
2 つの漸化式
公式を毎回展開するより、前の値から次を作るほうが速い場面もあります。漸化式は 2 通り知られています[2]。
前者は場合分けから導けます。 番の人が引いた品の番号を とすると、 の選び方が 通り。
そのうえで、 番の人が を引く場合は残り 人の完全順列、引かない場合は残り 人の完全順列に対応します。だから を掛ける。
1 番が引く品を選ぶ
その相手が 1 番の品を引くかどうかで分ける
残りを完全順列として数える
例:漸化式で 6 人まで
、 から順に作ります。
。。
。。
もう一つの漸化式でも確かめます。。同じ値になりました。
| 人数 | 完全順列 | 総数 |
|---|---|---|
| 3 | 2 | 6 |
| 4 | 9 | 24 |
| 5 | 44 | 120 |
| 6 | 265 | 720 |
| 7 | 1854 | 5040 |
確率はほぼ一定になる
が増えると、完全順列の確率 はある値に近づきます。
で 、 で 、 で 。
人数を増やしても 0.368 あたりから動きません。この値は で、およそ 36.8 パーセント[1]。
人数が 3 人でも 100 人でも、確率は 3 分の 1 と 5 分の 2 のあいだに収まる。直感に反する結果として、よく引かれる例です。
人数が増えれば「誰か 1 人くらいは自分のものを引くだろう」と考えたくなりますが、確率は下がりません。
人数が増えると自分のものを引く機会も増えるが、1 人あたりの確率が同じだけ下がるので、釣り合ってしまう。
例:ちょうど何人かが自分のものを引く
「誰も引かない」だけでなく、「ちょうど 人が引く」も数えられます。
自分のものを引く 人を選び、残りの 人が完全順列になればよい。
5 人でちょうど 2 人が自分のものを引くのは、 通り。確率は です。
例:全部の場合を足すと元に戻る
検算になります。 を 0 から 5 まで動かして足すと、 に戻るはず。
。
確かに 120 になりました。 と決めておくと、この足し算がきれいに閉じる。
例:ちょうど 1 人だけ
5 人でちょうど 1 人が自分のものを引くのは 通り。
完全順列の 44 通りより多い。「誰も引かない」より「1 人だけ引く」のほうが起こりやすいという結果です。
5 人で 44 通り。確率は約 36.7 パーセント
5 人で 45 通り。確率は 37.5 パーセントで、わずかに上回る
手紙と封筒の問題
この問題は 18 世紀にニコラス・ベルヌーイとオイラーが扱いました[2]。宛名を書いた封筒に手紙を無作為に入れる形で語られます。
通の手紙をでたらめに封筒へ入れて、1 通も正しく入らない確率はいくらか。答えが人数によらずほぼ一定になる点が、当時から驚きとして受けとめられていた。
同じ問題が、席替え、プレゼント交換、帽子のとり違えなど、いろいろな衣装で出てきます。
4 人でプレゼント交換をします。全員が他人の品を受け取る確率はいくらですか。
よくある誤り
完全順列は、包除原理と漸化式の両方が使える手ごろな題材です。どちらの道でも同じ値に着くことを、 か で一度確かめておく。
参考文献
[1] が定義と公式と極限、[2] が 2 つの漸化式と数表と歴史、[3] がプレゼント交換の形での例、[4] と [5] が導出に使う包除原理です。












完全順列は 9 通り、全体は 4!=24 通りなので 9/24=3/8 です。n が大きくなるとこの値は 0.368 あたりに落ち着きますが、n=4 ではまだ少し上にあります。