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コンデンサーの極板を引き離す問題(電池つきと電池なし)

のコンデンサーを で充電し、電池を外してから極板の間隔を 2 倍にします。電圧は に上がり、蓄えたエネルギーは から へ増えます。

電池をつないだままで同じことをすると、逆になる。電圧は のままで、エネルギーは まで減ります。

どちらでも極板は引き合っているので、離すには手の仕事が要ります。それでもエネルギーが減る場合があるのは、電池が受けとっているからです。

変わるのは容量

平行板コンデンサーの容量は、面積を間隔で割った形で決まります[1]。

間隔を 2 倍にすれば容量は半分。ここまでは、電池がつながっているかどうかに関係ありません。

分かれるのはこの先です。 の 3 つの量のうち、何が固定されているかで残り 2 つの動き方が決まります。

容量が何倍になるかを出す

電池を外したなら 一定、つないだままなら 一定と決める

で残りの量を動かす

例:電池を外してから離す

外した瞬間、極板の電荷には行き場がなくなります。 が固定される。

容量が半分になるので、電圧は 2 倍です。

エネルギーは が固定なので、 の形で見ると早い[2]。

から へ、ちょうど 2 倍になりました。

灰色の棒が電場です。電池を外した側では、間隔を変えても長さが変わりません。

電場が変わらない理由

極板の電荷が動かないなら、面電荷密度 も変わりません。

平行板のあいだの電場は、この密度だけで決まります[3]。

間隔はどこにも出てきません。だから離しても電場は同じで、電圧のほうが にしたがって伸びていく。

電圧が上がるのは、同じ坂を長く歩く からです。

坂の傾きが電場、歩いた距離が間隔。傾きが同じまま距離が伸びれば、上りきった高さは大きくなる。

引き離すのに要る仕事

極板は引き合っています。離すには外から力を加える必要がある。

電池を外した場合、必要な力は最後まで一定です。電場が変わらないためです。

引き離したときの仕事を出します。

増えたエネルギーとぴたり同じ。手がした仕事が、そのまま電場のエネルギーになりました。

例:電池をつないだまま離す

こちらは電圧が に固定されます。容量が半分になるので、電荷が半分に減る。

減った は、導線を通って電池へ戻ります。

エネルギーは で、容量が半分なので半分。 に下がりました。

エネルギーはどこへ行ったか

手は仕事をしているのに、コンデンサーのエネルギーは減っています。差は電池が受けとりました。

引く力は、離すにつれて弱くなります。電荷が減っていくためです。積分すると になる。

電池へ戻る電荷は 、そのときの電圧は 。掛けて です。

項目電池を外すつないだまま
手がした仕事
コンデンサーの変化
電池のやりとりなし

つないだままの側では、 が電池へ返っています。収支は合っている。

例:面積を変える場合

間隔ではなく、向かい合う面積を半分にずらしてみます。容量はやはり半分です。

電池を外していれば が一定なので、電圧は 2 倍、エネルギーも 2 倍。ここまでは間隔のときと同じ。

違うのは電場です。面積が減れば が 2 倍になるので、電場も 2 倍になります。

間隔を 2 倍にする

が変わらないので電場は同じ。電圧だけが伸びる

面積を半分にする

が 2 倍になるので電場も 2 倍。間隔は変わらないので電圧も 2 倍

エネルギーは極板のあいだに溜まっている

エネルギーを、電荷ではなく空間の側から数えることもできます[2,3]。

これは あたりのエネルギーです。全体の値は、極板のあいだの体積を掛けて出します。

今回の 、 から面積を逆算すると ほど。体積は です。

掛けると 。 と同じ値になりました。

電池を外して間隔を 2 倍にした場合、電場は変わらず体積だけが 2 倍になります。エネルギーが 2 倍になった理由を、この見方はまっすぐに説明する。

引く力の変わり方も違う

2 つの場合で、必要な力の変わり方が分かれます。

電池を外していれば、電荷が変わらないので力も一定。 のまま最後まで引きます。

つないだままなら、離すにつれて電荷が減るので力も弱くなる。間隔 での力は次の形です。

の 2 乗に反比例します。 のときに 、 まで離れたときには まで落ちる。

電池を外した場合

力は一定。仕事は力かける距離で、そのまま出せる

つないだままの場合

力は距離の 2 乗に反比例。一定の力を掛けた値では出せない

どちらでも共通

はじめの状態が同じなら、引き始めの力も同じ

平均をとると、つないだままの場合の仕事は電池を外した場合の半分になります。実際の値も と でした。

例:間隔を 3 倍にする

同じ 、 から始めて、今度は 3 倍まで離します。容量は の 。

電池を外していれば、電圧は 、エネルギーは 。 から 増えたぶんが手の仕事です。

つないだままなら、電荷は 、エネルギーは 。

倍率の効き方が逆を向く点さえ押さえれば、答えの見当が先に立ちます。 倍に離すとき、電池を外せばエネルギーは 倍、つないだままなら 倍。

検算のしかた

まず が最後まで成り立っているかを見ます。3 つのうち 2 つを決めたら、残りは自動で決まる。

エネルギーは 3 通りの式で書けます[2]。

固定されている量が入っている式を選ぶと、途中の計算が減ります。 一定なら 、 一定なら 。

3 つの式のうち 2 つで計算して同じ値になるかを見るのも、確実な確かめ方です。

電池を外したのに、電圧が一定だと考える。
つないだままなのに、電荷が一定だと考える。
間隔を広げたとき、電場も一緒に弱くなると考える。電池を外していれば変わりません。
つないだままの場合に、手の仕事だけでエネルギーの収支を合わせる。
を、 が動く場合にそのまま使う。

充電したコンデンサーの電池を外し、極板の間隔を半分に縮めます。蓄えられたエネルギーはどうなりますか。

  • 2 倍になる
  • 半分になる
  • 変わらない
__RESULT__

が一定で容量が 2 倍になるので、 は半分です。極板は引き合っているため、縮める向きには力が働いていて、手ではなく電気の力が仕事をします。そのぶんエネルギーが出ていきます。

固定されている量を先に決め、その量を含むエネルギーの式を選ぶ。順番を変えるだけで、この種の問題は式 1 本で片づきます。

参考

Capacitors and Capacitance. University Physics Volume 2, OpenStax.
Energy Stored in a Capacitor. University Physics Volume 2, OpenStax.
Roland Mitdank. *Feld und Kapazität eines Plattenkondensators*. Institut für Physik, Humboldt-Universität zu Berlin.
$200\ \mathrm{pF}$ を $100\ \mathrm{V}$ で充電し、電池を外してから間隔を 2 倍にすると電圧は $200\ \mathrm{V}$、エネルギーは $1.0\ \mu\mathrm{J}$ から $2.0\ \mu\mathrm{J}$ へ増えます。つないだままなら電圧は $100\ \mathrm{V}$ のままで、エネルギーは $0.5\ \mu\mathrm{J}$ まで落ちる。どちらでも手は仕事をしているのに結果が逆になるのは、電池が $1.0\ \mu\mathrm{J}$ を受けとっているためです。電荷が動かない側では面電荷密度が変わらず電場も動かないこと、エネルギーを $\frac{1}{2}\varepsilon_0E^2$ と体積で数え直せることまで。