ベクトルの式は文字式と同じに動かせる、ただし比べられるのは一次独立なとき
を について解くと、 になります。
移項して、まとめて、両辺を で割る。文字式の方程式とまったく同じ手順です[1]。
割り算だけは注意が要ります。ベクトルどうしの割り算はできないので、割れるのは実数だけ。それ以外は文字式の規則がそのまま通ります。
文字式と同じ規則で動かせる
和と実数倍については、ベクトルは文字式と同じ規則に従います[1,3]。
使えないのは、ベクトルどうしの掛け算と割り算です。内積は掛け算に似ていますが、答えが実数になるので別物になる。
のような式は書けません。 なら、 という実数倍のことです。
例:括弧を外して整理する
を計算します。
の項と の項を別々にまとめる。 を掛けるときの符号の反転が、いちばん間違えやすいところです。
例:x について解く
を解きます。 を左辺、それ以外を右辺へ移します。
から 。両辺を で割ります。
は実数なので割れます。答えは と の実数倍の和の形にそろえる。
例:分数の係数を払う
を解きます。両辺に を掛けて分母を払う。
となり、展開して 。
です。分母を払う手順まで、数の方程式と変わりません。
例:連立して解く
、 を解きます。2 式を足すと が消える。
から 。引くと です。
加減法も代入法も使えます。文字がベクトルに変わっただけ。
例:係数が付いた連立
、 とします。下の式から 。
上に代入すると 、つまり です。
、 になります。 に戻して になるか確かめられる。
一次独立なら係数を比べられる
と がどちらも でなく、平行でもないとき、この 2 つは一次独立であるといいます[2,4]。
一次独立なら、 が成り立つのは のときに限られます。
だから 2 つの表し方が一致したとき、係数どうしを比べられる。
平面上の点を と で表す方法が 1 通りに決まる、ということでもあります[4]。

例:係数を比べて未知数を出す
と が一次独立で、 が成り立つとします。
係数を比べると と 。下の式から です。
上に代入して 、つまり から 、 になります。
ベクトルの 1 本の等式が、実数の連立方程式 2 本に化ける。これが一次独立を使う理由です。
例:一次独立でないと比べられない
の場合を考えます。このとき です。
の係数 さえ合っていれば式は成り立ちます。 でも でも同じ点を指す。
係数の組が 1 通りに決まらないので、比べる操作が成り立ちません。答案では「 と は一次独立だから」と断ってから比べます。
のときも同じで、 が何であっても 。 でないことも条件に入ります[2]。
例:成分で確かめる
、 とします。平行ではないので一次独立です。
を の形で表します。成分ごとに式を立てる。
下の式から 。上に入れると で 、 です。
で合っています。組は 1 通りしかありません[4]。
例:分解の問題を連立で解く
を同じ 、 で表します。、 です。
を上に入れると 、 から 、。
になります。どんな点でも、この連立を解けば係数が出る。
例:一次独立を確かめてから比べる
、 が平行かどうかを見ます。 とおくと かつ 。
と で食い違うので、平行ではありません。よって一次独立です。
成分では が でないことでも判定できます。 なら平行になる。
2 つの進め方
文字式として整理する。成分が与えられていないときはこちら
連立方程式にして解く。座標が与えられていれば確実
ベクトルのままなら式が短く、成分に落とせば手が止まりません。与えられた情報で選びます。
と が一次独立で のとき、 と はいくつですか。
- 、
- 、
- 、
よくある誤り
和と実数倍だけなら文字式と同じ。比べる操作にだけ、一次独立という条件が要ります。
参考文献
[1] が和と実数倍の規則、[2] が一次独立の定義と係数が に限られる条件、[3] が計算規則の整理、[4] が平行でない 2 本による表し方が 1 通りになることです。












係数はどちらも 0 になるので、2s−t=0 と s+t−3=0 です。上から t=2s、下に入れて 3s=3 より s=1、t=2 になります。s=3、t=6 は 2s−t=0 だけをみたす組で、2 本目の式が成り立ちません。