集合が重なる幅で要素の個数の最大と最小が決まる
100 人のうち、A を知っている人が 70 人、B を知っている人が 60 人。両方を知っている人は何人か。
この問いには 1 つの答えがありません。決まるのは範囲だけで、 人以上 人以下になる。
重なりが決まらない理由
、 という条件だけでは、2 つの集合の位置関係が定まりません。
がすっぽり に入っているかもしれないし、はみ出せるだけはみ出しているかもしれない。どちらも条件を破っていない。
決まるのは、いちばん重ねたときと、いちばん離したときの 2 つの端です。
図の緑の幅が、両方を知っている人数です。 をどこへ動かしても、30 人から 60 人の間から出られない。
最大はどちらか小さいほう
重なりは、 の中にも の中にも収まります。だから、どちらの大きさも超えられない。
と なら上限は 60 です。 の全員が にも入っている状態にあたる。
この形が実現できるのは、 が に含まれるときだけ。図でいえば、小さいほうの帯が大きいほうにすっぽり入る位置です。
最小は全体からのはみ出し
と を足すと で、全体の 100 を 30 だけ超えます。この超過は、どこかで重ならないと収まらない。
下限は 30 です。 と で全体を覆い尽くし、はみ出したぶんだけが重なっている状態にあたる。
右辺が負になることもあります。そのときは、まったく重ならない置き方ができるので下限は 0。
下限の式が負になる場合は、0 に読み替えます。人数が負になることはないため。
が全体より小さければ、2 つを離して置ける。共通部分は空にできる。
例:範囲を書き出す
、、 のとき、 の範囲を求めます。
上限は 。下限は 。

和集合のほうの範囲
共通部分が決まれば和集合も決まります。 なので、 が動くぶんだけ逆向きに動く。
が最小の 30 のとき、和集合は最大の 100。 が最大の 60 のとき、和集合は最小の 70 です。
式で書くと次の形になります。
共通部分と和集合は、いつも逆に動く。片方の上限がもう片方の下限に対応します。
が に含まれる。和集合はいちばん小さくなる
と で全体を覆う。和集合はいちばん大きくなる
例:どちらでもない人の範囲
40 人のクラスで、犬が好きな人が 28 人、猫が好きな人が 17 人。どちらも好きでない人は何人か。
共通部分を とすると、上限は 17、下限は 。
どちらでもない人は 人です。 が から まで動くので、 人から 人まで。
両端が実際に起こることも確かめます。 なら 45 人ぶんで 40 人をちょうど覆い、 なら猫好きが全員犬好きに含まれる。
例:条件が足りると決まる
同じ 40 人で、どちらも好きでない人が 3 人だと分かったとします。
少なくとも一方が好きなのは 37 人。 から 人。
条件が 1 つ増えると、範囲だった答えが 1 点に定まります。問題文にどちらでもない人数があるかどうかを、先に探す。
3 つの集合の場合
3 つになると、下限の式に全体が 2 回入ります。
3 つを足すと全体を最大 2 回ぶん超えられるので、超過は を引いた値です。上限は 3 つのうちいちばん小さいもの。
こうした上下からの評価は、ボンフェローニの不等式と呼ばれる一群の一部にあたります[2]。
例:3 教科の得点者
50 人のテストで、数学の合格者が 40 人、英語が 35 人、国語が 30 人。3 科目とも合格した人の範囲を求めます。
上限は 。下限は 。
下限の 5 は、不合格者の総数から出す見方でも確かめられます。数学の不合格が 10 人、英語が 15 人、国語が 20 人で、合計 45 人。
3 科目とも合格しなかった人は、多くても 45 人です。 人は必ず全科目に合格している。
不合格者の人数をそれぞれ出す
その合計が、全科目合格でない人の上限になる
全体から引くと、全科目合格の下限が出る
例:最大と最小の実現を確かめる
範囲を出したら、その端が本当に起こる配置を 1 つ作ります。
50 人で全科目合格が 5 人という配置。不合格者 10 人、15 人、20 人がすべて別々の人になっていればよい。 で 50 人以内に収まるので、作れます。
30 人という配置なら、国語の合格者 30 人全員が数学にも英語にも合格していればよい。数学の合格者 40 人と英語の 35 人は 30 人を含めるだけの余裕があるので、こちらも作れる。
端が実現できることまで示して、はじめて範囲が答えになります。式だけで止めない。
| 条件 | 下限 | 上限 |
|---|---|---|
| 2 集合の共通部分 | 和から全体を引く | 小さいほうの個数 |
| 2 集合の和集合 | 大きいほうの個数 | 全体と和の小さいほう |
| 3 集合の共通部分 | 和から全体の 2 倍を引く | いちばん小さい個数 |
例:範囲が 1 点になる場合
、、 とします。 が全体と一致している。
上限は 、下限は 。上下が一致して に決まります。
片方が全体そのものなら、もう片方は必ずその中に入る。範囲を計算すると、それが自動的に出ます。
80 人のうち、自転車を持っている人が 55 人、定期券を持っている人が 48 人です。両方を持っている人の最小人数はいくつですか。
- 0 人
- 23 人
- 48 人
よくある誤り
最大は「小さいほうに全部入る」、最小は「全体からはみ出したぶん」。この 2 つの絵を覚えておけば、式は毎回組み立て直せます。
参考文献
[1] が個数定理と評価の基礎、[2] が上下からの不等式、[3] と [4] が各国語での定式化、[5] が足し算が成り立つ条件です。











55+48=103 で全体の 80 を 23 超えます。その超過ぶんは重ならざるをえないので、最小は 23 人。48 人は最大のほうで、定期券を持つ全員が自転車も持つ場合の値です。