13 人いれば誕生月が必ず重なる?鳩の巣原理で示す
13 人集まれば、同じ月に生まれた人が必ず 2 人以上います。誰の誕生日も調べる必要はありません。
月は 12 種類しかないので、13 人を割り振れば必ずどこかが重なる。これが鳩の巣原理です[1]。
いくつあるかではなく、必ずあるかを示す
これまでの問題は「何通りあるか」を数えるものでした。鳩の巣原理が答えるのは「必ず存在するか」です。
数えるのではなく、入れ物の数と入れるものの数を比べる。それだけで結論が出ます。
個のものを 個の入れ物に入れ、 ならば、2 個以上入る入れ物が必ずある[2]。
何個以上入るかまで言える
もっと強い形もあります。 個を 個の入れ物に入れると、少なくとも 個入る入れ物がある[3]。
記号は切り上げです。 人を 12 か月に割り振るなら で、同じ月生まれが 3 人以上いる月が必ずあります。
すべての入れ物が 個以下だとすると、合計が に届かない。だから矛盾します。
入れるものが何かを決める
入れ物をどう作るかを決める
個数を比べる
入れ物の作り方がすべて
原理そのものは単純です。難しいのは、何を入れ物にするかを見つけるところ。
誕生月なら 12 個の月が入れ物です。ここまでは自然に思いつく。実際の問題では、入れ物を自分で設計します。
例:和が 11 になる組
から までの数から 6 個を選ぶと、和が 11 になる 2 数が必ず含まれます。
入れ物を、和が 11 になるペアで作ります。、、、、 の 5 組。
6 個の数を 5 個の組に割り振るので、どこかの組から 2 個選ばれます。その 2 数の和が 11 です。

5 個までなら、各組から 1 個ずつ選んで条件を避けられます。6 個が境目です。
例:差が割り切れる 2 数
整数を 個選ぶと、差が で割り切れる 2 数が必ずあります。
入れ物は、 で割った余りです。余りは から までの 通りしかない。
個の整数を 個の余りに割り振れば、同じ余りの 2 数が出ます。その差は の倍数です。
2 桁の整数を 12 個選べば、差が 11 で割り切れる 2 数がある。余りが 11 通りしかないためです[2]。
例:一方が他方を割り切る
から までから 51 個を選ぶと、一方が他方を割り切る 2 数が必ずあります。
どの整数も、2 のべき乗と奇数の積に一通りに書けます。、 のように。
入れ物を、この奇数の部分で作ります。 から までの奇数は 50 個しかない。
51 個を 50 個の入れ物に割り振れば、奇数部分が同じ 2 数が出ます。その 2 数は 2 のべき乗だけが違うので、小さいほうが大きいほうを割り切ります。
入れ物を奇数の部分で作るところが山です。ここが見えれば、あとは個数を比べるだけ。
どの数も 2 で割れるだけ割れば奇数になる。その奇数が同じなら、2 数の比は 2 のべき乗になっている。
例:中点が格子点になる 2 点
座標が整数の点を 5 個選ぶと、中点も整数の座標になる 2 点が必ずあります。
入れ物を、 座標と 座標の偶奇で作ります。偶と偶、偶と奇、奇と偶、奇と奇の 4 通り。
5 点を 4 通りに割り振れば、偶奇の型が同じ 2 点が出ます。その 2 点の座標を足すとどちらも偶数になるので、中点の座標は整数です。
例:握手の回数
人が集まって握手をします。握手した回数が同じ人が必ず 2 人います[1]。
1 人あたりの回数は から までの 通り。人数も なので、そのままでは入れ物が足りています。
ただし、 回の人と 回の人は同時にいられません。全員と握手した人がいるなら、0 回の人はいないからです。
だから実際に使われる入れ物は 通り以下。 人を割り振れば必ず重なります。
そのまま個数を比べて終わり。誕生月や余りがこの形
同時には使えない入れ物を除くと足りなくなる。握手の問題がこの形
例:靴下を取り出す
引き出しに黒と青の靴下が混ざっています。暗闇で 3 枚とり出せば、同じ色の 2 枚が必ず含まれます[1]。
色は 2 種類なので、3 枚を割り振ればどこかが 2 枚になる。何枚ずつ入っているかは関係ありません。
3 色なら 4 枚、 色なら 枚です。
逆は言えない
鳩の巣原理が言うのは「必ずある」だけです。いくつあるかも、どこにあるかも分かりません。
13 人いれば同じ月の 2 人がいる、とは言えます。しかし何月かは分からないし、3 人以上いるかも分からない。
存在を示す原理であって、数える原理ではない。ここをとり違えないようにします。
| 問題 | 入れるもの | 入れ物 | 個数の比較 |
|---|---|---|---|
| 誕生月 | 13 人 | 12 か月 | 13 対 12 |
| 和が 11 | 6 個の数 | 5 組 | 6 対 5 |
| 差が割り切れる | n+1 個の整数 | n 通りの余り | n+1 対 n |
| 割り切る | 51 個の数 | 50 個の奇数 | 51 対 50 |
| 中点 | 5 個の格子点 | 4 通りの偶奇 | 5 対 4 |
境目を確かめる
原理を使ったら、1 つ少ないと成り立たないことも確かめます。
から から 5 個なら、 を選べば和が 11 になる組はありません。6 個が本当の境目だと分かります。
12 人なら、各月に 1 人ずつという配置ができる。13 人が境目です。
境目を示せて、はじめて答えが完成します。
から までの整数から何個選べば、差が 6 で割り切れる 2 数が必ず含まれますか。
- 6 個
- 7 個
- 13 個
よくある誤り
数えるのではなく、比べる。入れ物さえ思いつけば、あとは 1 行で終わります。
参考文献
[1] が原理の基本形と古典的な例、[2] と [3] が各国語での定式化と応用、[4] が場合分けして足す規則、[5] が組合せの公式です。











6 で割った余りは 0 から 5 までの 6 通り。6 個までなら余りをすべて違えられますが、7 個選べばどこかが重なります。その 2 数の差は 6 の倍数です。