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平行な 2 本の電流|引き合う向きと 1 m あたりの力

ずつ流した 2 本の導線を 離して並べます。 あたり で引き合います。

電流の向きが同じなら引力、逆なら斥力[1]。同じもの2 つが引き合うので、電荷の場合と逆に見えます。

力そのものは新しい法則ではありません。磁場を作る式と、磁場から力を受ける式を続けて使うだけです。

2 段階に分ける

1 本目の電流が、2 本目のいる場所に磁場を作ります[2]。

その磁場の中に置かれた 2 本目が、長さ ぶんの力を受けます[3]。

平行な配置では、電流と磁場が直角に交わるので 。2 つを続けて代入します。

1 本目が作る磁場を出す

その磁場の中で 2 本目が受ける力を出す

長さで割って 1 m あたりの値にする

向きの決まり方

1 本目が作る磁場は、電流を右手でにぎった指の向きに回ります。2 本目の位置では、2 本を含む面に垂直な向きです。

その磁場の中で 2 本目が受ける力の向きは、電流と磁場の両方に垂直[3]。手を当てて調べると、1 本目のほうを向きます。

同じ向きに流れていれば引き合い、逆向きなら押し合う[1]。

電荷どうし

同符号は反発、異符号は引き合う

電流どうし

同じ向きは引き合い、逆向きは反発する

見た目は逆ですが、どちらも 2 段階の組み立てから出てきます。覚え方を混ぜないようにしておくと迷いません。

例:10 A ずつ

を使って計算します。

の導線に 。 の物体に働く重力の 分の 1 ほどで、手で感じられる大きさではありません。

電流を 倍にすると、積が 倍になるので力も 倍。片方だけ 倍なら 倍です。

例:送電線どうし

高圧送電線には 級の電流が流れます。 離れた 2 本の場合を見ます。

あたり 。 の区間なら で、無視できない大きさになります。

短絡事故で電流が 倍になると、力は 倍。導体を固定する金具は、この力に耐えるように設計されます。

力が 電流の積 に比例する点が効いてきます。

両方が 倍になれば力は 倍。事故時の電流の大きさが、そのまま 2 乗で効く。

例:3 本を等間隔に並べる

間隔で 3 本を並べ、すべて同じ向きに を流します。

まん中の導線は、左右から同じ大きさで逆向きに引かれます。合計は 。

端の導線はどうか。となりからは 、いちばん遠い線からは距離が 2 倍なので半分の 。

どちらも内向きなので足します。

3 本の束は、内側へ締まる向きの力を受ける。電流が大きいと、束ねた導体がつぶれる形になります。

位置となりから遠い線から合計
左端 右向き
中央
右端 左向き

アンペアという単位

ずつを 離すと、力は になります[1]。

長らく、この値がアンペアの定義そのものでした。 という切りのよい数が現れるのは、そう決めたからです。

年の単位の改定で、アンペアは電気素量から定義されるようになりました[4]。 のほうが測定で決まる量に変わっています。

高校の計算では を使って差し支えありません。ずれは有効数字に現れない大きさです。

例:導線を浮かせる

下に固定した導線の上に、もう 1 本を平行に浮かせます。同じ向きに流せば引き合ってしまうので、逆向きに流して押し上げる形です。

浮かせる導線の あたりの質量を とします。重力は あたり 。

間隔を に保つのに要る電流を出します。

でようやく釣り合いました。電流どうしの力は、それだけ弱いということです。

しかもこの釣り合いは不安定です。少し浮き上がれば力が弱まって落ち、少し沈めば力が強まって跳ね上がる。距離に反比例するためです。

例:正方形の 4 隅に 4 本

一辺 の正方形の各頂点に導線を置き、すべて同じ向きに を流します。

1 本が受ける力を数えます。隣の 2 本からはそれぞれ で、向きは直交する 2 方向。

向きは正方形の中心へ向かう対角線の方向です。対角にある 1 本からは、距離が 倍なので次の値。

こちらも同じ対角線の方向なので、そのまま足せます。合計は で、中心へ向かう向き。

4 本の束は内側へ締まります。3 本のときと同じ向きで、本数が増えるほど強くなる。

単位を確かめる

の単位は です[1]。式に入れて確かめます。

になっているかを見ます。 は の電流が流れる の導線に の力を与える磁場なので、確かに 。

単位が合わない答えは、どこかで距離や長さを掛け違えています。

検算のしかた

向きの判定を、2 段階に分けてやり直します。まず 1 本目の磁場の向き、次にその中での力の向き。一度に決めようとすると間違えます。

作用と反作用も確かめられます。2 本が受ける力は、大きさが等しく向きが逆になるはず。式が の形で対称なので、自動的にそうなります。

桁の見当も立ちます。 級の電流を 級の距離で並べれば の桁。 級になって初めて の桁に届きます。

同じ向きの電流が反発すると考える。電荷の規則と混ざっています。
電流の和に比例させる。積です。
距離の 2 乗で割る。1 乗です。
あたりの力と、導線全体に働く力を混ぜる。
3 本以上のとき、いちばん近い 1 本だけを見る。

と を流した 2 本の導線を 離します。 あたりの力はどれですか。

__RESULT__

です。 は距離を 2 乗した場合、 は電流を足した場合の値になります。

磁場を作る式と、磁場から力を受ける式。2 本をつなぐだけで、平行電流の力は出ます。

参考

Magnetic Force between Two Parallel Currents. University Physics Volume 2, OpenStax.
Magnetic Field due to a Thin Straight Wire. University Physics Volume 2, OpenStax.
Magnetic Force on a Current-Carrying Conductor. University Physics Volume 2, OpenStax.
Electron volt. CODATA 2022, National Institute of Standards and Technology.
$10\ \mathrm{A}$ ずつ流した 2 本を $10\ \mathrm{cm}$ 離すと、$1\ \mathrm{m}$ あたり $2.0 \times 10^{-4}\ \mathrm{N}$ で引き合います。同じ向きなら引力、逆なら斥力で、電荷の規則とは逆に見える。新しい法則は要らず、1 本目が作る磁場の式と、その磁場から 2 本目が受ける力の式を続けて使うだけです。力は電流の積に比例するので、両方が $10$ 倍になれば $100$ 倍。$1000\ \mathrm{A}$ の送電線では $1\ \mathrm{m}$ あたり $0.40\ \mathrm{N}$ に届きます。$10\ \mathrm{g/m}$ の導線を浮かせるのに $70\ \mathrm{A}$ が要ることや、3 本や 4 本を並べたときに束が内へ締まることまで。