法線ベクトルを使って点と直線の距離の公式を導く
直線 の係数を並べた は、この直線に垂直なベクトルです。 と の係数が、そのまま直線を横切る向きを指している。
この向きを法線ベクトルといいます。方向ベクトルが直線に沿う矢印なら、法線ベクトルは直線を突き抜ける矢印。

法線ベクトルを使うと、直線の方程式も 2 直線のなす角も、点と直線の距離も内積 1 つで書けます。
法線ベクトルで直線を表す
直線上の 1 点 の位置ベクトルを 、直線に垂直なベクトルを とします。この が法線ベクトルです。
直線上の点 をとると、 は直線に沿う向き。 と垂直だから、内積が になります。
逆に、この式をみたす はかならず直線上にある。 に と垂直な向きしか許されないためです。
と書き替えることもできます。右辺は定数なので、左辺が一定の値をとる点の集まりが直線になります。
成分にすると x と y の式になる
、、 と置いて成分で書きます。
展開して 。定数部分をまとめて と置けば、次の形になる。
と の係数が、そのまま法線ベクトルの成分になっています。逆に を見たら、 が法線ベクトルだと読める。
例:点と法線ベクトルから直線を求める
点 を通り、 に垂直な直線を求めます。
を展開すると 。整理して です。
検算に を代入すると 。係数の が と一致していることも確かめられます。
例:方向ベクトルと法線ベクトルの行き来
方向ベクトル に垂直なベクトルは です。内積が になる。
でも同じです。成分を入れかえて、どちらか一方の符号を変える。

方向ベクトルが なら法線ベクトルは 。 で確かめられます。
例:2 点を通る直線を法線ベクトルで求める
、 を通る直線を求める。
が方向ベクトルなので、法線ベクトルは です。
を整理して 。 を代入すると で合いました。
2 直線の平行と垂直
2 直線 、 の法線ベクトルを 、 とします。
直線が平行なら法線も平行、直線が垂直なら法線も垂直。直線どうしの関係が、そのまま法線どうしの関係へ移ります。
平行のほうは が の定数倍になる条件、垂直のほうは内積が になる条件を成分で書いたもの。
例:平行か垂直かを調べる
、、 の関係を見ます。
、 で だから、 と は平行。
との内積は なので、 と は垂直になります。
の値は関係しません。平行と垂直を決めているのは と の係数のほうです。
2 直線のなす角
2 直線のなす角は、法線どうしのなす角と等しくなります。どちらも同じだけ回った向きだからです。

なす角は 以上 以下でとるため、内積に絶対値を付けます。
絶対値を外すと より大きい角が現れることがある。そのときは から引くのと同じことになります。
例:45 度をなす 2 直線
、 とします。、。
内積は 、大きさは と です。
よって になります。 は 軸そのものなので、図でも確かめられる。
例:60 度をなす 2 直線
、 とする。、 です。
内積は で、絶対値をとると 。 になります。
から 。絶対値を付けずに計算すると となって が現れますが、なす角としては をとります。
点と直線の距離
点 から直線までの距離は、直線上の点 をとって を法線の向きへ射影した長さです。
、、 を入れると、分子は になります。
は直線上にあるので 、つまり 。これを使うと分子が に変わります。
例:点と直線の距離を計算する
原点から直線 までの距離を求めます。
分子は 、分母は 。距離は になりました。
点 なら分子が で、距離は 。分子の符号は、点が直線のどちら側にあるかを表しています。
例:平行な 2 直線の距離
と の距離を求める。法線ベクトルが同じ なので平行になります。
片方の直線上の点をとります。 は 1 つ目の直線上にある。
からもう 1 つの直線までの距離は です。
平行な 2 直線の距離は、片方の上のどの点をとっても同じ値になります。計算しやすい点を選べばよい。
点 と直線 の距離はどれですか。
まちがえやすいところ
の を方向ベクトルだと読む形が、いちばん多いとり違えです。これは直線に垂直な向きのほう。
なす角では、内積に絶対値を付けます。付け忘れると のような鈍角が答えに残ってしまう。
距離の公式では、分母の を忘れる形も目につきます。分子だけでは、法線ベクトルの長さで値が変わってしまいます。
係数を並べると法線ベクトルになる。ここから、直線の式も、なす角も、距離も同じ内積 1 つでたどれます。












分子は ∣4×1−3×(−2)+1∣=∣4+6+1∣=11、分母は 16+9=5 です。−3×(−2) を −6 と計算すると 51 になるので、符号のとり方に気をつけます。