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トーナメント表とシフト表を数えてみる(教科書の外の題材)

8 チームのトーナメントは、優勝が決まるまでに 7 試合。総当たりなら 28 試合です。

教科書の題材は人と玉とサイコロとカードに寄りがちですが、使う道具は変わりません。身近な場面で同じ考え方を当ててみます。

トーナメントの試合数

8 チームが勝ち抜き戦をします。全部で何試合になるか。

1 回戦が 4 試合、2 回戦が 2 試合、決勝が 1 試合。足して 7 試合です。

もっと速い数え方があります。1 試合につき 1 チームが負けて姿を消す。最後に残るのは優勝の 1 チームだけなので、負けたチームは 7 つ。

つまり試合数は です。チーム数がいくつでも、この 1 行で出ます。

総当たりとの違い

同じ 8 チームで総当たり戦をすると、どの 2 チームも 1 回ずつ当たります。

2 チームを選ぶ選び方なので 試合。勝ち抜き戦の 4 倍になります。

方式が違うだけで試合数が大きく変わる。日程を組む前に、この差を出しておくと見通しが立ちます。

勝ち抜き戦

1 試合で 1 チームが消える。 試合

総当たり戦

どの 2 チームも当たる。 から 2 個を選ぶ

組み合わせ表の作り方

8 チームを 1 回戦の 4 試合に振り分けます。何通りの組み合わせ表ができるか。

まず 8 チームから 2 チームを選び、次に残り 6 から 2、その次に 4 から 2、最後に 2 から 2。

ただし 4 つの試合に順序はありません。並べ替えた 通りが重なります。

105 通りです。組分けの問題とまったく同じ形になっています。

シフト表を組む

7 日間の当番を、3 人で回します。1 日に 1 人で、同じ人が 2 日続けて入らないようにする。

初日は 3 通り。2 日目以降は前の日と違う人なので 2 通りずつです[3]。

192 通り。塗り分けの問題と同じ形で、日が領域、人が色にあたります。

全員が最低 1 日は入る条件

192 通りの中には、2 人だけで回している表が混ざっています。そこを引きます。

2 人だけで 7 日を回すなら、連続を避けるには交互しかありません。1 組につき 2 通り。組は なので 6 通り。

1 人だけで回すのは、連続してしまうので 0 通りです。

186 通りになります[4]。

現実の条件を、順序と重複と隣接の言葉に直す

当てはまる型を選ぶ

除きたい場合を引く

暗証番号の強さ

4 桁の数字の暗証番号は 通り。総当たりで試せば、すぐに開いてしまいます。

英小文字と数字を使い、4 文字にすると 通り。167 倍に増えます。

さらに文字数を伸ばすと、増え方が急になります。

数字だけの 8 桁が で 1 億通り。英小文字と数字の 6 文字は で約 21 億通りです。

文字数が 2 つ少なくても、文字の種類が多いほうが上回る。ただし文字数を増やすほうが、増え方としては強い。

は約 2.8 兆通り。2 文字増やすだけで 1000 倍以上になります。

文字の種類を増やすのは底を大きくする操作、文字数を増やすのは肩を大きくする操作です。

底を 10 から 36 にすると 3.6 倍。肩を 1 つ増やすと 36 倍になる。伸ばす効果は肩のほうが大きい。

座席を割り当てる

12 人が 4 人がけのテーブル 3 卓に分かれます。テーブルに番号があるとして、分かれ方は何通りか。

34650 通り。テーブルに番号がなければ、 で割って 5775 通りになります。

さらに各テーブルで座る位置まで区別するなら、円順列の を 3 卓ぶん掛けます。

献立を組む

主菜 5 種類、副菜 4 種類、汁物 3 種類から 1 つずつ選び、1 週間ぶんの献立を作ります。

1 日の組み合わせは 通り。7 日間で同じ献立を繰り返してよいなら 通りです。

同じ献立を 2 度出さないなら 通り。条件の 1 語で式が変わります。

場面条件使う型
トーナメント1 試合で 1 つ消える引き算
組み合わせ表4 試合に順序なし組分け
シフト表連続を避ける隣を違う色に
暗証番号同じ文字を使える重複順列
座席卓に番号があるか組分け

現実の条件を式に落とすとき

身近な題材では、問題文が曖昧なことがあります。数えはじめる前に、次の 3 つを自分で決めます。

順序が意味を持つか。席順や日付は持ち、顔ぶれだけなら持たない
同じものを 2 度使えるか。暗証番号は使え、くじは使えない
区別する対象は何か。テーブルに番号があるか、チームに区別があるか

決めた内容は答案に書きます。前提が違えば答えも変わるので、そこを明示しておく。

例:前提で答えが変わる

「8 チームの組み合わせ表は何通りか」という問いには、少なくとも 2 つの読み方があります。

1 回戦の組み分けだけを問うなら 105 通り。トーナメント表の位置まで区別するなら、もっと多くなる。

どちらを聞かれているかは問題文からしか分かりません。分からなければ、前提を書いて答えます。

16 チームの勝ち抜き戦で、優勝が決まるまでに何試合ありますか。

  • 8 試合
  • 15 試合
  • 120 試合
__RESULT__

1 試合で 1 チームが姿を消し、最後に 1 チームだけ残るので 試合です。120 は総当たり戦の にあたります。

よくある誤り

勝ち抜き戦の試合数を回戦ごとに数えて足し忘れる。 で一度に出ます
総当たりと勝ち抜きを混同する。問題文の方式を先に確かめます
組み合わせ表で試合の順序を区別する。順序がなければ階乗で割ります
シフト表で初日の選択肢を 2 通りにする。初日は制限がないので 3 通りです
暗証番号で文字種と文字数の効き方をとり違える。肩に乗るほうが強く効きます
テーブルに番号があるかを確かめない。あるかないかで割り算が変わります
前提を書かずに答える。読み方が複数あるなら明示します

身近な題材でも、使う道具は教科書と同じです。条件を順序と重複と隣接の言葉に直せば、あとは型に当てはまります。

参考文献

[1] が段ごとに掛ける数え方、[2] が組合せの公式、[3] が隣を違うものにする数え方、[4] が引いて足し戻す形、[5] が各国語での整理です。

Rule of product - Wikipedia
Combination - Wikipedia
Graph coloring - Wikipedia
Inclusion–exclusion principle - Wikipedia
Combinatoire - Wikipédia
8 チームの勝ち抜き戦は 7 試合、総当たりなら 28 試合。1 試合で 1 チームが消えると考えれば、回戦ごとに足さなくても出ます。1 回戦の組み合わせ表が 105 通りになる理由、7 日間のシフト表を 3 人で回す数え方、暗証番号で文字種を増やすより文字数を増やすほうが効く理由まで並べました。題材が変わっても、順序と重複と隣接の言葉に直せば同じ型に当てはまります。