向きだけをとり出す 1 本の矢印|高校数学の単位ベクトル
の単位ベクトルは です。 で割るだけ[1]。
長さが で、向きは と同じ。ベクトルから大きさの情報を抜いて、向きだけを残したものになります。
向きだけが要る場面は多くあります。大きさ で同じ向きのベクトルがほしければ、単位ベクトルを 倍する。それだけで済みます。
大きさで割ると長さが 1 になる
が でないとき、 を で割ったものを単位ベクトルといいます[1]。
なので、たしかに長さは 。実数倍しただけなので向きも変わりません。
では割れません。零ベクトルに向きがないので、単位ベクトルも作れない。
逆に読むと です。どんなベクトルも「大きさ × 向き」に分けて書けます[1]。
例:成分から単位ベクトルを出す
とします。 です。
各成分を で割って 。検算すると になります。
成分が の形になるところも押さえます。単位ベクトルは、必ず角度だけで書ける。
例:大きさが整数にならないとき
なら です。単位ベクトルは 。
分母に根号が残るので、有理化して と書きます。
のように、係数を外に出したままにする書き方もある。答案ではどちらでも通ります。
向きと大きさを分けて書く
大きさ で と同じ向きのベクトルは、単位ベクトルを 倍して作ります。
を 倍するのではありません。 の大きさは になってしまう。
先に長さを にそろえてから伸ばす。この順を守れば、大きさをいくつにでも合わせられます。

例:大きさ 10 で同じ向きのベクトル
と同じ向きで大きさ のベクトルを求めます。
単位ベクトルは なので、 倍して 。
検算すると で合っています。 をそのまま 倍した は、大きさが になってしまう。
例:逆向きも忘れない
「 に平行で大きさ のベクトル」と問われたら、答えは 2 つあります。
同じ向きの と、逆向きの 。平行には逆向きも含まれます。
「同じ向きで」と書かれていれば 1 つ、「平行で」なら 2 つ。問題文の言葉で答えの数が変わる。
平行なベクトルの表し方
のとき、 に平行なベクトルは実数 を使って と書けます[2]。
なら同じ向き、 なら逆向き。 の絶対値が長さの比になります。
単位ベクトルを使えば で、長さは 。向きと長さが 1 つの式に分かれて見えます[3]。
例:平行かどうかを成分で見る
と が平行かを調べます。 なので平行です。
と なら で ではありません。平行ではない。
たすきに掛けて引く。この計算 1 つで判定が終わります。
例:平行になるように文字を決める
が に平行になる を求めます。
から 、 です。
を使う道もあります。 とおくと で 、。同じ答えになります。

例:大きさが指定された平行なベクトル
に平行で大きさが のベクトルを求めます。
なので、すでに大きさが一致しています。
答えは と の 2 つ。単位ベクトルを経由しなくても、この場合は符号だけで済みます。
座標軸方向の単位ベクトル
軸方向の単位ベクトルを 、 軸方向を とします。
どんなベクトルも、この 2 本の実数倍の和で書けます[4]。 です。
成分表示は、この分解の係数を並べたものにほかなりません。 の と が、そのまま係数になっている。

例:2 点を結ぶ向きの単位ベクトル
から へ向かう単位ベクトルを求めます。
で 。単位ベクトルは です。
から の向きに だけ進んだ点は、 に 倍した単位ベクトルを足して 。
進む距離を指定された問題では、単位ベクトルが必ず出てきます。
大きさで割るか、係数で書くか
長さを指定されたときに使う。 で割ってから伸ばす
向きだけが問題のときに使う。 を未知数のまま進められる
長さの指定があれば前者、平行という条件だけなら後者。式が短いほうを選びます。
と同じ向きで大きさが のベクトルはどれですか。
よくある誤り
大きさで割って向きだけを残し、必要な長さを掛け直す。この 2 手で、向きと大きさを別々に指定できます。
参考文献
[1] が単位ベクトルの定義と、大きさと向きに分ける書き方、[2] が実数倍と平行の関係、[3] が実数倍したときの長さ、[4] が軸方向の単位ベクトルによる分解です。












∣a∣=1+4=5 なので、a 自身がすでに大きさ 5 です。(−1, 2) は大きさは合っていますが向きが逆になります。(5, −25) は a を 5 倍したもので、大きさが 5 になってしまう。