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コンデンサーに誘電体を半分だけ挿す〜並列と直列の見分け

のコンデンサーに、比誘電率 の板を「半分だけ」入れます。答えは にも にもなります。

分かれるのは入れ方です。横から板を差し込んで面積の半分を覆うなら 。極板の間隔の半分を埋めるように寝かせて挟むなら 。

前者は 2 つのコンデンサーの並列、後者は直列。同じ「半分」でも回路の形が違います。

まず全部入れたとき

誘電体で満たすと、容量は比誘電率の倍だけ増えます[1]。

なら 。誘電体の中で分極が起き、電場を打ち消す向きの電荷が表面に現れるためです[2]。

同じ電圧でも、より多くの電荷を蓄えられるようになる。半分だけ入れた場合は、 と のあいだのどこかに落ち着きます。

半分の入れ方は 2 通り

面積で分けるなら並列

横から差し込んだ場合、極板は左半分と右半分に分かれたのと同じことになります。

どちらの部分も、上下は同じ極板につながっている。つまり電圧が共通です。電圧が共通なら並列[3]。

なら 。

厚みで分けるなら直列

寝かせて挟んだ場合、電場は真空の層と誘電体の層を続けて通ります。

境界面に現れる電荷の量は、上下の極板と同じ。電荷が共通なら直列です[3]。

整理します。

入れ方式値
入れない
厚みで半分
面積で半分
全部入れる

同じ体積の誘電体を使っても、面積で分けたほうがよく効きます。直列は弱いほうに引きずられるためです。

見分け方は境界の向き

判断は、誘電体の境界面が電場に対してどちらを向いているかで付きます。

境界が電場と平行なら、電場の通り道が横に並んだ形。並列です。

境界が電場と垂直なら、電場が 2 つの層を続けて通る形。直列になります。

並列と直列を分けるのは、誘電体の量ではなく置き方 です。

同じ板でも、立てて入れるか寝かせて入れるかで回路の形が変わる。体積が同じでも容量は違う値になる。

例:直列の場合の電圧配分

厚みで分けた に、 を掛けます。層ごとの電場を出してみます。

電荷が共通なので、面電荷密度も共通。誘電体の中の電場は 分の 1 に弱まります[2]。

真空の層を 、誘電体の層を とすると、電圧は 2 つの層の和です。

を入れると 、。

厚みは同じなのに、電圧は と に分かれました。誘電体が入っている側のほうが、電圧の負担が小さい。

真空の層

電場が強く、電圧の 80\ \mathrm{%} を受け持つ。絶縁破壊はこちらで先に起きる

誘電体の層

電場は 4 分の 1。電圧の 20\ \mathrm{%} しか掛からない

差し込みながら見る

板を少しずつ入れていくと、容量がどう伸びるかも入れ方で分かれます。

両端では同じ値に戻ります。差が最も開くのは、ちょうど半分あたり。

誘電体は引き込まれる

板を途中まで差し込んで手を放すと、板は奥へ引き込まれます。

電圧を一定に保つ場合、容量が増えるほどエネルギーは増えますが、電池が供給するエネルギーはその 2 倍。差が板を動かす仕事になります。

半分入れたところから全部入れるまでで、容量は から へ。 なら、蓄えるエネルギーは から に増えます。

検算のしかた

答えは必ず と のあいだに入ります。 より小さい値や より大きい値が出たら、式の形を間違えています。

並列のほうが直列より大きくなる点も見ます。 で、半分ずつなら必ずこの順になる。

極端な場合に戻すのも早い。 を入れれば、どちらの式も を返すはずです。

面積で分けたのに、逆数どうしを足す。
厚みで分けたのに、そのまま足す。
厚みで分けた場合に、両方の層の電場が同じだと考える。
比誘電率を に掛け忘れる。
半分の面積や半分の厚みを、元の値のまま代入する。

境界の向きさえ見れば、並列か直列かは迷いません。図に電場の矢印を書き込むと、判断が速くなります。

のコンデンサーの極板間隔の半分を、比誘電率 の板で埋めます。容量はどれですか。

__RESULT__

厚みで分けるので直列です。 になります。 は面積で分けた場合、 は全部埋めた場合の値です。

板の置き方を見て、境界が電場に平行か垂直かを決める。そこから先は、並列と直列の式を当てるだけになります。

参考

Capacitor with a Dielectric. University Physics Volume 2, OpenStax.
Roland Mitdank. *Feld und Kapazität eines Plattenkondensators*. Institut für Physik, Humboldt-Universität zu Berlin.
Richard Fitzpatrick. *Capacitors in Series and in Parallel*. Electromagnetism and Optics, The University of Texas at Austin.
$100\ \mathrm{pF}$ に比誘電率 $4$ の板を半分入れると、$250\ \mathrm{pF}$ にも $160\ \mathrm{pF}$ にもなります。横から差し込んで面積を分ければ並列、寝かせて厚みを分ければ直列。境界面が電場に平行か垂直かだけで、当てる式が決まります。同じ体積の板でも、面積で分けたほうがよく効く。厚みで分けた場合は真空側に $80\ \mathrm{V}$、誘電体側に $20\ \mathrm{V}$ と電圧が偏り、絶縁破壊は真空側から始まります。差し込む割合を動かすと、片方が直線、片方が寝てから立ち上がる形に分かれることまで。