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長さの最小値はどこで決まるのか?ベクトルを 2 乗して 2 次関数にする

のとき、 の最小値は です。 のときに実現します。

大きさのままでは を動かせません。2 乗すると という の 2 次関数になり、平方完成で最小値が出る[1,2]

最小になる位置には意味があります。そのとき と垂直になる[3]。原点から直線までの距離を測っているのと同じことです。

2 乗して 2 次関数にする

をそのまま扱うことはできません。まず 2 乗して内積に直します[5]

について 2 次式です。 の係数 は正なので、下に凸の放物線になる。

放物線の頂点が最小値。平方完成すれば、最小値と、そこでの の両方が同時に出ます。

大きさを 2 乗して内積に直す

の 2 次関数として平方完成する

頂点の値の平方根をとって最小値に戻す

例:成分で最小値を出す

とします。 です。

平方完成すると で最小値 をとります。

大きさに戻すと です。2 乗した値のまま答えないところに気をつけます。

例:大きさと内積が与えられたとき

成分がなくても同じ手順が使えます。 とします。

。平方完成して です。

で最小値 、大きさは になります。成分に落とさなくても計算は進む。

例:なす角が与えられたとき

で、なす角が とします。まず内積を出す。

です。

平方完成すると 。最小値は です。

角度が与えられたら、まず内積という実数に直す。そこから先は同じ作業になります。

最小のとき垂直になる

一般の形で平方完成します。 の係数を でくくる。

このとき の内積を計算すると 。垂直になります[3]

最短距離は垂線の長さ、という図形の事実が、平方完成の結果として出てきました。

例:垂直条件から t を出す

で確かめます。

です。平方完成で出した値と一致します。

このとき で、 との内積は 。たしかに垂直になっている。

平方完成をしなくても だけは先に出せます。検算に使えます。

例:点と直線の距離として読む

の先端は、点 を通り に平行な直線をなぞります。

はその点と原点の距離。最小値は、原点からこの直線までの距離になります。

直線の方程式は 。距離の公式に原点を入れると です。

平方完成で出した と一致します。同じ量を 2 通りの道具で測っている。

例:t に範囲が付くとき

という条件を付けます。放物線の頂点は で、範囲の外にある。

範囲の中では放物線が単調に増えるので、最小は左端の です。 なので

頂点が範囲に入っているかを先に確かめます。入っていなければ端点、入っていれば頂点。

例:最大値は存在しない

が実数全体を動くとき、 に最大値はありません。 を大きくすれば、いくらでも長くなる。

のような範囲が付いたときだけ、最大値が端点に現れます。この例では

最小値は必ずありますが、最大値はあるとは限らない。放物線が下に凸だからです。

例:t が付く相手を入れかえる

の形でも、手順は変わりません。 の係数が になるだけ。

なら 。平方完成して です。

最小値は が掛かっているほうが の係数になる、と押さえます。

例:最小値が 0 以上になる理由

平方完成の結果、最小値の 2 乗は です。

これが 以上であることは、 と同じ意味になります[4]

内積の絶対値は、大きさの積を超えない。 から までしか動かないことの言いかえです。

になるのは が平行なとき。そのとき直線が原点を通ります。

2 通りの出し方

平方完成する

最小値と が同時に出る。範囲が付いた問題にもそのまま使える

垂直条件を使う

だけなら 1 行で出る。平方完成の検算にも向く

範囲が付いていなければどちらでも同じ。範囲が付いたら、頂点の位置を知るために平方完成の形まで持っていきます。

のとき、 の最小値はどれですか。

__RESULT__

です。平方完成すると なので、最小値の 2 乗が 。長さに戻して になります。 は 2 乗のまま答えた値です。

よくある誤り

2 乗した値をそのまま最小値とする。最後に平方根をとります。
の係数を にする。 が掛かっているほうの大きさです。
真ん中の項の を落とす。 です。
範囲が付いているのに頂点の値を答える。頂点が範囲内かを先に確かめます。
最大値も求まると思う。範囲がなければ最大値はありません。
なす角のまま計算しようとする。先に内積という実数に直します。
垂直条件で出した を最小値だと思う。 は最小をとる位置です。

大きさを 2 乗して 2 次関数にする。ベクトルの最小値の問題は、この 1 手でほとんど片づきます。

参考文献

[1][2] が内積による 2 乗の展開、[3] が最小をとる位置で垂直になること、[4] が内積の絶対値が大きさの積を超えない不等式、[5] が双線形性の整理です。

Dot product - Wikipedia(英語)
Skalarprodukt - Wikipedia(ドイツ語)
Vector projection - Wikipedia(英語)
Cauchy-Schwarz inequality - Wikipedia(英語)
Produit scalaire - Wikipédia(フランス語)
$\vec{a}=(3,\ 1)$、$\vec{b}=(1,\ 2)$ のとき $|\vec{a}+t\vec{b}|$ の最小値は $\sqrt{5}$、$t=-1$ で実現します。大きさのままでは $t$ を動かせませんが、2 乗すると $5t^2+10t+10$ という下に凸の放物線になり、平方完成で頂点が読める。最小になる位置では $\vec{a}+t\vec{b}$ が $\vec{b}$ と垂直になり、$t=-\dfrac{\vec{a}\cdot\vec{b}}{|\vec{b}|^2}$ が 1 行で出ます。これは原点から直線までの距離を測るのと同じこと。$0\leq t\leq 1$ のように範囲が付いたら頂点が中に入るかを先に確かめます。最大値が存在しない理由まで扱いました。