対称な抵抗回路の解き方 - 等電位の点を短絡する
の抵抗を立方体の 12 本の辺すべてに置き、向かい合う頂点のあいだの合成抵抗を求めます。答えは です。
12 本を 1 本ずつ直列と並列に分けようとすると、どこから手を付けるか決まりません。対称性を先に使うと、3 段の直列に折りたためます。
鍵になるのは、同じ電位の点を見つけること。等電位の 2 点は、つないでも切り離しても回路が変わりません。
等電位の点は自由に扱える
2 点の電位が等しければ、そのあいだに電流は流れません[1]。
流れないなら、導線でつないでも何も起きない。逆に、そこにある抵抗をとり外しても何も起きません。
この 2 つを使い分けると、複雑な網を単純な直並列に潰せます。つなぐほうを短絡、外すほうを切断といいます。
回路の対称面を探す
面の上にある点どうしを等電位と判定する
短絡か切断で回路を直並列の形に潰す
例:正方形の対角
正方形 の 4 辺に を置き、対角の と に電源をつなぎます。
を通る直線が対称の軸です。 と は、この軸をはさんで鏡に映した位置にある。
したがって と は等電位です。 と の 2 経路が並列になります。
対角線 にも抵抗があった場合はどうか。 と が等電位なので、その抵抗はとり外してよい。答えは のままです。

例:正方形の隣どうし
同じ正方形で、 と につなぎます。対称面は と の中点を通る線。
この面は辺を横切るので、等電位になる頂点の組がありません。折りたたみは使えない。
ただし経路は単純です。 の直通と、 の並列だけ。
例:平衡したブリッジ
ホイートストンブリッジが平衡しているとき、橋の 2 点は等電位です[3]。
、、、 の平衡した組で、全体の合成抵抗を出します。
橋を切って考えると、 と の並列。
橋を短絡して考えると、 と の並列に、 と の並列を直列でつないだ形。
同じ値になりました。等電位なら、どちらの扱いをしても結果が変わらない。
例:立方体の対角
冒頭の問題に戻ります。 を 12 辺に置き、体対角線で向かい合う頂点 と をつなぎます。
から出る辺は 3 本。対称性からこの 3 本には同じ電流が流れ、行き先の 3 頂点は等電位です。
に入る辺も 3 本で、その手前の 3 頂点もやはり等電位。頂点は 3 つの層に分かれます。
等電位の点を短絡すると、立方体が 3 段の直列 に化けます。
から 1 層目までが 3 本の並列、1 層目から 2 層目までが 6 本の並列、2 層目から までが 3 本の並列。
なら 。12 本の抵抗が、3 つの数の足し算になりました。

例:無限に続く梯子
対称性の別の使い方もあります。同じ形が無限に続く回路では、1 段ぶんを外しても残りは元と同じ形になる。
を直列に、 を並列に置いた梯子が無限に続くとします。全体の抵抗を と置くと、次の関係が成り立ちます。
整理すると 2 次方程式になります。
なら 。黄金比が出てきました。
同じ位置にある点どうしを等電位と判定し、短絡か切断で潰す
1 段外しても同じ形になることを使い、未知数を含む方程式を立てる
検算のしかた
短絡と切断の両方で計算して、同じ値になるかを見ます。等電位の判定が正しければ必ず一致する。
一致しなければ、その 2 点は等電位ではありません。判定をやり直します。
大まかな範囲も確かめます。合成抵抗は、いちばん短い経路の抵抗より必ず小さい。立方体の最短経路は 3 辺ぶんの なので、答えはそれより小さいはずです。実際は でした。
正方形の 4 辺と 2 本の対角線すべてに を置き、向かい合う 2 頂点のあいだの抵抗を測ります。値はどれですか。
対称面を 1 本引いて、そこで向かい合う点を等電位とみなす。それだけで、手の付けようがなかった網が直並列に落ちます。
















つないだ 2 頂点を結ぶ対角線の 12 Ω が直通です。残る 2 頂点は等電位なので、その 2 点を結ぶ対角線は外せます。24 Ω の経路が 2 本残るので、12 と 24 と 24 の並列で 6 Ω になります。12 Ω は直通だけを見た値です。