電球の特性曲線と負荷直線で非線形の抵抗を扱う
の電源に の抵抗と豆電球を直列につなぎます。電球に掛かる電圧は 、流れる電流は です。
電球の抵抗値は にあたりますが、この値を先に知ることはできません。電流が決まってはじめて抵抗が決まるためです。
答えを出すのはグラフです。電球の特性曲線と、回路が決める直線。2 本の交点が動作点になります。
電球の抵抗は一定ではない
金属の抵抗率は温度とともに上がります[1]。フィラメントは電流が流れると数千度まで熱くなるので、抵抗も大きく変わる。
電圧を上げれば電流は増えますが、比例はしません。電流が増えるほどフィラメントが熱くなり、抵抗が上がって伸びを抑えるためです。
オームの法則にしたがう素子をオーム性、したがわない素子を非オーム性といいます[2]。電球は後者です。
と のグラフが原点を通る直線。傾きの逆数が抵抗で、どこでも同じ値
グラフが曲線。原点付近では急で、電圧が高いほど寝ていく
特性曲線を読む
電球の振る舞いは、実測した と の組を並べた曲線で表します。
| 電球の電圧 | 電流 | そのときの抵抗 |
|---|---|---|
同じ電球なのに、抵抗が から まで動いています。どの値を使うかは、動作点が決まってからでないと言えません。
回路の側は直線になる
電球に掛かる電圧を 、流れる電流を とします。直列の抵抗が 、電源が なら、電圧の関係は次のとおり[3]。
について解きます。
の 1 次式なので、グラフでは直線です。これを負荷直線といいます。
切片は分かりやすい。 のとき 、 のとき 。この 2 点を結ぶだけで引けます。
電球の特性曲線を描く
2 つの切片から負荷直線を引く
交点の座標を読む
例:6 V と 10 Ω
切片は と です。この 2 点を結んだ直線を、特性曲線に重ねます。
交点は 、。これが動作点です。
確かめます。抵抗に掛かる電圧は 。電球の と足して になり、電源の値と一致しました。
動作点での抵抗値
交点が決まれば、そこでの抵抗値も出せます。
この は、この動作点でしか使えない値です。電源を変えれば別の値になります。
電力も同じように読めます[3]。
抵抗のほうは 。合わせて で、電源が出す と一致します。
非オーム性の素子では、抵抗は結果であって条件ではありません。
オーム性なら を先に決めて を出せる。電球では が決まってから が決まる。順番が逆になっている。
例:直列抵抗を 5 Ω に下げる
切片が に上がり、直線が立ちます。交点は右上へ移る。
グラフから読むと、およそ 、 です。
電球の抵抗は に上がりました。 のままではありません。
抵抗を半分にしたのに、電流は から へ 3 割しか増えていない。電球が抵抗を増やして押し戻しています。
例:電球 2 個を直列に
に電球 2 個だけをつなぎます。直列の抵抗はありません。
2 個は同じ電球なので、 ずつ分け合う。特性曲線から での電流を読むと です。
電球 1 個だけを につないだ場合は 。2 個にしても、電流は半分の にはなりません。

電圧が下がるとフィラメントの温度も下がり、抵抗が小さくなる。そのぶん電流が余分に流れます。
例:電源電圧を下げる
のまま、電源を に下げます。負荷直線は傾きを変えずに、原点側へ平行移動する。
切片は と です。交点をグラフから読むと、およそ 、。
電源を半分にしたのに、電球の電圧は から へ 3 分の 1 まで落ちました。曲線の原点付近が急なので、こちら側では電球の抵抗が小さく、電圧の分け前が減ります。
電球が暗くなるときは、この効き方が働いています。電圧をわずかに下げただけで、明るさが目に見えて落ちる。
ダイオードでも手順は同じ
非オーム性の代表がもう 1 つあります。ダイオードは、順方向の電圧が ほどを超えるまでほとんど電流を流しません[2]。
超えたあとは、電圧がほぼ に留まったまま電流だけが増えます。曲線がほぼ垂直に立つ形です。
の電源に とダイオードを直列につないだ場合を考えます。ダイオードの電圧を とみなせば、残りが抵抗に掛かる。
曲線が立っているぶん、交点の位置は電圧側でほとんど動きません。電流のほうは直列抵抗が決めます。
曲線がなだらか。動作点は曲線に沿ってすべり、電圧も電流も両方動く
曲線が立っている。動作点の電圧はほぼ動かず、電流だけが直列抵抗で決まる
直線どうしの交点。連立方程式で解けるので、グラフは要らない
検算のしかた
交点の座標を、両方の式に入れて確かめます。特性曲線の上にあり、なおかつ を満たすはず。
電圧の合計も見ます。電球の電圧と抵抗の電圧を足して、電源の値に戻るか。合わなければ交点の読み間違いです。
範囲の確認も要ります。電球の電圧は より大きく より小さい。負荷直線の 2 つの切片のあいだに必ず入ります。
上の特性曲線を持つ電球を、 の電源に直列抵抗なしでつなぎます。電球が消費する電力はどれですか。
曲線と直線を 1 枚に重ねて、交点を読む。式で解けない相手でも、この手順なら電圧も電流も抵抗も一度に決まります。















表から 6.0 V での電流は 0.69 A なので、P=6.0×0.69=4.1 W です。2.1 W は電流を半分と見た場合、0.80 W は 10 Ω を直列に入れた場合の値になります。